title banner

サイクリスト目線でピックアップ‟キャンプツーリングの達人”山下晃和さんが使って選んだおすすめ寝袋3選 

  • 一覧

 そろそろ夏休み。今年は自転車でキャンプツーリングを計画している人も多いのではないでしょうか? キャンプはアイテムを選ぶのも楽しみの一つですが、オートキャンプと違って自転車キャンプでは機能性だけでモノ選びはできず、軽量かつコンパクトさも考慮しなければなりません。その代表的アイテムが寝袋(スリーピングバッグ)です。軽さ、保温力、何を優先するかで選び方は多種多様です。そんな寝袋について、Cyclistの人気連載『キャンプツーリングの達人』の執筆者である山下晃和さんが自ら使って選んだ「おすすめ3選」を紹介します。

自転車のフロントフォークにくくりつけた寝袋(左)。自転車では保温力だけでなく積載のしやすさも重要な要素です Photo: Akikazu YAMASHITA

選ぶポイントは積載のしやすさと必要温度

 以前「三種の“寝具”」の記事で紹介した内容をおさらいしますと、自転車キャンプツーリング用のスリーピングバッグを選ぶポイントは、①登山用の「マミー型」②自分が寒がりか、暑がりなのかを考慮して適応使用温度の数字から旅に出るシーズンの気候・気温を想定し、身長にあったサイズを選ぶ③積載するバッグ類に合わせて、収納サイズが小さく、軽量な物を選ぶ─でした。パニアバッグやサイドバッグがあれば積載量も大きいのですが、それらを使わないバイクパッキングスタイルの場合は積載可能な量が限られるため、細かく計算する必要があります。

 ただ、そもそも夏場の自転車キャンプツーリングであれば寝袋が不要な場面もあります。縦走登山のように標高が高い山々を転々とするわけではなく、整った低地のキャンプ場を走り繋ぐ場合は、タオルやシルクのトラベルシーツ等を身体にかけるだけで十分です。その点は行く場所に応じて考えると良いでしょう。

 とはいえ、最近は夏でも異常気象でゲリラ豪雨などが起きる可能性があり、そんなときは気温がぐっと冷え込むケースもあるので、スリーピングバッグは備えておくと憂いなしです。それでは私が実際に使用し、厳選したおすすめアイテムをご紹介していきましょう。

ジッパーさえも最低限に 世界最軽量クラス「ナンガ ミニマリスム」

 まずは、日本のブランドである「ナンガ」のスリーピングバッグです。ナンガはもともと滋賀県の寝具メーカーで、羽毛や繊維の研究をしていたこともあり、非常に高品質です。今もなお、すべての羽毛を国内で洗浄しています。自社工場が国内にあるため、すぐに修理が可能。さらに全てのモデルに「永久保証」という素晴らしい特典がついています。

今から10年以上前にタープ泊をしていた当時、使用していたナンガの「スーパー1000」というモデルの寝袋。今は自宅で使っています Photo: Akikazu YAMASHITA

 20代の頃、モーターサイクルで日本一周をしたときに使用した化繊の「スーパー1000」という古いモデルをいまも自宅で使っていますが、何度も縫い目を直してもらいながら未だ健在です。自転車キャンパーは夏がメインだと思うので、シーズンを越えて長く愛用できるのも安心です。

 今回おすすめするのは、そのようなナンガの製品の中では“変わり種”な超ウルトラライトスリーピングバッグ「ミニマリスム180」というモデルです。

ミニマリスム180をマットレスの上にセッティングした状態。182cmで73kgの私でも問題ありませんが、さらに身体が大きい人は入り口が窮屈に感じるかもしれません Photo: Akikazu YAMASHITA

 収納袋に収めれば、非常にコンパクトになります。フロントフォークにマウントしているゴリラケージにもすっぽりシンデレラフィットする、1リットルのペットボトルと同等のサイズです。

ゴリラケージのベルクロ部分に収めるとちょうどいいサイズ Photo: Akikazu YAMASHITA

 総重量325gは世界最軽量クラスとも言われています。それなのに、想定使用温度は0℃まで対応。肌あたりも非常に柔らかくてふかふかで、本当に暖かいです。ただし入り口が狭いので、女性や身長の低い男性であれば簡単に入れますが、大きな男性には少々窮屈かもしれません。

ジッパーはフルオープンではなく、23cmしか下げられないので、布団のようにかけて使うことは厳しい Photo: Akikazu YAMASHITA
入り口はフルオープンで直径約40cmと小ぶり。身体が大きい人が無理やり入ろうとすると、入り口を破壊してしまうかもしれません。コツは左右の腕を一つずつ入れること Photo: Akikazu YAMASHITA

防水透湿素材の次世代寝袋「モンベル シームレスドライダウンハガー」

 次は、自転車乗りにもおなじみの日本のアウトドアブランド「モンベル」の新作、「シームレスドライダウンハガー900#3 ロング」というモデルです。表面には縫い目がなく、防水透湿素材が使われているのが特徴です。

モンベルの「シームレスドライダウンハガー900#3 ロング」 Photo: Akikazu YAMASHITA

 雨の濡れや結露に強いこちらのスリーピングバッグは、前回の記事でご紹介した「ニンジャタープ」等のオープンタイプのタープ等と相性が良いでしょう。

家のシャワーで防水テストをしたところ、水滴があっという間に流れ落ちていきました。パサッと水滴を払うと全く濡れていない状態に。タオルや手ぬぐいで表面をサッと吹いてもドライになります Photo: Akikazu YAMASHITA
ジッパーはフルオープンではありませんが80cmほど開きます。スリーピングバッグは本来全開になるタイプが多いのですが、ジッパーは金属のため、多く使えばその分重くなります。また、そこから冷気が入るので寒くもなります Photo: Akikazu YAMASHITA
収納サイズは横が33cmとやや大きかったのですが、柔らかいのでコンプレッションバッグなどに入れたり、工夫をすればもう少し小さくなりそうです。大型のサドルバッグに入れる際は収納袋から取り出して直に詰めた方が良いでしょう Photo: Akikazu YAMASHITA

