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つれづれイタリア~ノ<148>日本で例えると小田原~熱海? ミラノ~サンレーモ開催の難しさ

by マルコ・ファヴァロ / Marco FAVARO
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 待ちに待った“春のクラシックレースシーズン”がイタリアから始まります。イタリアの美しき町、トスカーナで開催される第14回ストラーデ・ビアンケ(RCSスポーツ主催)に続き、8月8日に111回目の開催を迎えるミラノ〜サンレーモも開催されます。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で、言うまでもなく例外づくめのレースカレンダーです。今回はミラノ〜サンレーモに注目をし、レース開催の難しさについて話したいと思います。

日本で例えると小田原~熱海? バカンスシーズンのイタリアでは開催地の日程調整が難航 ©Yuzuru SUNADA

困難を極めた開催日程調整

 本来、ミラノ・サンレーモは3月の第1土曜日に開催されます。ミラノの中心部をスタートし、南下しながらリグリア州、サンレーモ市を目指す約300kmのレースです。歴史も、距離もほとんど類を見ないスケールのレースです。

約300kmと長丁場の歴史あるレース ©RCS Sport

 ようやく開催に至ったミラノ・サンレーモですが、3月開催と8月開催は状況が大きく異なります。8月はバカンスシーズンの真っ只中で、特にリグリア州の海岸線に沿って伸びる国道1号線のアウレーリア街道はバカンスに向かう車の大群で慢性的な交通渋滞が発生することで有名です。さらに、2018年に発生した高速道路の高架橋崩落の影響もあり、この2年間で交通渋滞は悪化。関東地方で例えれば、お盆の一番ひどい時の小田原〜熱海間、東伊豆半島の渋滞を連想すればいいでしょう。

 6月上旬の段階でUCI(国際自転車競技連合)が8月22日にレースを開催するという案を出しました。しかし、ツール・ド・フランスを含め、国内選手権など、多くのレースが混在してしまうので8月15日に変更。ですが、15日はまさにイタリアのお盆に当たる日なので、ゴールとなるサンレーモ市が開催に反対し、8日に落ち着きました。ここまで来てもまだ安堵できません。

約300kmの長丁場ですが、例年僅差で優勝争いが繰り広げられます ©Yuzuru SUNADA

 サンレーモに隣接するサヴォーナ県のほとんどの市町村から、新しいスケジュールに対して赤信号が出されました。新型コロナウイルス対応で、人材不足を理由に道路使用許可を出しませんでした。そこで、大会を運営するRCSスポーツは思い切ったコース変更に踏み切りました。111年の歴史の中で初めてのことです。

道路の狭いイタリア。大会組織員会、警察、チームカーとバスだけで大渋滞が発生します。レース後も1時間以上、ゴール付近が撤去作業のために封鎖されます Photo: Marco FAVARO

 イタリア中からサヴォーナ県に対し非難の声が上がりましたが、コース変更は思いがけない副産物を生み出しました。これまでも十分に長くて苦しいレースでしたが、さらに難易度が上がり、今年の大会は誰が勝つか全く予想がつかない面白い展開になってきました。柔軟な考え方を持っていれば、なんでもできるということを教えてくれています。

充実したVIPファンサービス

 スタート時間も変更になりました。本来は10時スタート、午後5時30分ゴールの予定が、日照時間が長いので午前11時スタート、午後6時30分ゴールというスケジュールです。たった1時間違いですが、イタリアの夏の晩御飯は午後8時以降と遅く、ゴールに駆けつけた観戦客は周辺のレストランに立ち寄ると期待されます。やはりレースがもたらす経済効果は無視できません。

大会公式のVIPカーによるレース帯同や、飲食の提供が行われるVIPプログラム「Milano Sanremo Hospitality」 ©RCS Sports

 自転車レースの醍醐味は、選手のすぐそばでレースを観戦できることです。しかし、もっと近くに楽しみたい、目の前で感動のゴールシーンも見たい、おいしいお酒を飲みながら観戦したい。そのファンのために、VIP待遇の特別なサービスも提供されています。

 それが「Milano Sanremo Hospitality」というプログラムです。内容が素晴らしく、至れり尽くせりです(私もいつかこのVIP待遇を体験してみたい)。案内役はもちろん元プロ選手です。

「Milano Sanremo Hospitality」内容

・レース中にVIP専用公式カーの使用
・スタート付近の専用エリアに専用バーサービスにアクセス
・朝食サービスを提供
・VIP専用公式カーでレースを追尾
・お弁当提供
・ゴールエリアに、専用オープンバーとケータリングサービスを提供
・大型テレビ画面でレース観戦

全プログラムはこちらへ(イタリア語・英語版)
https://www.milanosanremo.it/wp-content/uploads/2020/07/MILANO-SANREMO_HOSPITALITY-2020_08-AUG-1.pdf
メール:Info: giroclub@rcs.it
※予約などは公式旅行代理店へお問い合わせください

 試行錯誤を繰り返しながらという状況ですが、ようやくレースシーズンがスタートしました。新型コロナウイルスが社会に与えた影響は大きく、自転車レースも例外ではありません。それでもワクチンがない中で、この病気とどう付き合うか、という舵を切ったヨーロッパ。日本国内のレースも同じ熱心さを持ってもらいたいものです。

Marco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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