クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2020 第1ステージ好調ファンアールトがアップヒルスプリントをモノに ユンボ・ヴィスマがレースを制圧

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 フランスの山岳地帯を舞台とするステージレース、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)が8月12日に開幕。大会初日は上りスプリントでのステージ争いとなり、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が勝利。今大会最初のリーダージャージ着用者となった。ファンアールト擁するユンボ・ヴィスマは、終始レースをコントロール。まずは大会全体の主導権確保に成功している。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2020第1ステージ、急坂でのスプリントをワウト・ファンアールトが制した ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

山岳オンリーのツール前哨戦

 本来は5月31日から全8ステージで開催を予定していた大会は、新型コロナウイルス感染拡大によるパンデミックで大幅に延期。なんとかレース実施にこぎつけ、会期を5日間に短縮。当初セッティングしていたコースを再編するなどして、これまでにない山岳比重の高いルートを設定した。

スタート前のチームプレゼンテーションに登壇したクリストファー・フルーム。マスクを着用する ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 そんな中でも、従来のドーフィネと変わりないのが「ツール前哨戦」の趣き。ロードレースシーズン再開から約2週間。そしてツール・ド・フランス開幕までもおおよそ2週間というタイミングでの駆け込み開催は、ツール本番を見据える実力者たちを呼び込むには十分な状況ともなった。今大会はUCIワールドチームを中心に全23チーム・161選手が出走。そのうち、個人総合優勝経験者はアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、クリストファー・フルーム、ゲラント・トーマス(ともにイギリス、チーム イネオス)の3人。さらに総合表彰台経験者6人、ステージ優勝経験者が18人と、豪華な顔ぶれとなった。

 第1ステージは、クレルモン・フェランからサン・クリスト・アン・ジャレまでの218.5km。中央山塊特有の変化に富んだルートには、2級から4級までのカテゴリー山岳が7つ控える。レース後半、フィニッシュまで残り約35kmのところでいったんフィニッシュラインを通過し、小周回を1周。最終局面は4級山岳をクリアしたのち、わずかに下ってからの急坂の先がフィニッシュとなっている。なお、道中約130kmはツール第14ステージのコースと重なっている。

序盤に決まった逃げの5選手 ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 そうして始まったレースは、10km地点でミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)、ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)、トムイェルト・スラフテル(オランダ、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)、クイントン・ヘルマンス(ベルギー、サーカス・ワンティゴベール)、ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)の5人が逃げグループを形成。メイン集団に対して最大で約5分30秒のリードを得る。この間、逃げメンバーが山岳ポイントや中間スプリントを1位通過していったが、中盤に入って変調。ボニファツィオ、ヘルマンス、ファンムールと、軒並み先頭から脱落。メイン集団に飲み込まれるどころか、3人そろってレースからリタイアする格好となった。

 その後はシェアーとスラフテルの2人逃げとなり、集団とのタイム差は3分台で推移。集団はユンボ・ヴィスマやドゥクーニンク・クイックステップがアシストを送り込んでペースメイク。追撃タイミングを図りながら、残り距離を着々と減らしていった。

上りスプリントはファンアールトがライバルを圧倒

 逃げグループにさらなる変化が見られたのは、残り56km。スラフテルが意図的に集団へと戻る意思を示してスピードを緩めると、シェアーが単独で先頭に立つことに。しばらくは独走状態をキープしたが、終盤の小周回に入ると同時にメイン集団からレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)とセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チーム サンウェブ)がアタック。さらにはカンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)も飛び出して、シェアーへの合流を狙う。

ユンボ・ヴィスマが終始レースの主導権を握った。先頭はロベルト・ヘーシンク ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 なかでもパシェに勢いがあり、残り25kmでシェアーに合流。しかし、そのままパスして単独先頭に立とうかというところで、下りコーナーでスリップし落車。シェアーが再び先頭に立つが、すぐにカヴァニャとクラーウアナスンが加わる。一呼吸置いたところでカヴァニャが飛び出し、逃げの態勢に持ち込む。この日のスタート地クレルモン・フェラン出身とあって、地元勝利のチャンスに賭けた。

 だが、メイン集団はさすがに逃げ切りは許さない構え。ユンボ・ヴィスマがコントロールの姿勢を強めると、労せずカヴァニャを吸収。そこからはロベルト・ヘーシンク(オランダ)を先頭にしたユンボトレインが完全にプロトンを支配した。

急坂の先にあるフィニッシュ目掛けてスプリントするメイン集団 ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 残り5kmを切って有力チームのトレインも集団前方へと上がってくるが、上りを利用してのリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)、ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)らのアタックを機に、再びユンボ勢が牽引を本格化。ステフェン・クライスヴァイク、トム・デュムラン(ともにオランダ)と総合系ライダーがリードアウト役を務めて最終局面へと突入した。

 60人近い人数が一団となってやってきたフィニッシュ前。ユンボ勢は完全に前方を固めると、残り200mでファンアールトが満を持してスプリントを開始。急坂も段違いのパワーで押し切り、ライバルの追随を一切許さない。大会初日を制してみせた。

第2ステージから舞台はアルプスへ

 8月8日に行われたミラノ~サンレモでは初のモニュメント制覇を果たすなど、ここまで絶好調のファンアールト。この日も狙い通りの流れで、初日のリーダージャージ確保となった。ユンボ・ヴィスマはレース前半からトニー・マルティン(ドイツ)が集団をコントロールし、後半にはヘーシンクやセップ・クス(アメリカ)が引き継いだ。そして、終盤にかけてはクライスヴァイクとデュムランが構築。総合エースと目されるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)はライバルを抑える役に回り、ファンアールトのスプリントに貢献。上りが厳しくなる第2ステージ以降は、リーダージャージを受け継ぐべくチームを率いる立場となるだろう。

大会最初のリーダージャージ着用者となったワウト・ファンアールト ©︎ A.S.O./ Alex Broadway

 このステージでの総合系ライダー最上位は、エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)の3位。上位フィニッシュ3人に付与されるボーナスタイムをゲット。ログリッチらジャージ争いのライバルに対して総合タイム差4秒のリードを手にしている。チームのトリプルリーダーとして並ぶトーマスはメイン集団で終えているが、フルームが終盤にポジションを下げて5分以上遅れてのフィニッシュ。状況的に、ベルナルにチームリーダーの座が与えられることになりそうだ。

 13日に行われる第2ステージは、この日と打って変わって135kmのショートステージ。しかし、最後に迎えるコル・ド・ポルテは今大会最初の超級山岳。登坂距離17.5kmと長く、平均勾配も6.2%ながら断続的に10%超えの区間が現れる大会前半最大の難所。アルプスへと舞台を移すとともに、総合争いの火蓋が切って落とされることとなる。

第1ステージ結果
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 5時間27分42秒
2 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) +0秒
3 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
5 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)
6 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)
7 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)
8 ブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
9 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
10 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)

個人総合
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 5時間27分32秒
2 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) +4秒
3 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) +6秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +10秒
5 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)
6 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)
7 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)
8 ブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
9 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
10 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)

ポイント賞
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 25 pts
2 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) 22 pts
3 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) 20 pts

山岳賞
1 ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム) 4 pts
2 トムイェルト・スラフテル(オランダ、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト) 2 pts
3 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 1 pts

新人賞
1 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) 5時間27分38秒
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +4秒
3 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)

チーム総合
1 ユンボ・ヴィスマ 16時間23分6秒
2 アージェードゥーゼール ラモンディアール +0秒
3 チーム イネオス

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UCIワールドツアー クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2020 ロードレース

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