 900フィルパワー(※)という保温力がかなり高いダウンが使われており、対応温度も最低で-16℃と、自転車ツーリングなら真冬でも全く問題なく対応できます。シーム(縫い目)がない分、保温された空気が逃げません。

※フィルパワー:羽毛のかさ高性を現す単位。値が高いほど高品質で保温性に優れる。

 また「スーパースパイラルストレッチシステム」という特許技術で、135%という伸縮率の生地を実現。寝返りを打っても全く窮屈に感じません。重量は本体だけで626gと軽量。シュラフカバーが不要な点も軽量化に寄与します。

タフなツーリングにも応える化繊綿寝袋「ポリゴンネスト」

 最後に紹介するのは、こちらも国産ブランドの「ファイントラック」。「遊び手が創り手」という理念のもと、社員自らがアウトドアフィールドで使用し、テストを重ね、快適な山行のためのウェアを作るメーカーです。おそらく、サイクリングジャージの下に着ている人も多いと思いますが、「スキンメッシュ」というインナーの内側に着る撥水インナーを開発し、大ヒットとなりました。

 そのような革新的な技術に定評があるファイントラックが開発したのが、「ファインポリゴン」というシート状の立体保温素材を使用したスリーピングバッグ「ポリゴンネスト」です。

ファイントラック「ポリゴンネスト オレンジ」 Photo: Akikazu YAMASHITA

 こちらは羽毛ではなく化繊綿なので保水しにくく、水分の乾きが圧倒的に早いのが特徴です。すなわち、ケアが非常に簡単で、洗濯機に入れて普通に洗えます。かつて中南米放浪の旅でこの寝袋を使用していたとき、南米の格安ゲストハウスには洗濯機が無いとろも多く、洗濯専門のお店にお願いするのですが、そんなときも気にせずに出すことができました。

 また羽毛のように羽根が偏らず、雨で濡れてしまっても吊るして干すことができるので雨天時も想定されるタフな旅には便利です。

開閉しやすいよう首のジッパーの上にマグネットが付いています。このフラップにはベルクロを使うメーカーが多いですが、ベルクロは化繊やウール素材のインナーにひっかかるので、衣類を傷つけずに済むのも非常に有り難いです Photo: Akikazu YAMASHITA

 そして1m35cmも開くジッパーは、ほぼフルオープンといって良いでしょう。全開にすれば掛け布団のように使えます。また身長も185cmまで対応なので余裕があります。首元には冷気が入ってこないように襟のような「ショルダーウォーマー」も付いています。

 私が使っていた旧モデルは足先が冷たくなり易かったのが弱点でしたが、現行モデルではその点が改善されたようです。あとは、肌触りが硬めでシャカシャカ感があるのは好みが分かれるところだと思います。

ファイントラック「ポリゴンネスト オレンジ」 Photo: Akikazu YAMASHITA

 羽毛に比べて化繊綿は価格が安いというメリットもありますが、一方で収納サイズが直径19.5cm×36cmととても大きいことと、やや重量がある点が悩みどころ。羽毛と違い、コンプレッションバッグに入れてもコンパクトにはできないので、バイクパッキングスタイルだと積載に工夫が必要です。それでもタフさを優先したい場合は高積載なパニアバッグの導入も検討しましょう。

あると差がつく快眠アイテム、アウトドアピロー

 また、スリーピングバッグとは別に「寝具」としておすすめしたいのがアウトドア用のピロー(枕)です。こちらはアメリカのウルトラライト系バックパックを出している「グラナイトギア」というブランドの「ドリームサックピロー」で。スタッフサックの裏側がフリース地になっていて、中に衣類等を詰めると枕になります。こちらも海外ツーリングで使っていました。

裏がフリース地になっているので肌触りが良いのです。中に入れるもので高さを調整できます Photo: Akikazu YAMASHITA
表から見ると普通のナイロン製スタッフサック。下着、靴下、手ぬぐいなどを入れておけば収納がラクになります Photo: Akikazu YAMASHITA

 もう一つ最近購入したのが「Anyshop」というブランドのインフレータブルタイプの「エアーピロー」です。口で膨らませなくても、丸いポンプが付いていて、あっという間に空気を充填できます。

Anyshopのエアーピロー。丸い空気ポンプを押して空気を入れる手動プレス式で、吹き込み式より簡単かつ衛生的です Photo: Akikazu YAMASHITA

 収納袋に入れてコンパクトに携行でき、使いやすかったです。こちらはピローとしての用途のみですが、値段もそれほど高くないので、枕が無いとぐっすり寝られないという人は取り入れてみてください。

山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

※本記事の商品紹介リンクを経由して、商品・サービスを購⼊すると、その⼀部が紹介料として(株)産経デジタル(以下、当社)に付与されることがあります。

※本記事における商品紹介のリンク先は,当社が提供するサービスではありません。リンク先で表示される価格情報は最安とは限りません。リンク先での行動はすべて利用者自身の責任でご判断ください。当社は一切の責任を負いかねます。

この記事のタグ

自転車アイテム セレクション

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載