『食い込み!サドルトーク』ピックアップ版「自転車通勤を促進するにはどうすれば良い?」コメンテーターの回答まとめ

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 みなさんのサイクルライフをコメントしてもらう連載『食い込み!サドルトーク』。今回のテーマは「自転車通勤を促進するにはどうすれば良い?」です。ここでは、コメンテーターの三船雅彦さん、宮澤崇史さん、マルコ・ファヴァロさん、浅野真則さんのコメントを紹介します。

世界各国では自転車通勤の有用性が注目され、いくつかの国ではサイクルレーンの整備も始まっています Photo:gettyimages/ David Palmer

今回のお題: 自転車通勤を促進するにはどうすれば良い?

日本の交通システムには強者・弱者の力関係がある

 オランダにいた80年代後半~90年代前半。通勤通学の自転車率が高かったです。そして車の通勤で高速の渋滞もすごかったです。多くの人が働きに出ている以上当然ですね。自転車で移動できる距離の人は率先して自転車、自転車では遠いという人が車だったのかなと思います。
 小学生でも隣町から。オランダ北部の田舎町にステイしていましたが、ここだと隣町は10キロほど離れていて、雨でもカッパやポンチョを着て、子供や通勤の大人が滞在していた家の前の自転車専用道を走っていました。
 日本の自転車通勤の難しいところは、ここからは私感ですが、今の交通社会のシステムが車のために作られていて、自転車のために作られていない(ように感じます)。そしてなんとなく強者弱者の位置づけが物事の優先に表れているようです。
 過去に高級セダンに乗っていた人が目の前の軽自動車が邪魔だと車から引きずり出して暴行し死亡したという事件も確か20年ぐらい前だったけどニュースで見ました。自転車に乗っているとなんとなく車の運転が意図的に危険に感じることもあります。
 オランダの時は車だろうが自転車だろうが関係なく、例えば交通事故をした場合はどちらが悪かったかで、車か自転車かという話ではなかったように記憶しています。横断歩道の歩行者や自転車に対して停止する人の数もヨーロッパ各国とは比べものにならず、交通インフラよりも人の教育が先なのかなぁと感じます。
 今現状のシステムで自転車通勤をという話になっても、現時点で自転車の通勤に拒絶反応や恐怖感がなく、現状の交通社会で共存できる自信のある人しか難しいのかなぁとも思います。
 今回の新型コロナウィルス感染拡大防止のため一時的に交通量が減少した際、自転車通勤やサイクリストが増えたなぁと思いましたが、正直見ていて怖く感じる人もいたのは事実です。
 何から進めるのがいいのかわかりませんが、少なくとも自分がドライバーになった時は、サイクリストの人や歩行者にやさしくなれるようにしたいと思っていますが、サイクリストとしても交通社会で共存しているという気持ちで走りたいですね

自転車通勤のための企業独自のガイドラインを

 自転車通勤をする上で企業にとっての問題点は?

シャワー設備を作る:水場は企業にとって建物を借りている上で、設備できるか?が非常にハードルの高い問題点です。

駐輪場設備:駐車場のある建物は可能ですが、高額な自転車を駐輪できるか?オフィスに持っていく上で、一般エレベーターが使いにくいなどのハードルをどうクリアーするかが肝になります。

最後に最も懸念している事は事故があった時どうするか?:労災を使う上で、通勤経路外で(例えばちょっと買い物に寄った)通勤経路を逸脱してしまった時に起こった事故です。

 皆さんもご存知の通り、労災を適応する上で通勤経路を外れると労災に適応されませんが、過去に労災を適応している企業もあります。また、営業の人に関しては、企業独自の免許更新制度を作っている企業もあります。
 これはどういうことか? 免許をとる上で必要な項目はもちろんのこと、企業が独自に作った運転免許更新制度があります。もちろんこれは一般的な免許更新よりも非常に難しい制度を毎年課しています。
 自転車も、通勤したい人に対して企業独自のルールをしっかりと作り、それに逸脱した人に対して罰則を設ける。という形にしていくことが自転車通勤が世の中で広まる1つの方法ではないかと思います。企業のガイドラインは、自転車に関して作りにくいものですので、ここを作れることが推進する第1歩になるのではないでしょうか。

とにかく駐輪所の設置が急務!

 自転車通勤を促進するにはどうすれば良いか。
 マナーや自転車レーンの有無以前は、職場はどこにあるかを考えるべきだと思います。郊外にある企業ならおそらく問題はないでしょう。道路も広いし、自家用車用の駐車場もあるでしょう。会社から5〜6km範囲内に住めば、それほど汗をかかないで快適に通勤できるはずです。問題となるのが、企業が密集している都市部です。やはり真っ先に浮かぶのが駐輪場問題です。
 一つのケースを考えてみましょう。Cyclist編集部のある産経ビルは、東京一等地、高層ビル群が密集する大手町にあります。産経ビルだけで1000人が勤めているとしましょう。40%の人が自転車通勤をするだけで400台の自転車を安全に保管する場所が必要となります。来客者、周辺のビルに勤める人を含めると、とんでもない数の自転車が大手町に集中し、歩道、広場、公園など、あらゆる場所が自転車に占領されてしまいます。
 この問題は東京や大阪に限ったものではなく、ミラノ、ロンドン、パリにも起きています。どこも駐輪スペース不足です。
 新型コロナウイルス感染拡大がもたらした影響で、これからの仕事のやり方だけでなく、街のインフラを考え直すための良いきっかけになったと思います。
 とにかく駐輪所の設置が急務!

都市部のクルマ移動を制限して自転車が走りやすい環境を

 「自転車通勤する人が増える=他の通勤手段を利用する人が減る」という前提で考えると、クルマの利用者が減らないと、都市部を中心に道路のキャパシティ不足に拍車が掛かり、渋滞の増加や事故発生率が高まる恐れがあります。
 自転車専用道をわざわざ作らなくてもいいので、片側2車線以上の幹線道路は左側の1車線を自転車専用レーンとし、その他の道路にも自転車通行帯を明示し、公共交通機関や配送業を除くクルマの移動を都市部を中心にある程度制限して自転車が走りやすい環境を整えることが重要だと考えます。
 勤務先や出先での駐輪場所の問題もクリアしなければなりません。企業や公官庁、商業施設には従業員数や来客数に応じた規模の駐輪場を確保することを義務づけ(商店街なら商店街単位でも可)、自転車通勤・自転車利用しやすい環境を作ることが必要でしょう。
 さらに、マイカー通勤から自転車通勤に切り替えた従業員に対して「エコ通勤手当」を出すなど、自転車通勤の促進に熱心に取り組む企業を国や地方自治体が手厚くサポートするのもひとつのアイデアかと思います。
 もちろん、自転車に関する交通ルールの周知・徹底も重要なので、並行して進める必要があるでしょう。子どもは授業の一環として、大人は免許取得時や免許更新時に少なくとも一度、実技と講習を受けることを義務づけるとか、免許を持っていない人も含めてすべての人が自転車の交通ルールを学ぶ機会を設けるのがいいのではないかと思います。

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