バイクパッカー2020☆国境越えてタイ、ミャンマー、ラオス<1>バイクパッキングで男2人・ノープランの3国巡り 東南アジア「ミステリー周遊」へ 

  • 一覧

 まだ海外へのサイクリング旅が難しい状況ですが、見知らぬ土地でのライドはいつの時代でも、どの年代でも楽しいものです。コロナ禍の前にタイ、ミャンマー、ラオスの3カ国をバイクパッキングしたトミーさんとカッツさんの男2人旅の様子を3回に分けてお届けします。(2020年2~3月に取材)

出発日の朝。カッツさん(左)と筆者 Photo: Takeshi TOMIOKA

◇      ◇

はじめに

 Cyclist読者のみなさま、お久しぶりです! 昨年、小学校を卒業した娘(アオイ)と二人で台湾環島1000kmに挑戦したバイクパッカーのトミーです。

 年1回の海外バイク旅を始めて6年目の今年は、2月末〜3月初旬に男2人旅でタイ、ミャンマー、ラオスを巡ってきました。相棒はトライアスロンを通じて知り合ったカッツさん。IRONMAN70.3(※1)の世界選手権に連続出場している鉄人にして、タイが大好きな旅人です。転職前の休暇を使って初めてのバイクパッカーに挑戦しました。

 笑顔で言葉を交わしたあの人は今どうしているだろう。一生懸命に手を降ってくれた子どもたちは元気にしているだろうか。世界中の人がまた自由に旅できる日常が戻ることを祈りながら、今年の旅日記を綴りました。お付き合いいただけたら幸いです。

※1:IRONMAN70.3 SWIM1.9km、BIKE90km、RUN21.1kmを連続して行うトライアスロン大会の名称。IRONMANはこの倍の距離を競う。

チェンライでチューニング(出発前日)

 旅の出発地はタイ・チェンライ。バンコクから北に約800km(東京〜青森間とほぼ同じ距離)、飛行機で約1時間20分の場所にある、タイ最北部の県だ。ちなみに800kmは東京〜青森間とほぼ同じ距離だ。

朝食のカオパッド(焼飯)パラパラのタイ米がよく合う Photo: Takeshi TOMIOKA

 チェンライから先のルートは未定。直感と現地情報でその日の行き先を決め、9日後にチェンライに戻ってくればOKという「ミステリー周遊旅」だ。事前に色々と調べてしまうと、大きな失敗もしない代わりに、偶然の発見や出会いの機会も少なくなってしまうからね。カッツさんとはこの辺の旅の感覚が似ているので失敗やトラブルも一緒に笑って楽しめそうだ。

 夜遅くにチェンライに到着したので、翌日は機材と道路事情のチェックを兼ねて周辺の軽い試走で過ごした。市場でフルーツを買って食べたり、近くのお寺にお参りに行ったり、丘の上の仏像(牛久大仏よりでかい!)までヒルクライムして脚にちょっと刺激を入れたりして、気持ちと身体を旅モードへとチューニングした。

未舗装の裏道もチェック Photo: Takeshi TOMIOKA
大仏に旅の安全を祈願 Photo: Takeshi TOMIOKA

Day1:はじめての国境越え

 真っ先に向かった先はタイ・ミャンマーの国境だ。そこからメコン川を挟んでタイ、ミャンマー、ラオスの国境が接するゴールデントライアングルを目指すことにした。「国境」と「メコン川」の響きには、行かずにはいられない旅の浪漫があるのだ!

 チェンライから国境へ向かう国道は、広くてゴミ一つなく快適のひと言。前を引く鉄人カッツのスピードが気持ちよく上がっていくので、早めのカフェ休憩を提案。挽きたての香ばしいアイス・カフェオレでほっと一息つきながら、「旅ではトレーニングしたくないからね〜」とやんわりと釘を刺したのでした(笑)。

 順調に約60kmを走って到着した国境は、漠然と思い描いていた「金網の向こう側にミャンマーを望む」イメージとは違って、タイとミャンマーの両側から荷物をいっぱいに積んだ車やバイクが行き交う生活感にあふれた橋だった。

ミャンマー国境。橋の中央で車線が入れ替わる Photo: Takeshi TOMIOKA

 「せっかくだからミャンマーでランチしましょう♪」と、人生で初めて自分の足で国境を超えた。橋の中央(まさに国境線の上)で車の列が左側通行から右側通行へと入れ替わっていく新鮮な光景に、思わず「おぉ〜!」と声が出た。

 ミャンマー側の街タチレクに入ると、屋台で豪快にチキンを焼いている煙がいくつも上がっているのが見えたので、カフェ風の食堂で自信満々に「チキンバーガー」を注文した。ミャンマー風のワイルドなバーガーを期待して待つこと30分。果たしてあらわれたのは、お子様ランチの国旗が刺さった可愛らしいバーガーでした(笑)

黄金のパゴダ(仏塔) Photo: Takeshi TOMIOKA

食事を終えて国境に戻る途中で、陽光を反射してキラキラと黄金色に輝く丘の上の尖塔に目を奪われて、寄り道をした。カッツさんがミャンマー仏教のパゴダ(仏塔)だと教えてくれた。無数の鈴が風に鳴く静謐な世界で、暫しバイクシューズを脱いでぼんやりと時を過ごした。いい時間だった。

