東京・パリ五輪を目指して日本競輪選手養成所は世界への階段を上る場所 選手候補生・窪木一茂が“いま”をリポート

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 この春から日本競輪選手養成所へ入所し、選手候補生となった窪木一茂選手(チームブリヂストンサイクリング)。世界の舞台での活躍を目標に、世界基準の短距離競技育成カリキュラムをもつ養成所で、トラックレーサーとして日々努力を重ねています。そんな窪木選手から、養成所での生活や練習の様子を綴ったリポートが届きました。養成所がどのようなところか、そこで自身が何を感じているのか。一般的にはあまり知られていない、養成所での生活も垣間見ることができる貴重なリポートです。

候補生が着用するヘルメットキャップの色は実力によって色分けされている 画像提供: 日本競輪選手養成所
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日本競輪選手養成所とはどんなところ?

 日本競輪選手養成所とは、端的にいうとプロフェッショナルアスリートに必要な技能と知識を身に着けさせ、プロの競輪選手を育てる養成機関です。

 競輪は「賭け」を伴う自転車競技です。賭けの対象となる「競輪選手」になるため、必要な専門知識、必要な脚力、競走技術、社会人になる上での心構え、礼節を養成所で修得します。入所直後期、中間期、卒業直前期において「卒業認定考査」があり、競輪選手に必要な適性を見極めます。

訓練の合間に自転車の整備を行う 画像提供: 日本競輪選手養成所

 午前6時30分の起床から午後10時の消灯まで綿密にスケジュールが組まれ、基本的に土曜日の午後と日曜日に自由時間があります。

 日本競輪選手養成所に入所すればプロデビューが確約されているわけではなく、課された試験等で不合格となった場合は退所となってしまいます。

 それに加えて、試験以外においても別に定める禁止事項、生活規定を守れない選手候補生は、同じく退所になる場合があります。そのため皆、相当の心構えを持って日々の訓練・生活を送っています。

どんな施設がある?

 養成所は伊豆市にある標高300mほどの緑に囲まれた丘陵地にあり、選手の育成に最適な設備が揃っています。

 周回サーキットコース、屋内ローラー練習場、屋内型バンク(JKA250)、登坂走路、水平走路、トレーニング階段(145段)、体育館、能力測定室、自転車の整備技術を修得する実習室に加えて、隣接するサイクルスポーツセンターの施設も活用しています。

333mピスト(トラック)でのトレーニング。前を走るのは同じ中距離種目日本代表経験のある新村穣候補生 画像提供: 日本競輪選手養成所

 2019年に竣工した屋内型バンク「JKA250」は日本で2つ目となる室内ベロドロームで、国際規格と同様の造りになっています。天候にも左右されず、万全の体制で世界を見据えたトレーニングに打ち込むことができます。

どんな選手が集まっている?

 今回生で言えば最年少は17歳の選手で、最年長が33歳です。全選手候補生数は94人で、72人が男子候補生、22人が女子候補生です。実績は様々で、元サッカーJリーグで活躍していた選手や、女子ソフトボールの元日本代表選手など、他競技から競技転向してくる候補生も多くいます。

プロアスリートになるための栄養価の高い食事が毎日提供される 画像提供: 日本競輪選手養成所

 競輪選手となって活躍する目標を一緒に追いかけながら、トレーニング方法の話もいろんな角度から聞くことができるので、とても刺激を受けています。

自転車と向き合い、ゼロから学ぶ

 もっと強くなるために、何が必要なのか、自分には何が足りないのか、リオ五輪が終わった直後からずっとその事ばかりを考えていました。記録が更新された時や、レースで優勝した時ほど考えてしまうのです。

 リオ五輪後から東京五輪に向けて海外ロードチームで走り、2018年に日本に帰国。自分自身のフィジカルを最大限上げるために、ドクターやフィットネスアドバイザー、管理栄養士、理学療法士などから成る「チーム窪木」を構成し、強い身体を手に入れました。当時の計画では2019年のシーズンが終わり次第、オーストラリアでトラックでのトレーニングに備えるつもりでした。理由は明確で、そこに強いエネルギーを感じていたから。

 しかし昨今の日本短距離代表チームのトレーニング事情や結果を目の当たりにし、私自身もこの2年間、日本競輪選手養成所で多くのことを短距離チームから学ばせてもらうことがこれからの自分にとって、東京・パリのオリンピックに対してすごく有益なものであると感じました。そして、入所を志願しました。

 まずはもう一度自転車と向き合い、自転車についてゼロから学ぶというスタンスで、いま日本競輪選手養成所に身を置いています。原点回帰というか、養成所で共に過ごす人たちとの出会いであったり、いろいろなことを吸収できそうなのですごくワクワクしています。

タブレット端末で乗車フォームをチェックする窪木 画像提供: 日本競輪選手養成所

 8月末の第2回記録会において「早期卒業」の認定をもらうことが目先の目標です。長期的には短距離競技だったり、世界基準の育成カリキュラムがあるこの競輪選手養成所から多くのことを学び、今まで育ててくれた中距離界にも恩返しをしたいと思っています。

 現時点で決まっている当面の目標は養成所早期卒業、「S級」への特別昇級、東京五輪オムニアム種目のリザーブ選手としての最高の準備、競輪選手と併せてパリ五輪に向けての準備をすることです。

 スポーツの力を信じ、もっと強くなって世界で戦い続けたいと思っています。応援よろしくお願いします!

窪木一茂 窪木一茂(くぼき かずしげ)

1989年生まれ。福島県石川郡古殿町出身の自転車競技選手。ロードレースとトラック中長距離の国内トップ選手として活躍。ロードでは2015年の全日本ロードレース選手権を制し、2016年から2シーズンはNIPPO・ヴィーニファンティーニに所属して海外レースを転戦。2018年には全日本個人タイムトライアルでも日本一に輝いた。トラック競技では、中長距離種目において個人・団体ほとんどの種目で日本チャンピオン獲得経験のある第一人者。2016年のリオデジャネイロ五輪にはオムニアム種目で出場。2019年もポイントレースやマディソン、4km個人追抜き、4km団体追抜きでも日本チャンピオンに輝き、国内記録、アジア記録を更新。

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