クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2020 第2ステージ超級山頂ゴールをログリッチがラスト独走で首位奪取 イネオス攻撃もフルーム脱落の誤算

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 フランスで開催の5日間のUCIワールドツアー「クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ」の第2ステージが8月13日に行われ、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が超級山頂ゴールの難関を最後独走で制し、ステージ優勝とともに個人総合でも首位に立った。ユンボ・ヴィスマはライバルのチーム イネオスの攻撃を打ち砕き、初日に続く2連勝を挙げた。

プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がラスト600mで単独抜け出しを決めて独走優勝。個人総合でも首位に立った ©︎ A.S.O./ PresseSports / Franck Fau

シェアーが連日逃げで山岳賞キープ

 第2ステージは、ビエンヌからコル・ド・ポルトに至る135kmで行われた。距離は若干短いものの、後半に1級山岳、そしてラストは超級山岳の山頂ゴールという、2日目にして早くもクライマックスといえるステージだ。最後に挑むコル・ド・ポルトは途中若干の下りを挟みつつ、距離17.5kmで1000m以上の標高差を駆け上がるという、ツール・ド・フランスでもおなじみの難関だ。

山岳賞ジャージを着るシェアーら8人の逃げ集団 ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 レースは序盤から8人の逃げが先行する。山岳賞ジャージを着るミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)が前日に続けて逃げに入り、山岳賞首位のキープを目指す。集団はリーダーチームのユンボ・ヴィスマが中心となってコントロール。前日の勝者で総合首位のリーダージャージを着る、ワウト・ファンアールト(ベルギー)もけん引に加わって、献身的なチームプレーを見せた。大逃げは許されず、先頭とメイン集団との差は3分弱までに保たれた。

 シェアーは最初の3級山岳こそ2位通過だったものの、続く4級山岳は1位通過を果たす。そして1級山岳では逃げの8人が崩壊するなかで、ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ)と共に先頭で残り、1級山岳ポイントを見事に1位通過。最後に超級山岳が控えるものの、山岳賞ジャージのキープはほぼ確実とした。

メイン集団をけん引するユンボ・ヴィスマのトレイン。先頭はおなじみトニー・マルティン。 マイヨジョーヌのファンアールトも3番手でこの日はアシストに回る ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 集団はファンアールトのけん引で、先頭から約1分30秒差で1級山岳を通過。下り区間では、集団中ほどでセルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)が中央分離帯に乗り上げ、ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)ら数人が巻き込まれる落車が発生するが、リタイアに至る大けがの選手は出ず、いずれも遅れは喫したもののレースに復帰した。

イネオスの攻撃にほころび

 ラストの超級山岳に入ると、先頭からはシェアーが脱落して、アルミライルが単独先頭に立った。

 そして上り中盤になるとチーム イネオス勢が7人全員をメイン集団先頭に集め、徐々にペースを上げ始めた。ライバルのユンボ・ヴィスマは、レース序盤からの集団コントロールでアシスト陣の半分以上を消費した状態。近年のツール・ド・フランスを席巻するイネオス列車が、ユンボを始めとしたライバル勢に強烈にプレッシャーをかける。

イネオスのエース、この日総合3位でスタートしたエガン・ベルナル。すぐ後ろにはログリッチがピタリとマークする ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 ユンボ勢で集団前方に残るのは、エースのログリッチと、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ)、セップ・クス(アメリカ)の3人。エース級の一角であるトム・デュムラン(オランダ)は集団後方に沈んでいた。

 粘っていたアルミライルも、ラスト8.3kmで吸収。カウンターでビクトル・デラパルテ(スペイン、CCCチーム)が飛び出すが、1kmほどで吸収された。10%前後の急こう配が続き、小雨交じりの天気となるなか、集団からは徐々にビッグネームも脱落し始め、急速に人数を減らしていった。

 イネオス列車は3人目のミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)に交代するとさらにペースアップ。しかしその後ろに付く選手が、それまでのゲラント・トーマス(イギリス)からクリストファー・フルーム(イギリス)に位置を変え、本来イネオスのエース級の一角であるフルームに余力が少ないことをうかがわせた。

クフィアトコフスキの強力なけん引。しかし直後に付けるフルームが苦しい様子を見せる ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 クフィアトコフスキの強烈なペースアップに、ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が脱落。さらには何とフルームが、先頭に出ることなく集団から遅れてしまう。アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム)といった有力選手も脱落するが、クフィアトコフスキの攻撃は両刃の剣となってしまった。

ログリッチがアタック1発で勝負を決める

 イネオス列車の先頭はトーマスに交代し、イネオスのエースはエガン・ベルナル(コロンビア)であることが明確となった。ラスト3kmでトーマスもけん引を終えると、イネオスのアシストはパヴェル・シヴァコフ(ロシア)を残すのみ。しかしすかさずエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がアタックで集団をかき乱すと、これに反応したのはユンボ・ヴィスマのアシストであるクスだった。

 ブッフマンの動きを封じたクスは、そのまま集団先頭をけん引。ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)らが脱落するなか、残り1.6kmではついに本命のベルナルが攻撃を見せる。しかしこの動きにもクスが難なく反応。エースのログリッチを動かすまでもなく、ベルナルを封じてみせた。

 11人に絞られた先頭集団はなおもクスがけん引。ラスト1kmを切ると、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)がアタックして、ブッフマン、ログリッチが反応する。エース勢同士の戦いに一瞬けん制の空気が流れる。すると今度はログリッチが先頭へ出ながらグッとペースを上げた。ログリッチをマークしていたベルナルが付ききれず離れたのを見ると、ログリッチはそのまま全開で単独ゴールを目指す。

ログリッチはステージ優勝とともに、個人総合のリーダージャージも獲得した ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 ベルナルは完全に付き切れ状態となり、ログリッチを追うことができない。そしてベルナルが追うのを一瞬待ったライバル勢も反応が遅れてしまう。ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)が追い込んだが全く届かず、そのままログリッチが単独先頭で超級山岳のゴールを切った。2位ピノ、3位ブッフマンで、個人総合順位もこの並びとなった。ベルナルは10位に沈み、個人総合では4位に後退した。

 有力勢の力関係がまず見えた第2ステージとなったが、第3ステージも難関山岳が待ち受ける。コランからサン=マルタン=ド=ベルヴィルに至る157kmは、後半に超級のマドレーヌ峠をこなし、ラストも1級山頂ゴール。濃縮されたツール・ド・フランス前哨戦は、毎日がクライマックスの趣だ。

第2ステージ結果
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 3時間39分40秒
2 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +8秒
3 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
4 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
5 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) +10秒
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)
7 ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング)
8 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)
9 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)
10 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)

個人総合
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 9時間7分12秒
2 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +12秒
3 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +14秒
4 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) +16秒
5 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) +18秒
6 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) +20秒
7 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)
8 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)
9 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)
10 ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング)

ポイント賞
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 25 pts
2 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 23 pts
3 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) 22 pts

山岳賞
1 ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム) 16 pts
2 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 15 pts
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) 12 pts

新人賞
1 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) 9時間7分28秒
2 ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング) +4秒
3 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +55秒

チーム総合
1 ユンボ・ヴィスマ 27時間23分45秒
2 グルパマ・エフデジ +1分37秒
3 EFプロサイクリング +4分12秒

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UCIワールドツアー クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2020

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