 約2時間の滞在で再び国境の橋を渡ってタイに戻り、メコン川を目指した。午後の強烈な陽射しが痛い。カラッと乾燥した風が涼しくて助かった。16時過ぎにゴールデントライアングルに到着。メコン川を望む古いリゾートホテルがAgoda(宿泊予約アプリ)で60%オフだったのでチェックインした。

 バイクウェアの洗濯を終え、日本にいるアオイ(中1)にLINEで電話をしたら、「はいはい、がんばってね」といつもどおりそっけなく切られてしまった。ちょっと寂しいぞ、去年の相棒(笑)でもまぁ考えてみれば、ゼロゼロワンダフル♪も知らない今どきの中学生にとって、LINEはLINEでしかないんだよね。なんか妙に納得。

暮れゆくメコンを見ながら乾杯 Photo: Takeshi TOMIOKA

 夕食は暮れゆくメコンを見ながらビールを飲み、明日の行き先を相談しながらカッツさんおすすめのトム・カーガイ(鶏肉のココナッツミルクスープ)を食べた。滋味たっぷりのスープが疲れた身体にじんわりと滲みてめちゃくちゃに美味かった。毎日美味しいご飯が食べられる旅、それが自転車旅なのだ。

<1日目の走行履歴>

走行距離:97km(チェンライ〜タチレク〜 ゴールデントライアングル)
獲得標高:381m

Day2:ラオス、遙かなり

 2日目は国境の街チェンコンまで約60kmを走り、船でメコン川の国境を超えてラオスへ行くことにした。ゆっくり走っても昼前には到着するので、「ラオスでランチビアしましょう♪」とのんびり気分で出発!

1300年頃のランナー王朝遺跡 Photo: Takeshi TOMIOKA

勾配13〜14%の坂が続く Photo: Takeshi TOMIOKA

 朝靄のメコン川の対岸(ラオス)に建設中の巨大なカジノが見えた。のどかな景色の中の強烈な異物感が今のラオスの一側面を物語っていた。タイ側の道沿いには、古い城壁跡が点在していたので、バイクを降りてちょっと奥まで歩いてみたら、思いがけずピラミッドみたいな大きな遺跡を発見!悠久のメコン川を挟んだカジノと遺跡のコントラストに「おごれるものも久しからず…」なんて日本の古典がふと思い浮かんだ。

 しかし、ロマンチックな歴史街道はそう長くは続かなかった(笑)道はメコン川を逸れ、斜度13〜14%の坂が連続する山岳ステージへと変貌。旅装備のロードバイクは重い(ぼくのアルミのANCHORで約14kg)。そこに怪我で練習不足のセミメタボ体重が加わり、平坦では速度に乗ってしまえば気にならなかった「重さ」が鉛の足枷となった。ちなみに、1,2月の大会出場で身体が絞れていたカッツさんとの体重差は実に16kgでした。ショック(笑)

 約20kmの坂修行を「冷えたビール、冷えたビール♪」と不純な動機で耐え抜き、ようやく辿り着いたラオス国境では、しかしさらなる試練が待っていた。

「メコンの渡しでラオスまで大人2枚お願いします!」

「この国境はタイ・ラオス専用で外国人は渡れません」

「えっ、Google Mapにはそんなこと書いてないんですけど…」

 ちょっと粘ってみたものの結果は変わらず。15km先にできた新しい橋の国境まで迂回しなくてはならないことが判明した。あぁ、すぐ対岸のラオス遙かなり。

  折れた気持ちを立て直すために、酸っぱいライムをギュッと絞り、汗を拭き拭き辛〜いカオソーイ(米麺)を食べた。辛い!でも美味い!あ〜ビール飲みたい!

 新しい橋の国境では、今度は自転車の自走がNGで(もう笑うしかない)、バスの窓から自転車を積み込むという荒業で何とか無事ラオスに入国。結局、約30kmを迂回して対岸の町ファイサーイに到着したのは夕方近かった。あ〜つかれた〜!飛び込みで入った格安ゲストハウス(一泊500円)の部屋は暗くて狭かったけど、シーツはパリッと清潔で、人はとっても親切だった。

ラオスの食堂で語り合った二人 Photo: Takeshi TOMIOKA

 夕食は宿の近くの食堂で素朴なラープ(挽き肉とハーブの料理)を食べた。足元では瞳をうるうるさせた黒犬がカッツさんをずっと見つめていた(笑)ぼくの足首には小さなヤモリが貼り付いていた。

 隣り合わせた2人は、ロンドンとドイツから来ていて、それぞれ転職のタイミングで数カ月の休暇を取ってアジアを旅していた。ぼくにも20代と30代の終わりに大きな転機があったのだけど、あのときは旅をするなんて思いつきもしなかった。2人がちょっとだけうらやましかった。

<2日目の走行履歴>

走行距離:93km(チェンライ〜タチレク〜 ゴールデントライアングル)
獲得標高:984m

Day1〜2ルート図(Google Mapsより)

旅のお役立ちアイテム①:ウールTシャツ&トランクス

「ウールは夏でもさらっと涼しいんですよ。しかも消臭効果抜群。ジョギングで汗をかいても臭いません」とニュージーランドのアウトドアショップの店員さんに薦められて以来、日常でも旅でも愛用中です。湿度の高い日本の夏には本当にオススメです!

この記事のタグ

ツーリング

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

Cyclist CLIP

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載