バイクインプレッション2020速さへの妥協を排除したハイエンドモデル スペシャライズド「S-WORKS ターマックSL7」

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 スペシャライズドのオールラウンドモデル「ターマックSL」がフルモデルチェンジを果たした。軽く、扱いやすかった特性をそのままにエアロ性能を追加。妥協を一切排除したハイエンドモデルの実走インプレッションをお届けする。

フルモデルチェンジを果たしたスペシャライズド「S-WORKS ターマックSL」 Photo: Masami SATOU

 ターマックは上り、下り、平坦と全てのフィールドで戦えるスペックを纏ったレーシングバイク。これまでプロ選手の走りを支え、勝利を量産してきた。特に、前作のSL6では軽さを生かし、山岳系ライダーが好んで使用。ディスクブレーキ化も果たし、着実に進化を果たしてきたモデルである。

 一方、同ブランドではエアロロードの「ヴェンジ」もラインナップ。優れた空力性能と加速力がスプリンターに支持され、ペテル・サガン(スロバキア)や、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)らがヴェンジを駆り、フィニッシュラインで競るシーンは記憶に新しい。

S-WORKSの完成車にはロヴァール「ラピーデCLX」を採用 Photo: Masami SATOU
コンピュータによる解析と、自社の風洞施設によるテストを経て理想のエアロ形状を纏っている Photo: Masami SATOU

 それぞれ、選手のタイプに応じた選択肢を用意していたスペシャライズドだが、“一方のバイクを選んだ場合、妥協している点があるのではないか”という考えから開発が行われたのがターマックSL7だ。軽さとエアロを両立したことで、どちらのタイプの選手にとってもベストな選択肢として用意された。

 S-WORKSのフレームには最高グレードのカーボン素材(FACT12R)が用いられ、56サイズのペイント込みで800gという軽さを実現。デュラエースDi2やロヴァール「ラピーデCLX」を組み合わせた完成車に、ペダルやサイクルコンピューターなどを装着してようやく6.8kgを上回る軽さとなる。

ケーブル類が収められたコックピット周り Photo: Masami SATOU

 フレーム形状には所々にヴェンジ譲りのカムテールデザインを採用。自社の風洞実験設備でのテストを経て、理想の空力性能を手に入れた。ケーブル類をフル内装した「ターマックステム」や、ハンドル「エアロフライ」など、空気抵抗を抑えるためのマージナルゲインを積み重ねた結果、SL6と比較して距離40kmの走行で45秒速く走ることが可能になった。

踏んだ先にある剛性が速さの鍵

 筆者はヴェンジを愛用しており、爆発的な加速を生む“塊感”と、エアロ性能から生まれる巡航性能の高さをとても気に入っていた。そこに軽さが加わることでどのような走りになるのだろうか、とターマックSL7に高い期待を抱いてテストライドを行った。

 まず、乗ってすぐに感じたのは意外にもソフトであること。低速で走り始めると各チューブのしなりが体に伝わってくるし、ハイエンドモデルらしいカチッとした剛性は感じられない。一方で、極端な軽さもよくわかる。“持って軽い”ではなく、“乗って軽い”という意味だ。ディスクブレーキを備えているとは思えないほどヒラヒラと車体を振れる。

 ここからパワーをかけていったのだが、速度と出力が上がるごとにフレームの一体感が増していき、押し出されるような加速感を生んでいく。高い速度域に達しても鈍ることはなく、速い。特に上り坂では顕著にその性能が表れ、軽さと剛性が推進力へと変わっていくが楽しくてしょうがない。

総合力を底上げし、1台で全てをこなす真のオールラウンダーへと進化した Photo: Masami SATOU

 スピードの維持性能も狙い通り向上していると感じた。フレームやハンドル周りのエアロ性能もさることながら、ロヴァール「ラピーデCLX」が車体にマッチしている。フロント51mm、リア60mmと高いリムハイトながら重々しさはなく、風を切るように進んでいった。

 ハンドリングも磨き上げられている。アールに沿ったラインを思いのままにトレースできるし、切れ込むようにイン側に向かったり、ブレーキングをしながらコーナーへと突っ込んでもハンドリングが乱れない。ヴェンジとは異なったより自然なフィーリングなので、極端な話だがビギナーでも良いと思えるレベルだと思う。

 何日かテストライドを行ったが、速さにおいて死角を見出すことはできなかった。とにかく速いバイクを求めるサイクリストにオススメしたい1台だ。

■スペシャライズド「S-WORKS ターマックSL7」

税込価格:1,452,000円(デュラエースDi2完成車)、605,000円(フレームセット)
サイズ:44、49、52、54、56、58
重量:6.7kg(完成車)、800g(フレーム)

松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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