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おすすめな汎用工具と使い方<2>元自転車店員が教える「六角レンチ」の選び方・使い方 プロショップで使われるオススメも紹介

by 村田悟志 / Satoshi MURATA
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 メカニックの村田悟志さんにによる「おすすめな汎用工具と使い方」の第2回目は、ロードバイクの整備になくてはならない六角レンチです。様々な形やサイズがありますが、皆さん使い分けはできているでしょうか? 正しい使い方や注意点、おすすめの六角レンチをご紹介します。

使用頻度ナンバー1!六角レンチの選び方 Photo: Shusaku MATSUO

六角レンチって何?

 ヘキサゴンレンチ・ヘックスキー・アーレンキー・六角棒スパナと、名称はメーカー毎に違いますが基本は一緒。六角穴付きボルトを回すための工具で、先が90°曲がった六角形断面の棒形状「L型(形)ハンドルタイプ」が基本です。

「六角レンチ」を選ぶポイント

 ロードバイクの整備では一番と言って良いほど、使用頻度が高いため最初に用意する必要がありますが、種類がやたらあるため、どれを買ったら良いかわかりづらいですよね。今回は、筆者が店やレース会場で使った経験を元に、選ぶ規準をざっくりお伝えします。

①形状は汎用性の高い「L型ハンドル」タイプ

汎用性が高い「L型ハンドルタイプ」。長さの種類も短いものから長いものまで多数 Photo: Shusaku MATSUO

 「T型」や「Y型」など色々な形状がありますが、汎用性の高さでは「L型」が一番。シンプルなカタチのおかげで、狭いところや奥まったところなど様々な状況で使えて便利。コレを使わなくなることは、まずないでしょう。同サイズでも複数の形状の物を持っているとベストですが、最初に買うならやはりL型がオススメ。まずはコレを用意し、必要であれば買い足しましょう。

②柄の長さはとりあえず普通がいちばんスタンダード

 ショートやロングに超短なども有りますが、やはり条件を選ばず使いやすいのはスタンダードサイズ。専用設計のハンドルや、特殊ブレーキの車体などでは特殊サイズが必要になる場合も有りますが、常用することはほぼありません。1本単位で販売しているメーカーが多いので、こちらも必要になったらその時に買い足しましょう。


③注意!サイズ規格はミリサイズ

 六角差し込み部直径の規格です。インチサイズ規格も存在しますが、現在のロードバイクの整備ではまず使うことはないでしょう。アメリカ製の車などがインチサイズの六角ネジを多く使用しているため、車と整備工具を共用する場合はヘッドサイズの規格に注意が必要です。余程特殊な場合を除き、ミリサイズを買っておけば間違いありません。

④オススメは各種サイズの揃った9本セット

自転車整備には9本セットがおすすめ Photo: Shusaku MATSUO

 だいたいどのメーカーさんも1.5mm〜10mmが揃った9本セットを販売しています。具体的には4mmと5mmが一番使用頻度が高いのですが、各部の調整やクランク交換など、他サイズもなんだかんだで満遍なく使います。セットに付属する簡易レンチホルダーも有ると便利ですね。というわけで、1つはセットで持っておきましょう。

⑤長い方の先端はボールポイント

少し斜めにしてもボルトを回せるボールポイントタイプで作業効率アップ Photo: Shusaku MATSUO

 できれば、長い方の柄の先端はボール状のヘッドになっている物がオススメ。ネジの頭に対して、工具を少し斜めにしても回せるので、作業効率が格段に向上します。あまりに高いトルクには耐えられなかったり、精度の低いネジや強度が足りないネジが相手だとナメやすいので、その点は注意が必要です。※工具メーカーの保証最大トルク値をしっかり確認しましょう

⑥オススメのブランドはこちら!

 とりあえずなら自転車工具でお馴染みの「パークツール」や「ホーザン」。個人的には、“モーター系レースで有名”とか“航空機整備で有名”など、ブランドの特色と実績がはっきりしているメーカーがオススメ。また、有名な会社や大きい代理店は、アフターサポートも充実させている場合が多ので、安心感が高いのもポイントですね。

 総合工具メーカーだと日本の「KTC」は外せません、六角に強い「エイト」も◎。ヨーロッパの「ハゼット」、「ベータ」、「ウェラ」、「PBスイスツール」なども有名でハズレにくいです。

 ブランド毎の違いは、当たり面の微細な形状の違い、使用されている合金(素材)のミキシングレシオ、または仕上げや部分毎の特殊処理など、多岐に渡ります。それらの優劣は、使用する状況や合わせる「ねじ」など条件によっても変わります。正直、上記のブランドなら、どれを選んでも当たりなので大丈夫。選ぶ決め手は“メーカーカラー”や“見た目の好み”なんてのが、正解かもしれません。

あると便利、魔性の「T型タイプ」

 ガンガン回せて、作業がスピーディに進むのが「T型ハンドル」タイプの六角レンチ。狭い場所では使えませんが、ハンドル周りのセッティング変更等、合う場面では強烈に使いやすいため、レースメカさんのエプロンには大体いくつかが常時刺さってる感じなんですね。

