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進化するカラダに「アミノバイタル」「結果を出す人には理由がある」 JCF専属ドクター・金井貴夫先生が猪野学さんに教える“本番力”

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 レースで緊張して心拍が上がる。体がこわばって本領発揮できない。レース前日なのに眠れない─競技を志す人なら一度はそんな経験があるだろう。自転車競技だけでなく、社会生活においても本番で力が出せないことは多々ある。「練習が結果に結びつかない」と悩む坂バカ俳優の猪野学さんもその一人。なぜ本番では100%の力が出せなくなるのか? 原因はメンタルの弱さにあるのか? “本番力”を鍛えたいと思った猪野さんは、数々のアスリートを精神医学の面からサポートし、JCFナショナルチームの専属ドクターでもある金井貴夫先生のもとを訪れた。

医師の金井貴夫さん(左)から”本番力”を上げる方法について指導を受ける猪野学さん Photo: Kyoko GOTO

実力発揮のポイントは自律神経のコントロール

猪野 調子よく仕上がっているな~と思うときでも、レース本番で緊張して力を発揮できない時があります。最近トップアスリートたちの間で「メンタルトレーニング」が注目されていると聞きますが、常に本領発揮できるようになる方法ってあるんでしょうか?

金井 実力を本番で発揮するには自律神経をうまくコントロールできるかがポイントになります。自律神経とは緊張・戦闘モードの「交感神経」と、リラックス・休憩モードの「副交感神経」から成ります。

金井貴夫さん。初石病院医師。国立精神神経医療研究センター・脳神経内科非常勤医師(イップス外来担当)。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。日本オリンピック委員会医科学強化スタッフ。「”病は気から”を科学する」を研究テーマに、国内では珍しい内科・精神科の専門医資格をもつ。心身医学、スポーツ医学、睡眠医学、緩和医療等が専門。JリーグやJCFのナショナルチーム(BMX、MTB)にもメディカルスタッフとして関わる Photo: Kyoko GOTO

 交感神経が優位な状態というのは、いってみれば暗闇で恐怖と戦っているようなもの。すぐに代謝を上げて行動できる態勢を取れるよう、体に力が入った状態で、脈が速くなり、毛穴が開いて発汗します。同じ光の量だったら瞳孔は開きます。呼吸は早くなり、腸の動きはストップします。猪野さんがレース本番で緊張して全力を出せなかったときも交感神経が優位になった状態で、全身に余計な力が入り、心拍も上がりやすくなっていたと考えられます。

自律神経の交感神経と副交感神経の働き 資料提供: 金井貴夫

 そんなときは副交感神経が優位になるように「スイッチ」を切り替えることが重要です。とはいえ自律神経は自分の意識に関係なく勝手に動いてしまうもので、脈を遅くすることも毛穴を閉じることもコントロールすることはできません。では何ができるかというと、唯一自分でコントロールできるのが呼吸です。呼吸を深くゆっくりすればするほど、副交感神経を優位にすることができます。

猪野 呼吸で自律神経をコントールできるんですか?

「自律神経は呼吸でコントロールできます」という金井先生の言葉に驚く猪野さん Photo: Kyoko GOTO

金井 そうです。ただ、リラックスし過ぎると力が入らなくなるので、その度合いはスポーツによって異なります。格闘系やラグビー等戦闘的な競技では交感神経を優位にしてアドレナリンを活発にしておいた方が良いですが、野球やゴルフ、体操等、静と動がはっきりしているスポーツは神経を研ぎ澄ませながら、交感神経を落ち着かせておかなければなりません。

 ただ、どのスポーツでも目指すところは「フロー」(行為に集中している)な状態。適切な力を出せる状態というのは個々人や競技によって異なりますが、どんな人にも共通していえるのは適度の緊張感をもって「無の状態」に入り込む、いわゆる「ゾーン」の状態を目指せば、力は100%発揮できるようになります。この状態へと自律神経をコントロールできるようになるには、普段の練習からたゆまず呼吸法の練習を取り入れる必要があります。

自律神経とパフォーマンスの関係 資料提供: 金井貴夫

呼吸を制するものは自律神経を制す

猪野 呼吸は深呼吸で良いのですか?

