バイクパッカー2020☆国境越えてタイ、ミャンマー、ラオス<2>メコン川を下り、人の温かさに触れたラオスの旅 100の坂を越えて疲労困憊のタイ入り

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 来年の旅を夢見て、自宅でZwiftをがんばっていたトミーです。最初は66分かかったAlpe du Zwift(※1)が55分を切って上れるようになり、ちょっと坂が楽しくなってきました。さて、ミステリー周遊旅の第2回は3日目から5日目(ラオス ファイサーイ 〜 パクベン 〜タイ トゥンチャン)をお届けします。

朝靄のラオス・パクベンを出発し、タイ国境を目指す Photo: Takeshi TOMIOKA

※1 ツール・ド・フランスの有名な山岳コース「ラルプ・デュエズ」を模したZwift内の仮想山岳コース(距離12.2km、獲得標高1,042m)

Day3:メコン川スローボートの旅

 ゲストハウスのトーストと卵の朝食を終えて、まだ人気の少ない早朝のファイサーイの通りを眺めながらコーヒーを飲んでいたら、山の上の寺院からオレンジ色の袈裟をまとった少年僧が一列になって降りてきて托鉢が始まった。ルアンパバーン(※2)のように観光化されていない、ラオスの神聖な日常を目の前にして静かに興奮した。早起きは三文の徳だね。

※2 街全体が世界遺産に指定されている古都。ラオスの京都とも呼ばれる

托鉢からお寺に戻ってきた少年僧たち。みんな裸足だ Photo: Takeshi TOMIOKA

 旅の3日目は「スローボート」と呼ばれる乗合船でメコン川を下りパクベンまで移動することにした。自転車旅なのに自転車に乗らないなんて、練習をサボっているみたいでちょっと後ろめたい気もしたけど、それ以上に悠久のメコン川を船で旅をするという浪漫にワクワクした気持ちだった。

 最初はスローボートのスの字も知らなくて、険しい山岳地帯を抜けた250km(獲得標高4000m以上)の先にあるパクベンまでの過酷なブルベ旅を検討したのだけれど、乾季の猛暑、荒れた道、途中で補給できない山…いろいろと冷静に考えたら「やっぱり厳しいね」という結論になり、「う〜ん、どうしよう」と地図を眺めていた時に「山を縫うように流れているメコン川で移動できるのでは!?」と閃いたのでした。

自転車はスローボートの屋根の上へ Photo: Takeshi TOMIOKA
カナダのご夫妻。明日ルアンパバーンでご主人の誕生日をお祝いすると教えてくれた Photo: Takeshi TOMIOKA

 スローボートは午前11時にファイサーイを出発。まずはビアラオで乾杯! ゲストハウスで作ってもらったサンドイッチをかじり、メコンの風に吹かれ、船で知り合ったカナダのご夫妻と語り合い、カップ麺をすすり、またビールを飲み、その間に短いうたたねを繰り返して(要するにものすごく退屈)、メコンに夕日が落ちた午後5時過ぎにようやくパクベンに到着した。狭いシートに6時間も座っていたので、ペダルを漕ぐよりもしんどかった(笑)。自転車はどうしたのかって? ずっとスローボートの屋根の上でした。滑り落ちなくてよかった、よかった。

山を縫うように流れるメコン川。ずっとこんな景色が続く Photo: Takeshi TOMIOKA

 下船してからいつもどおりAgodaで宿を検索。この日はちょっと高級なロッジを選択して(一泊3500円也)バルコニーレストランでラオス料理のコースを堪能した。フレンチのような繊細な味付けで大変美味でした。明日の朝はバルコニーから象の水浴びが見られるんだって、楽しみ!

<3日目の移動履歴>

スローボート移動距離:140km(ファイサーイ〜パクベン)
料金:約2,000円(自転車運搬を含む)

Day4:パクベンの出会い

 4日目は旅で1日だけのオフに当てた。早朝に慌ただしくパッキング作業をしなくていいのが何気にうれしい。ゆったりした気分で朝食を食べてから周辺の試走に出掛けた。荷物のないバイクが軽くて気持ちいい!

パクベン周辺の道。さまざまな動物が道の真ん中を歩いていた Photo: Takeshi TOMIOKA

 しかし、町から出る一本道はすぐに見上げるような坂の連続となり、たった20kmを走っただけでもう汗だく、すっかり疲れてしまった。タイとは違って路面も凸凹に傷んでいるので、下りでも緊張を強いられた。唯一のグッドニュースは車がほとんど走っていなかったこと。その代わりイヌ、ヤギ、ウシ、シカ、いろんな動物たちが道の真ん中を歩いていたけどね(笑)。明日はとにかく安全第一だ。

 道が手厳しかった反面、「サーバイディー(こんにちは)!」と元気に手を振ってくれる子供たちにはめちゃめちゃ癒やされた。好奇心を隠さずに「わぁ〜」となるピュアな笑顔がなんとも可愛いのだ。自慢のおもちゃ(武器!?)を見せてくれた男の子は、「あしたのジョー」に出てくる昭和のドヤ街の悪ガキたちにどことなく似ていて、ぼくのレーパンの股間を指差して「おい、おい、でかいな、でかいな」と大はしゃぎであった(笑)。

