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つれづれイタリア~ノ<146>自転車競技とコーヒーとの深い関係 プロに会うなら「バール」へ行こう

by マルコ・ファヴァロ / Marco FAVARO
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 サイクリストにはコーヒー好きが多いですよね。その理由は簡単です。カフェインが入っているからです。疲れた体にカフェインが入ると魔法がかかったかのようにまた力が湧いてきます。判断力も向上します。選手たちも頭をシャキッとさせるために、レース当日の朝に濃いエスプレッソコーヒーを飲んだりもします。そして最後のスプリントに必要な集中力とパワーを得るために、カフェイン入りのジェルも摂ります。とにかくコーヒーは自転車競技者に欠かせない魔物なのです。今回はコーヒーと自転車との関係について紹介します。

エロイカのスタートを待っている参加者たち。美味しいエスプレッソとカップッチーノは欠かせない Photo: Marco FAVARO

バール」は地域社会の憩いの場

 イタリアへ行ったことのある読者ならご存じかと思いますが、街にはコンビニがありません。そこで、イタリア人は小腹が減ったり、トイレへ行きたかったり、休憩をしたい時は必ず「バール」に寄ります。

 バールは日本の喫茶店やコーヒーショップとは異なります。オープンテラスや歩道にテーブルを構える店舗が多く、コーヒーのほかに、スイーツやパニーニ、ピッツェッタ(小型ピザ)、トラメッズィーノ(サンドイッチ)、サラダ類など、飲み物のほか簡単な軽食も楽しめます。

2019年にイタリア北部パドヴァ市に新しくオープンしたEroica Caffé Padova(エロイカガフェ)。おしゃれでオープン瞬く間に地元の人、学生、サイクリストの憩いの場になった Photo: Marco Favaro(2020年1月撮影)

 新聞や雑誌も置いてありますし、テレビも設置されています。サッカーや自転車競技の映像が必ず流れます。アイスクリーム、サッカーくじや宝くじ、タバコも買えます。四六時中、地元のおじいさんたちが集まり、置いてあるトランプゲームを楽しんだり、世間話をしたり、若者だとカルチェット(テーブル・フットボールゲーム)やビデオゲーム、最近はオンラインルーレットで遊んでいる人もいます。ボッチャ練習場を完備する施設もあります。夜になると、バールは酒場と化し、営業は早朝から深夜まで続きます。定休日は1日だけ。

 地方都市へ行くと、アルバイトの店員はほとんどいません。オーナーやその家族、また従業員しか働いていません。2~3回同じ場所に通えば、顔を覚えてもらいますし、会話が盛り上がります。どちらかというと飲食店というよりも、地域社会の憩いの場の役割をバールが果たしています。

自転車乗りに優しいバール

 自転車乗りにとってもバールは欠かせない存在です。日本のコンビニのように、自転車乗りに愛されている特定のバールがあり、愛好家たちは練習やサイクリングの途中で必ずというほど寄ったりもします。屋外のテーブルでコーヒーやビールを飲めるので、自転車を見ながらくつろぐことができます。これもイタリアの文化の一つです。

 バールでプロ選手に会うことは珍しいことではなく、ジロ・ディタリアやクラシックレースなど、テレビでしか見たことがない選手が普通に隣でコーヒーを楽しんでりもしています。

 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)にマリオ・チポッリーニ(2008年に引退)、写っていませんが、ファビオ・サバティーニ(コフィディス)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(ヴィーニザブKTM)、アンドレア・タフィ(2006年引退)たちも同席。新型コロナウイルス感染拡散防止で閉店していたルッカ市内の行きつけのバー「Sandra Bianchi & l`Angolo Dolce」の営業再開を祝うため、全員集合。豪華すぎるメンバーの登場で地元の新聞も駆けつけました。

バールは公民館?

 バールにはもう一つの重要な役割があります。多くのバールは地元のサッカーや自転車チーム(アマチュアやジュニア、U23のチーム)の拠点にもなっています。イタリアでは日本のような公民館制度がないため、昔からバールが集合地点やミーティングをする場所として使われてきました。

バールの玄関に飾られた「サイクリングクラブ・カントゥリーノの本拠地」というタグ Photo: Maroco FAVARO

 そのため、会議や上映会のできるサレッタ(椅子しかない部屋)があります。夕食が終わると、午後9時にスタッフのメンバーはバールに集まり、コーヒーやアマーロ(食後酒)、グラッパを飲みながらレースのスケジュールや選手のことについて話し合います。水曜日は定番です。よく見てみると、地方クラブのサポートカーやトラック、ジャージなどにレストランやバールの名前はよく入っています。チーム名の由来にもなっています。

 写真にあるタグは「サイクリングクラブ・カントゥリーノの本拠地」と書かれており、バールの玄関に飾られています。C.C.カントゥリーノとは100年以上の歴史を持つ、イタリア北部コモ湖を拠点とするアマチュア自転車チーム。カントゥ市、バール・レヴェンズィーナにあります。

コーヒー会社は自転車競技のスポンサー

 コーヒーと自転車競技の関係はとても深く、昔からコーヒーメーカーは自転車競技に注目してきました。

 セガフレード・ザネッティ社はトレック・セガフレードやジロ・ディタリアの公式スポンサーとして有名ですが、イタリア中部でよく見かけるカフェモカンボもアクアエサッポーネ・カフェモカンボを支えました。また、コーヒーマシン大手メーカーのファエマも1950~60年代の長きにわたりチームをサポート。伝説のレーサー、エディ・メルクスも所属していましたね。

コーヒーマシンメーカーの「ファエマ」がサポートしたチーム(提供:Museo del Ghisallo)
レースに向けてコーヒーを飲む選手たち(提供:Museo del Ghisallo)

暑い時にコーヒーを飲もう!

 最後になりますが、夏のイタリア定番の飲み物を紹介します。Crema al caffé(クレーマ・アル・カッフェ)です。夏の暑い時期に心も体も癒されます一品です。

クレーマ・アル・カッフェ作りにチャレンジしてみましょう(提供:Giallo Zafferano)

 作り方はいたってシンプル。

■クレーマ・アル・カッフェの作り方

★材料(4人分)
・モカコーヒー(またはエスプレッソコーヒー)70ml
・砂糖40g
・生クリーム300ml

★作り方
1.熱々のコーヒーに砂糖を入れてよく混ぜる
2.コーヒーを冷ます
3.生クリームをよく冷やした容器に入れ、泡立て機で半ふわになるまで立てる(泡立て機のない人はペットボトルに入れ、4〜5分間振れば大丈夫)
4.冷たくなったコーヒーを生クリームの容器に入れ、また混ぜる
5.冷蔵庫で冷やす

 トッピングはココアパウダー、コーヒーの豆、シナモン、薄くきったレモンの皮、ビスケットなど。ティラミスっぽく、至福の時間をお楽しみください。

 Buon appetito!

Marco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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