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「自転車“応用”栄養学」<1>サイクリストに必要な筋肉を作るには? 筋肉の質に応じたプロテインの選び方と摂り方

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 私たちの身体は、常に新しく作られる細胞と壊される細胞が存在し、そのバランスを保ちながら恒常性を維持しています。そのバランスが崩れると、体調を崩したり身体への負担が大きくなります。身体を形作り、支えているのは骨格、そして筋肉です。この筋肉を良い状態のまま維持していくことがコンディションづくりに必須であり、そのためには運動や食事管理が重要な要素となります。今回は皆さんも関心を寄せている、「質の良い筋肉の作り方」をテーマにお話ししていきます。

サイクリストに必要な筋肉づくりに適したプロテインとは? Photo : Yuzuru SUNADA

筋肉増強には「作る」と「分解を防ぐ」の視点が必要

 筋肉が「作られる」メカニズムと、「壊される」メカニズムは別のシステムで行われています。つまり筋肉を作るためのシステム構築だけではなく、筋肉を維持したいのであれば、筋肉が壊されるのを防ぐという考え方も重要になります。

 スプリント系のサイクリストの方は、筋肉を肥大させるためにまずは筋肉に大きな負荷を与えることが重要です。タンパク質はしっかり摂る必要はありますが、たくさん摂取すれば大きくなるというものでもないことは、研究で明らかになっています。

 一方、ロード系の方であれば、長時間の走行でエネルギー不足による筋肉分解の促進が懸念されます。その場合、筋肉の分解を抑え、いかに現状の筋肉量を維持していくかが良いパフォーマンスを生むための重要なポイントとなります。

 そのためには、プロテインサプリメントも重要ですが、炭水化物を中心としたエネルギーを枯渇させないことが大切です。そしてプロテインを活用するなら、筋肉分解を抑制するといわれているソイ(大豆)プロテインを積極的に活用していくと良いでしょう。

それぞれの特徴を理解して使う

 最近は多様な種類のサプリメントが市販されています。ホエイプロテイン、カゼインプロテイン、エッグプロテイン、ピープロテイン、コオロギプロテイン、ソイプロテイン、ヘンププロテイン、そしてBCAA等の必須アミノ酸。どれを選んだら良いか迷う方も多いと思います。

色々な種類のプロテインやアミノ酸サプリメントにはそれぞれの特徴があります Photo:gettyimages/ SB

 タンパク質は20種類のアミノ酸の組み合わせで出来ており、タンパク質を構成するアミノ酸の違いや量がそれぞれのプロテインで異なります。基本的には好きな味で選択するのも良いと思いますが、各プロテインの特徴を理解して試してみると、より狙った効果が得やすいのではないかと思います。その一例をご紹介します。

筋トレメインで筋肉を大きくしたい場合には「ホエイプロテイン」

 筋肉をつくる信号(スイッチ)であるBCAA(特にロイシン)を多く含むため、筋肉肥大には有効とされています。

ロングライド後は「ソイプロテイン」

 大豆のタンパク質には、筋肉が分解されるのを抑えてくれる成分があることが報告されています。また大豆イソフラボンにも同様の作用があるといわれています。

 どのような運動をするかによって、運動後の食事の形態や内容は変わってきますが、パフォーマンス中または後、すぐに筋肉をケアしたいのであれば、タンパク質よりも吸収の早いBCAAやEAA(必須アミノ酸9種類を配合したもの)といったアミノ酸サプリメントをおすすめします。

 また、プロテイン補給の場合、一度に大量に摂取すると消化器官への負担が大きく、一度の推奨摂取量は20g程度とされています。また、1日あたり2.5g/体重kg以上摂取しても効果は変わらないという報告もありますので、食事で十分タンパク質が摂れている方はサプリメントの量を考慮して摂取するようにしてください。

サイクリストは筋肉の質改善、体調管理を目標に

 また、プロテインサプリメントを粉タイプで使用する場合、溶かす液体に悩む方もいらっしゃるかと思います。牛乳や豆乳に合わせても良いですが、タンパク質の全体量も考えて、水で溶かすかスポーツドリンク等のし好品を選ぶことをおすすめします。プロテインの味に抵抗がある人は、例えば1杯15gのタンパク質を含むプロテインサプリメントであれば、100mlの牛乳や豆乳に加えて残りを水で希釈して飲みやすくするのも良いと思います。

 この分野の情報は日々進化していきますので、常に興味関心は持っておきたいものです。皆さんの体質に合わせて、選択していきましょう。

 最後に、サイクリストの皆さんには筋肉を大きくするためにプロテインサプリメントを活用するというより、筋肉の質をより良くするため、体調管理(コンディショニング)のためと考えて活用していただければと思います。

 これまでに何度もお伝えしていますが、サプリメントを効果的に活用するためには、各々のサプリメントの特徴をよく理解し、適切な使用量、使用タイミングを自己管理するようにしましょう。

小川静香 小川静香(おがわ・しずか)

公認スポーツ栄養士、管理栄養士、博士(医学)。食アスリートジュニアインストラクター。日本女子大学卒業後、東北大学大学院医学系研究科運動学分野を修了。3歳から水泳を始め、国体も経験。大学院在学中にトライアスロンにハマり、2009年に念願の日本選手権に出場。同年佐渡国際トライアスロンAタイプで優勝を果たす。スポーツトレーナーを目指す学生の指導にあたる他、スポーツ栄養の知識を自ら実践し、栄養教育活動や栄養セミナーで伝える。現在はアイアンマンレースに向けた練習と共に筋トレにも精力的に取り組み、ボディメイクに奮闘中。

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自転車“基礎”栄養学

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