奥まったボルトも回しやすい「T型ハンドルタイプ」 Photo: Shusaku MATSUO

 と、いうわけで上記「L型セット」を持ってる方に。追加でオススメしたいのがT型です。4mm、5mmあたりを買い足しておけば、相当便利!ヤバいオススメ。まあ無くても整備は出来ますが、正直言って効率が断然違います。一度使ったら手放せない魔性の工具ですね。

六角レンチの使い方

①ネジとレンチヘッドの「サイズとカタチを合わせる」

※似た形の「特殊なネジ」には四角、五角、星形などが存在します。必ず各々のカタチ専用の工具を使いましょう。

②ネジ頭の六角穴に対し「工具を奥までしっかりと差し込む」

※中途半端に差し込んで回すとナメます。しっかり押し込んでから回すこと。

③部品のマニュアルを確認して「指定の締め付けトルク」で回す

※例えばステムのネジですが、「ステム側の規定トルクが8Nmなのに、カーボンハンドル側の許容締めトルクが5Nmだった!?」なんて場合は“組合わせ自体が不可”ですね。しっかり調べてから選んで、組みましょう。

注意点

①サビなどで、工具が奥まで差し込めない状態の場合は、サビ取り等の「下準備を優先する」

②いきなり全力で回さないで「少しずつ回転トルクを掛ける」

③無理に作業を進めない「諦めが肝心」

※ダメならプロに任せましょう。

④ボールポイントで「本締め」をしない

※細いモノなんかは、工具が折れたりネジがナメたりする可能性があります。工具側の許容負荷(最大トルク)を調べてから使ってください。

まとめ

 六角穴付きネジと六角レンチの組合わせは、「差し込むだけである程度工具が固定される」ため、(噛み合いが良ければ)作業は容易な部類でしょう。容易に強いトルクをかけることができ、またトルク管理もしやすいのが特徴です。

 しかしその反面、すぐに強いトルクが掛かってしまうため差し込みが甘かったり、ネジや工具の精度が低いと、簡単にナメて(ネジ頭の六角穴が変形して回らなくなる状態)しまう、また必要以上にトルクを掛けてしまい、部品を壊すなんてリスクもあります。手順が簡単だからこそ、それを守らないと逆に失敗しやすいということですね。

 部品の破損やネジが外せなくなる等のトラブルは、交換に余計なお金と時間がかかるだけでなく、事故のリスクを乗り手と周りの人間に負担させることになります。小さなネジですが、車体を構成する需要な要素の一つであることを忘れないようにしましょう。

 まあ、「焦らず確実に作業しましょ」ってことですね。結果的にその方が早く終わりますから、どんな作業もね。

オススメの工具①

ラモーン 村田のオススメポイント
上で紹介したブランドに加え、今筆者が夢中なのが日本の六角レンチ専門メーカー「eight エイト」。「made in JAPAN の六角レンチ専門メーカー。なのに社名はエイト」だなんて、肩書きだけ聞いてもインパクトしかない。でその実、プロ用のオーダーメイドや業者向け製品をメインに製造し、某有名ブランドの製品も実はeight製だったりと実績が凄い。派手さはないものの、高い精度・耐久性・抗摩耗性を誇る質実剛健な日本製なら「eight」。オススメです。

オススメの工具②

ラモーン 村田のオススメポイント
ブランド名からわかる通りこちらは made in SWISSのピュアスイスプロダクト。実績、人気共に世界でもトップクラスの工具ブランドながら、年間売上の1/5を新製品開発に投げ込むとか男らしさしかない。そのくせ定番の六角レンチはサイズ毎に違うポップな配色で、数字を見なくてもサイズがわかるという優しい仕様。これを使っている自転車屋さん達は使用頻度の高さから「オレンジとイエローが塗装がはげる」という共通経験で話が盛り上がる。オススメです。

オススメの工具③

ラモーン 村田のオススメポイント
F1ではフェラーリ、MotoGPではドゥカティがファクトリーチームとして採用するイタリアの名門工具メーカー。使いやすくて頑丈な【ベータのT型】は、モーター系エンスージアストやメカにとっては定番中の定番アイテム。他のアイテムもそうだが、メーカーカラーのオレンジもオシャレで、とりあえず持っていれば気分がアガる。4mmと5mmが特に欲しい。オススメです。

ラモーン 村田悟志(むらたさとし)

プリートことホアキン・ロドリゲス氏が来日した際に適当につけたあだ名がラモーン。理由はまだ無い。元はモーターサイクル雑誌の編集者、なんか色々あってロードバイクの輸入代理店勤務ののち、秋葉原のバイクショップ・ラモーンバイクス(現U2バイクス)でついこの間までメカをしていたモジャモジャな人。スシドラゴンこと小林海選手の日本での活動時にメカを担当したりもするが、実際は飲み仲間。昨年の全日本では雨の駐車場で半泣きでタイヤ交換していた。いつか仕返ししてやる。所属:(株)オールトラスト

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