金井 呼吸もいくつか種類があって、口から吐くとリラックス効果、鼻から吐くとエネルギーを溜め込む方法といわれています。基本形は鼻から吸って口から吐く腹式呼吸。吸ったときにおへそから2、3cmほど下にある「丹田」という部分を膨らませます。

 脳のてっぺんからお尻の穴を鉄の棒が貫いて、地球の真ん中くらいまで埋まっている状態をイメージしてください。その軸上の丹田に風船があって、鼻から息を吸うとその風船が膨らむイメージです。鼻から吸い込んで2秒ほど呼吸を止めて、口からふーっと吐き出すと風船がしぼんでいきます。

 「深呼吸してください」というと、多くの人が吸うところから始めますが、それだと胸郭が広がって胸式呼吸になりがちです。なので、まず吐き出すところから始めるようにしてください。

丹田にある風船を膨らませるイメージで呼吸を繰り返す Photo: Kyoko GOTO

 そしてもう一つのポイントは秒数を数えることです。吐き出しに6秒、吸うのに4秒で行います。吸ったところで2秒止めて、再び6秒吐きます。これを繰り返す。この秒数はあくまでも目安であり、息苦しく感じないのが重要です。「呼気:吸気=3~4:2」くらいであれば、途中で止めるのが1秒でもなくても構いません。10秒で吐いて5秒で吸う、あるいは、8秒で吐いて4秒で吸うなど自分にあった長さを見つけてください。

猪野 確かに、これだけでも気持ちが落ち着きますね…。

金井 さらに本番は「腹圧呼吸」を行います。鼻から勢いよく息を吐き出すのですが、吐くときにおなかを強く張って腹圧をかけます。この腹圧呼吸はフローの状態に入りやすい呼吸法といわれています。呼吸で自律神経をコントロールできるようになれば、いざというときに腹圧呼吸の一呼吸でフローを完成できるようになります。鼻から吐き出すのが苦しいと感じる方は、口から吐いても構いません。大事なのは吐き出すときにお腹をへこまさないことです。

「腹式呼吸」(左)は呼吸とともにおなかにある「風船」を膨らまし、しぼませるイメージ。「腹圧呼吸」(逆腹式呼吸)は吸うときに腹圧をかけておなかは膨らませず、吐くときも凹まないよう腹圧をかける 資料提供: 金井貴夫

猪野 それだけで良いのですか? 僕でもすぐにできそうですが…。

金井 ただ、この呼吸トレーニングを本気で実践できている人は多くはありません。体幹トレーニングもそうですが、本当に大事なものだけど効果が目に見えにくいですよね。しかしトップアスリートを見ていると、体幹と呼吸法のトレーニングを継続している人は自分をコントロールできて競技力も向上します。

 ロンドン五輪のトラック競技で金メダルを4つ獲得したクリス・ホイというイギリスの絶対王者がいました。ナショナルチームのトラック競技に帯同していた当時、彼の行動から強さの理由を探る中で気づいたのは、1分間に8回という呼吸の深さでした。

 さきほど話した「吐く6秒・吸う4秒・止める2秒」だと1分間に5回なので、ほぼそれに近い状態。自然にその呼吸ができている彼の様子から、普段から腹式呼吸のトレーニングをしていることがよくわかりました。一方で常に2位3位で終わる選手は1分間に20回ほど。これだけの違いですが、そこに明確な違いがありました。

持久系スポーツは「筋肉を効率よく使う」がポイント

金井 五輪で金メダルをとる人と銅メダル以下をとる人、この違いは何かという研究がいくつかありまして、その中で勝てる人は必要なとき以外は力が抜けているという特徴が報告されています。すなわち、うまくリラックスできているということです。

 持久系スポーツこそ精神状態を安定させ、長時間にわたって筋肉を上手に使うことが求められます。そのためには普段から自律神経をコントロールできることに加え、体の筋肉を効率よく使えるしっかりとした体幹を鍛えることが2つの柱となります。

必須アミノ酸「BCAA」を効率よく摂取できる「アミノバイタル アミノショット」(右)。運動中の携帯・摂取を目的としたゼリー形状で、アミノ酸3600mgと8種類のビタミンなどを素早く摂取できる。写真左の「アミノバイタル プロ」(顆粒)は運動前摂取でコンディションづくりをサポ―トするアミノ酸サプリメント Photo: Kyoko GOTO

 持久系の競技はあまりメンタルは関係ないといわれていましたが、緊張・興奮した状態が続くと無意識のうちに不要なところに力が入り続けるので、これが蓄積することで後半のパフォーマンスに悪影響を及ぼしてしまうのです。

