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栗村修の“輪”生相談<181>20代男性「去年から突然上りがうまく走れなくなってしまいました」

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 栗村さん、初めまして。自身が今体験している不調について何か解決の糸口になればと思い、相談させていただきます。

 自分は今不調まっただ中にいまして、それが何なのか?と問われれば、突然上りで以前のような走りを行うことができなくなってしまったのです。しかし平坦や長距離になれば、以前のような走りを再現できるといった状態です。去年から突然この状態になってしまい、もしよろしければ、何かご助言を頂くことは可能でしょうか?

 また、不調時にはプロ選手はどのように向き合っているかなどを教えていただけると幸いです。

(20代男性)

 以前に猪野学さんに受けたご相談に近い内容ですね。そのときに猪野さんにお伝えしたアドバイスは質問者さんにも効果を持つと思いますが、今回の質問はもっと踏み込んでいます。すなわち、平坦やロングライドのパフォーマンスは変わらないのに、上り「だけ」が駄目になったということですね。

 まず、平坦とロングライド、そして上りの要素をもういちど棚卸してみましょうか。平坦とロングライドは、主にシッティングが中心となり、ケイデンスも上りに比べると高く、それほどトルクは必要ありません。

 いっぽうのヒルクライムは、ダンシングを多用し、シッティングでもケイデンスは低く、トルクが必要ですよね。走り方が平坦やロングライドとは全く違いますから、ここにヒントがありそうです。

 僕がまず思い浮かぶのは、筋疲労などの筋肉系のトラブルです。平坦やロングライドではトルクがかけられなくてもケイデンスを上げてカバーすることができますが、上りではそれが難しい。その上りが不調になっているということはトルクがかけられないということですから、トルクをかけた走りの際に使う筋肉に要因がある可能性は高いでしょう。

 その場合、がっつりと休むことをオススメします。もし症状が重ければ、いったん他のスポーツをやってみてもいいですね。要は上りを走る時に使う筋肉を完全に休ませてリセットするのです。ただし、体に関することを自己診断するのは絶対にNGです。改善しないようであれば、早めにトレーナーさんやお医者さんに相談してみてください。

グランツールのヒーローのように山岳を飛ぶように走ってみたいもの Photo: Yuzuru SUNADA

 もう一つ、上りの不調の要因として考えられるのは、ポジションや機材の変化です。機材に何か変化はありませんでしたか? 単純に、ポジションが平地向けになってしまったら、上りは当然いまいちになります。また、機材との相性などによっても、「以前の様な走りができなくなる」ということは少なからずあったりもします。

 けっこう見落とされがちなのがシューズですね。シューズを変えるとペダル軸に対するクリートの位置が大きく変わる場合が少なくありませんから、注意してください。一般に、トルク型の走りをするならクリート位置は深いほうがいいはずなので、もう一度チェックをしてみてください。気づかないうちにクリート位置が浅くなっているケースもあるようです。

 ちなみに僕は以前、質問者さんと逆のパターンの相談を選手からされたことがあります。彼は、シューズとペダルを変えたことで結果的にクリート位置が深くなってしまい、平地での走りが思うようにできなくなってしまったのでした。結局、シューズとペダルを古いものに戻した途端に平地での走りが改善されました。足回りの話はとても複雑で難しく、選手たちも一度ハマり込むと練習中にずっと調整していることも珍しくありません。

 まとめると、筋肉を休ませる。もしくは、上りを快調に走れていた時と現在のポジション・機材を比較して差が生じていないかチェックしてみてください。

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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