教えて! 安井先生<7>ロードバイクのウェア選びはどうすべき?
今回のお題
ロードバイクのウェアについて質問です。気温によって着る物をどうやって決めていますか? 安井さんのウェア選びについて教えてください

誰しも一度は迷うのがロードバイクのウェア選びですね。ウェアのフィット感はどうすべきか? ビブのパッドはどう選ぶべきか? 購入するときだけではなく、季節の変わり目はどれくらい着込むべきかといった問題もあります。僕の身長は平均を大幅に下回る(164cm)ので、参考にはならないかもしれませんが、ウェアを選ぶ際のポイントを書いてみようと思います。
ポイント1:ジャージのフィット感
まず気にするのは、ジャージのフィット感です。ロードバイクに乗るときは、できるだけタイトなほうがいい。これは、空力性能を考えた結果…ではなく、ロード乗りとしての身だしなみのようなもの。アマチュアライダーはすね毛を剃る必要なんでほぼないですが、でも本気でロードに乗るときは多くのロード乗りがすね毛を剃りますよね。それと同じ。フォーマルな場所にはスーツにネクタイで行くべきなのと同じように、ロードに乗るときはタイトなウェアを着るべきだと思ってます。

このタイトフィットのウェアを選ぶのがなかなか難しい。欧米のウェアメーカーは最小サイズでも僕には大きく、着られるものがないことも多いです。やっぱりロードバイクは欧米由来の文化。フレームサイズ同様、ちびっこにはツラい世界なんです。
しかも、ただ「体にフィットする」だけではダメ。前傾姿勢をとったときに、腕や背中が突っ張ってしまうと、前傾姿勢を維持すること自体に筋力が必要になるので、長時間のライドが辛くなってしまいます。

いろんなメーカーのウェアを試着してみて、「このメーカーの○サイズなら合うな」と探していくしかありません。ホイールやフレームが「乗ってみなければ分からない」のと同じように、ウェアも着てみなければわかりません。
タイトに、かつ自然に着れるということは、伸縮性に富んだ生地を使った、しかもカッティングに工夫があるウェアになるので、おのずとハイエンドモデルになってしまいます。
僕は小柄なうえに、自転車以外のスポーツ経験がほぼないので上半身はやせ形。しかし後ろ乗りで大臀筋は付いているので、ジャージはXS、ビブはSという上下異サイズになることもあります。
小柄な男性の方は、ジャージにレディースカットを選ぶというのもありだと思います。もちろん女性らしいデザインになっているものは着れませんが。チャンピオンシステムのウェアをよく着ていたときは、ジャージはあえてレディースのSを選んでました(メンズもレディースも同じデザインだったので)。
ポイント2:パッドの性能
ビブもジャージ同様、フィット感が大事です。ビブ部分の長さ、太もも部分の太さ、脚の付け根のフィット感を気にします。
パッドの性能ですが、僕は体重が軽く、しかも乗っているときはそれなりの強度で踏む(サドルへの荷重が減る)ので、パッドに過度な快適性は求めません。むしろ、分厚くてフカフカで過保護なパッドは自転車との一体感を削がれてしまう感じがして、あまり好きではありません。厳密に言えばサドル高も変わってしまいますし。なので、快適なハイエンドパッドではなく、あえてセカンド・サードグレードの薄いパッドを選ぶこともあります。

ポイント3:デザイン
デザインに関しては個人の主観なのでここでは言及するのはやめますが、ウェア単体で見てどうかより、実際に自転車にまたがったときにどう見えるかをイメージします。
ウェアとは直接関係ありませんが、ヘルメットやシューズは無彩色を選びます。最近は白が多いですね。鮮やかな有彩色を選んでしまうと、ウェアと合わせづらくなるためです。チームジャージなどいつも着るウェアが決まっている人は、それに合わせてヘルメットやシューズを選ぶべきだと思いますが。
ポイント4:体温調節
気温によってウェアをどう決めているかですが、「体温調節ができること」を意識しています。寒いからといって、分厚いウインタージャケットを着てしまうと、ヒルクライムで体温が上がったときに脱いで体温を調節することができません。
気温の低いときでも、冬用インナー、長袖ジャージ、ウインドブレーカーという組み合わせで走ることが多いです。走り出しはちょっと寒いですが、すぐ体が温まりますし、暑くなったらウインドブレーカーを脱ぎ、もっと暑くなったらジャージのファスナーを開ければ、かなり広い気温帯に対応できます。
同じ理由で、春は暖かくなってきたらすぐ半袖ジャージになりますし、秋口に長袖ジャージを着るのはかなり寒くなってから。半袖ジャージにアームウォーマーを組み合わせて、強度が上がって暑くなってきたらアームウォーマーを外して体温調節できるようにしています
ロードバイクになぜ乗るのかというと、「一生懸命ペダルを漕いで楽しむため」です。そのためには、「一生懸命ペダルを漕いでいるときに快適かどうか」を重視してウェアを選ぶべきです。走り出しやコンビニで休憩しているときに多少寒くても我慢しましょう。
大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。