メンタルは変えられる

猪野 リラックスすることと体幹が及ぼす筋持久力への影響、これまでのレースを振り返るとすごくわかる気がします。

金井先生の話に没頭するあまり、ついにメガネを外してしまった猪野さん Photo: Kyoko GOTO

金井 また、「緊張する」という人はその緊張をパワーに変えられるようにイメージするのも一つの方法です。逆にいえばエンジンをふかしてくれているわけですから、緊張をダメと思わず、「もっと緊張しろ!今日はいい感じにアドレナリン出てるな~」と考えるんです。

 ポジティブな思考もトレーニングできます。「できない」と思う人は、案外自分でネガティブなレッテルを貼っている人が多いです。大体、緊張する人は生真面目で、完璧主義で理想像が高い、練習もきっちりやっていて、ストイック。その分、失敗したら自分を責めて、レース後はずっと反省しています。

猪野 ……(苦笑)。

金井 猪野さんだけでなく、日本人にそういう人は多いです。反省は一瞬で良い。その中でもできたことを見つけて、次につなげれば良いと私は指導しています。日々の練習もそうで、意欲的に取り組むか、指導者にやらされているかで上達の質も速さも全く違いますよね。日々意欲的に楽しく、課題をしっかり克服して成長するために、しっかりと前に進めれば良い。そういう目標設定や日々のモチベーションの上げ方等もコーチングしています。

猪野 パフォーマンスが高い人って、もともとメンタルが強い人とばかり思っていました。

金井 身体能力は別として、メンタルに先天的な強弱はありません。本番に力を出せない人は単に「自分は緊張しやすい」といった自己暗示に縛られている。あるいは子供の頃に「本番に弱い」とか「度胸がない」といったレッテルを貼られ、自分自身でそう思い込んでいる人が多いです。

「メンタルに先天的な強弱はありません」と金井先生 Photo: Kyoko GOTO

 いわゆるメンタルが強く見える人は、小中学校までの親や指導者の関わり方がかなり影響しています。勉強でもスポーツでもそうですが、その行為がストレスになるかならないか。強いプレッシャーをかけられたり、「やらされた」経験のある子供の多くはその行為に対してストレスを感じるようになりますが、その経験がない人は楽しいまま、その行為と向き合うことができます。

 結局なぜ緊張するかというと「誰かの期待に応えたい」「よく見せたい」という思いから理想の自分を作ってしまうケースが多い。それに対して現状に負担を感じたり、だめかもしれないと感じることが不安や焦りに変わります。私の元に訪れるアスリートにもそういうケースが少なくなく、まずそこを解きほぐすことから始めます。

猪野 自分も色々と思い当たることがあります…(苦笑)。

金井 猪野さんの場合はお仕事でありつつも選手ではないので、「勝たなくてはならない」という外圧ではないですよね。ファンの皆さんは猪野さんが強くなることを応援しつつ、頑張っている姿に自分を重ねているんだと思いますがどうでしょう。もしかして「強くならなければ」とプレッシャーを課して、限界を作ってしまっているのは自分自身かもしれません。

猪野 たしかに、なかなか結果が出せないことに焦りを感じていたのかもしれません。

金井 そういう根本的な考え方を解きほぐして自己暗示を取り除き、呼吸法の練習と日々のトレーニングやリカバーをしっかり行う。それだけでも猪野さんはまだまだ変われると思います。「本番で力を発揮できない」のは悪いことではなく、言い換えれば「伸びしろ」なんですから。今日お話ししたことを実践して、変わっていく自分を楽しんでください。

 あとは普段からカラダのコンディションを万全に整えておくことはとても大切です。神経伝達物質の働きを良くするためには睡眠・栄養バランスが欠かせません。日々しっかりリカバーすることによって、総合的なコンディションが作られていくということをしっかりと認識しておいてください。

画像右から、運動後に重要な必須アミノ酸「ロイシン」高配合の「 アミノバイタル® GOLDゼリー」と「 アミノバイタル® GOLD」(顆粒)。そして運動前のコンディションを整える「アミノバイタル® プロ」(顆粒)。運動時のパフォーマンス発揮をサポート Photo: Kyoko GOTO

本番で実力を発揮する方法」のまとめ

1. 勝敗や結果を気にするのではなく、意識を‟今ここ”に
2. 呼吸で自律神経(緊張↔リラックス)をコントロールする
3. 筋肉によってメンタルをコントロールする(自信満々な姿勢・態度・笑顔によって自信が生まれる)
4. 緊張を楽しむ
5. ポジティブ思考で、「私は実力を十分発揮できる」「今日は絶好調」「今日は最高のプレーができる」と自己暗示をかける
6. 普段からの睡眠と栄養が大事

Photo: Kyoko GOTO

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アミノバイタル 猪野学のパワーアップ奮闘記

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