バイクインプレッション2020細部を突き詰めたフラッグシップモデル フェルト「AR FRD アルティメット」

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 2020年モデルとしてデビューを果たしたフェルトの新型エアロロード「AR」に、フラッグシップモデル「AR FRD アルティメット」が加わった。コスト度外視の最上位グレードを実走して試した。

フェルト「AR FRD アルティメット」 Photo: Shusaku MATSUO

 フェルトのARシリーズは空力性能を追求したエアロロードだ。初代の登場は2008年と同カテゴリー内では先駆け的な存在であり、成熟を重ねて今季3代目が発表された。

ダウンチューブには「トランケーテッド・エアフォイル・シェイプ」、シートチューブにはタイヤを覆うような「フィッシュリップ」形状を採用しエアロ性能を向上 Photo: Shusaku MATSUO

 「速いのは当然」というコンセプトのもと、設計されたフレームは空力性能はもちろん、乗りやすさと扱いやすさを両立させたデザインとなった。「ロー・ヨーアングル・セオリー」に基づいた設計は、ヨー角0度時に9.4%の空力性能の向上を達成。コックピット周りはワイヤーを一部露出させることで、メンテナンス性とエアロ性能を兼ね備えている。ノーマルのハンドルとステムを使用できる点もユーザービリティに長けていると言える。

プラス30万円の価値はあるのか?

 今回インプレッションをお届けするFRDは、フェルトがコストに上限を設けずに作成したフラッグシップモデル。使用されるカーボンシートは無駄なくCNCカットが施され、繊細な指示書に従ってレイアップされる。成型時に使用するモールドは一体型インナーモールドで、使い捨てとなるために、非常に手間がかかっている。

ケーブル類を内装しつつも高いユーザビリティを持つコックピット周り Photo: Shusaku MATSUO
FRDならではの繊細な製法で成形された Photo: Shusaku MATSUO

 ジオメトリーや形状が同じ「AR アドバンスド」をこのバイクインプレッションコーナーでも試したが、エアロロードの中でも前評判通り扱いやすく、そして速いと述べていた。そのアドバンスドモデルからフレーム価格でプラス30万円の価値があるのだろうか。試す前から気になっていたポイントである。

 まず、走りの違いについて申し上げると、FRDの方が硬質で鋭さが増している印象があった。ペダルを踏みこんだ瞬間にスーッと加速し、脚離れよく反対の脚を踏み下ろすことができ軽やかだ。フレームの重量自体はアドバンスドで1180g、FRDで1100gと大きな差はないが、細かい点まで突き詰めた製法が違いを生んでいるのだろう。

ノーマル比の実重量以上の軽やかさがあり、速さに磨きがかけられた Photo: Kyoko GOTO

 今回試した車両は完成車としてラインナップしているモデルで税抜158万円とエアロロードの中でも非常に高価な部類に入る。デュラエースDi2とHEDのホイールの組み合わせもマッチして、車両全体のまとまりも高い。実際にコーナーの回頭性、加速時の変速性能、フィーリング…突き詰めたスペックを組み合わせているので性能も最高級と言える。しかしながら手が出しづらい価格であるのも事実である。

 フレームセットであれば、AR FRDは税抜59万8000円とライバル機種と並ぶ価格帯となって現実的になるだろう。ここで“30万円差に価値はあるのか”に話は戻るが、あると言っていい。メーカーがコストをかけて作り上げたフレームには、乗り手が感じ取れる明らかな違いがある。一方、アドバンスドモデルがバーゲンプライスであるのは間違いない。エアロロードに乗って速いサイクリングを楽しみたい、というユーザーであればアドバンスでモデルで十分だ。ただ、やはりFRDは突き詰めたレーシングスペックであるため、コンマ1秒でもライバルよりも先着したいというシリアスレーサーにおすすめしたい。

■フェルト「AR FRD アルティメット DuraAce Di2」(完成車)

税抜価格:1,580,000円
カラー:マットテクストリーム
サイズ:48、51、54、56、58
ハンドル:Pro Components Vibe Aero
コンポーネント:Shimano Dura-Ace Di2
クランク:Shimano Dura-Ace R9100
ブレーキ:Shimano Dura-Ace R9170
ホイール:HED Vanquish RC6 Pro Series カーボン チューブレスレディ
完成車参考重量(54サイズ):7.68kg

■フェルト「AR FRD アルティメット」(フレームセット)

税抜価格:598,000円
カラー:マットテクストリーム
サイズ:48、51、54、56、58

松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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