ミラノ〜サンレモ2020真夏のモニュメント初戦「ミラノ〜サンレモ」をファンアールトが制す アラフィリップは連覇ならず 

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 新型コロナウイルスの影響のため延期されていたUCIワールドツアー「ミラノ〜サンレモ」が8月8日に開催された。今シーズンのモニュメント(5大ワンデーレース)初戦は、ポッジオの上りで抜け出した前年度王者のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)の一騎打ちとなり、ファンアールトがスプリントを制して初勝利を飾った。

アラフィリップとのマッチスプリントを制し、モニュメント初優勝を飾ったファンアールト Photo: BS / SUNADA

バカンスシーズンに延期され、大幅なコース変更

 ミラノ〜サンレモは「ラ・プリマヴェーラ」(イタリア語で春の意味)の愛称を持つレースであり、時には雪が降ったり、冷たい雨に苦しめられることもあった。しかし、今大会はコロナ禍の影響で真夏の8月に延期され、レース当日の気温は30℃を超えていた。

 さらに、例年使用している海岸沿いの道路がバカンスシーズンに被ったため通過できず、道中の大半が内陸部を走ることとなった。その結果コースに2つの峠が組み込まれた。いずれも平均勾配3%ほどの上りではあるものの登坂距離が長く、獲得標高は例年の2000mから2700mへと増加した。

ミラノ〜サンレモ2020 コースプロフィール ©RCS

 一方で最終盤に控えるチプレッサ(距離5.6km・平均勾配4.1%)とポッジオ(距離3.7km・平均勾配3.7%)の上りは健在。内陸部を迂回することでレース距離は例年の291kmから305kmとなり、現代ロードレースでは最長となった。

 加えて大会主催者は出場チームを増やすために、1チームあたりの出場人数を7人から6人に減らしている。気温が暑くなり、上りが増え、距離も長くなり、チーム人数も少なくなったミラノ〜サンレモは例年とは全く違った顔を見せると思われていた。

 とはいえ、スタート直後は少人数の逃げが形成される例年通りの展開を見せた。

逃げの7人 Photo: BS / SUNADA

 逃げメンバーはマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナプロチーム)、エクトル・カレテロ(スペイン、モビスター チーム)らに加え、昨年までNIPPO・ヴィーニファンティーニに所属していたマルコ・フラッポルティ(イタリア、ヴィーニ・サブ・KTM)とダミアーノ・チーマ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ)を含む7人だ。

 メイン集団はグルパマ・エフデジ、ユンボ・ヴィスマ、ドゥクーニンク・クイックステップなど優勝候補を擁するチームがけん引し、残り100kmでタイム差は3分程度となっていた。

メイン集団は有力チーム勢がコントロール Photo: BS / SUNADA

 残り87km地点でマッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム)を含む5人が落車。優勝候補ともいわれていたトレンティンは左肩を負傷してリタイアを余儀なくされた。

 2つの峠では特に大きな動きは生まれず、徐々に逃げ集団とのタイム差が縮まっていった。勝負どころのチプレッサを前にした、残り35km地点で逃げをすべて吸収。

 すると、アラフィリップがメカトラでストップ。すぐにバイク交換を行いチプレッサを前に集団復帰を果たしたものの、無駄足を使う羽目に。

 チプレッサに突入すると、ジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード)とロイック・ヴリーヘン(ベルギー、ワンティ・ゴベール)が集団から抜け出した。集団はボーラ・ハンスグローエを筆頭にペースを上げていったため、脱落する選手が続出。2018年2位の実績を持つカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)らが遅れを喫した。

勝負どころを前に道一杯に広がるプロトン Photo: BS / SUNADA

 ボーラはなおもハイペースで集団をけん引して、山頂を前にモスカとヴリーヘンを集団に引き戻した。先頭でけん引していたダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)はダウンヒルを攻め続け、下りきった頃には後続から10秒近いアドバンテージを得ており、そのまま逃げに入った。

単独抜け出したダニエル・オス Photo: BS / SUNADA

 メイン集団はドゥクーニンク・クイックステップがけん引。ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)が先頭固定で前を追いかけるも、オスとのタイム差はなかなか縮まらない。

 オスは10秒リードのまま、ポッジオの麓に到達。しかし、上りに入るとすぐに失速し、集団に吸収された。

最大1520ワットのパワーで勝ち取った初優勝

 各チーム主導権争いが激化するなか、最初にアタックを仕掛けたのは2017年王者のミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、チーム イネオス)だった。ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)、ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が反応するも、この動きは成功せず。

 続いてジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)が集団から飛び出した。アイメ・デヘント(ベルギー、ワンティ・ゴベール)のみが追従し、2人で抜け出す格好に。

 山頂まで1kmを残したところで、デヘントがアタック。ブランビッラを置き去りにした。しかし、その直後メイン集団からアラフィリップがアタック。爆発的な加速力で集団から飛び出すと、あっという間に先頭デヘントをかわしていく。そのアラフィリップにただ一人ついていけたのがファンアールトだった。

ファンアールトは前週のストラーデビアンケに続くワールドツアー2連勝、そしてモニュメント初制覇を果たした Photo: BS / SUNADA

 アラフィリップは全開のアタックを続け、山頂手前でファンアールトを千切って、単独で山頂を通過。2秒ほど空いてファンアールトも山頂を通過し、メイン集団はさらに5秒ほど遅れて通過した。

 しかし、テクニカルなダウンヒルでアラフィリップはオーバーランしそうになるなど、持ち前のテクニックを生かせず、ファンアールトに追いつかれてしまう。

 2人がポッジオを下りきったところで、後続集団とは6秒差。残り1km付近からアラフィリップはローテーションを拒否して、ファンアールトの背後につく。2人のマッチスプリントが濃厚となるなか、付き位置のアラフィリップはファンアールトの仕掛けを待つ。

 残り200m、ファンアールトがスプリント開始すると同時にアラフィリップも加速。スリップストリームからアラフィリップが一旦は前に出かけるものの、最大1520ワット・20秒間平均1070ワットに達するとてつもないパワーを発揮したファンアールトが最後は巻き返して、ホイール半分ほどの差で先着。自身初となるモニュメントの勝利に加え、前週のストラーデ・ビアンケに続いてワールドツアー2連勝を飾った。

優勝したファンアールト(中央)を祝福するアラフィリップ(右)。3位はマイケル・マシューズ Photo: BS / SUNADA

ミラノ〜サンレモ結果
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 7時間16分9秒
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +0秒
3 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) +2秒
4 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
5 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、NTTプロサイクリング)
6 ディオン・スミス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)
7 アレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ プロチーム)
8 グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、CCCチーム)
9 フィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)
10 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・マクラーレン)

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