自慢のおもちゃを見せてくれた男の子。町まで往復10kmを歩いておつかいに来ていた Photo: Takeshi TOMIOKA

 試走から戻るとメコンクルーズが出発した後の昼下がりのパクベンはひっそりとしていた。小さな食堂に入り、冷えたビールで喉を潤してからカオパッドタレー(魚介のチャーハン)を食べていたら、通りをさっき出会った兄弟(男の子とお兄ちゃん)がマーケットの方へ歩いていき、しばらくしてまた元の方向へと帰っていった。

 帰り際に会計をしていると、「日本人の方ですか? 珍しくてつい」と日本語で話しかけられてびっくり! 国際NGO(※3)の職員としてラオスに幼稚園を建設するプロジェクトに携わっていた方で、ラオスでの仕事について少しお話を伺うことができた。ラオスは多民族多言語の国でラオス語(共通語)がわからずに小学校をやめてしまう子どもが多いこと。ラオス語を学ぶための幼稚園を全国に18校建設するプロジェクトに携わっていらっしゃること。学校だけでなく先生のトレーニングも大切であること等々。ラオスに深く関わって仕事をされているプロならではのリアルな話が、すごくおもしろかった。もっと話を聞きたかったなぁ。

※3 国際NGOプラン・インターナショナル

国際NGOで活躍されているNさんと Photo: Takeshi TOMIOKA
午後はロッジのプールでクールダウン Photo: Takeshi TOMIOKA

 その日の夜は激しいスコールと雷があり、辺り一帯が停電して真っ暗になった。本物の暗闇に吸い込まれていく雨の音を聞きながら、町まで往復10km近くを歩いておつかいをしていた昼間の兄弟は小学校に通っているのだろうか、とぼんやり考えた。

 え、象の水浴びは見られたのかって? もちろん。まぁ、遠すぎて「ウォーリーを探せ」並の小さな象だったけどね(笑)。

<4日目の走行履歴>

走行距離:22km(パクベン周辺)
獲得標高:614m

Day5:気力・体力限界の山岳ステージ

 ラオス・タイ国境をまたぐ山岳ステージに挑んだ5日目は、最高気温37℃の炎天下、標高428〜777mの峠を13回越えて計3039mを上り、距離100kmを走った。大小合わせて100以上の坂(Garminログでも正確には数え切れない)を1日で走ったのはもちろん初めての経験で、最後の方はクリアしてもクリアしても目の前に現れる坂を見ただけでもうマジで吐きそうだった。こんなに辛い目に遭うことがわかっていたら、旅の前にAlpe du Zwiftでトレーニングを積んでおくんだった(笑)。

坂の途中の集落。家族みんなで見送ってくれた Photo: Takeshi TOMIOKA

 山ではぼくが大きく遅れてしまったのだけど、鉄人カッツはペースを緩めて付き合ったり、明るく励ましたりなんて気遣いは一切せず、数十km毎に休憩ポイントを見つけてただ待っていてくれた。トライアスロンには「完走した人は全員が勝者」という文化があって、それは裏を返せば「自分の力だけでゴールする」という意味を含んでいるんだけど(ちょっとブルベの精神にも似ているかもしれない)、それが共有できている相棒の対応が心地よく、そしてありがたかった。

 そしてこの日もラオスの人たちの笑顔には何度も元気をもらった。少数民族の村を通過した時には赤ちゃんからおばあちゃんまで家族みんなが笑顔で見送ってくれたし、下校中の中高生たちは爽やかな笑顔で手を振ってくれた。子どもから大人までこんなにも素敵な笑顔で応援してくれる国はラオスが初めてだった。

下校中の学生。民族衣装を取り入れた制服がよく似合っていた Photo: Takeshi TOMIOKA
パクベンから50km地点のタイ国境フゥアイコーン Photo: Takeshi TOMIOKA

 お昼に50km地点のラオス・タイ国境を越え、午後5時過ぎに疲労困憊で100km先のトゥンチャーンという小さな町にゴールした。Agodaで1件しか宿がヒットしなくて焦ったけど、その農場バンガローが突然の訪問にもかかわらず部屋を準備してくれて心底ホッとした。もう1kmだって走る元気は残っていなかったからね。バイクウェアを洗濯し、冷たいシャワーで生き返った後、お腹ぺこぺこで「さぁ、ご飯食べに行きましょう!」と部屋を出ようとしたその矢先、台風のような凄まじいスコールがやってきて、やがて停電。チーン(笑)。スコール一過で出かけた町は明かりも人気もなくひっそりとして、開いているお店なんて一軒もなかった。悲しい(涙)。今晩の夕食は補給ジェルになってしまうのだろうか…(第3回に続く)

<5日目の走行履歴>

走行距離:100km(パクベン 〜 フゥアイコーン国境 〜 トゥンチャーン)
獲得標高:3,039m

Day1〜Day5走行ルート図(Google Mapより)

旅のお役立ちアイテム②:ブリヂストン ゲージ付きフレームポンプ(200g)

 パッキングした重いバイクはそれだけタイヤへの負担も大きくなるため、到着後のトレッドチェックと出発前の空気圧チェックは欠かせません。軽量でフレームに取り付けられるゲージ付きポンプは安全に旅を続けるためのマストアイテム。ラオスの荒れた路面を走った今回の旅でもこまめなタイヤ&空気圧チェックのおかげで二人ともパンクゼロでした!

(ちなみに、ぼくのタイヤは去年台湾環島でもパンクゼロだった
Panaracer Race A Evo3の25C、カッツさんはレース仕様のままでMichelin POWER
COMPETITIONの23Cでした)

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