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三船雅彦の「#道との遭遇」<5>「四国一周」も三船雅彦さんにはサバイバル 寒さ、爆風、眠気に耐えた60時間半

by 三船雅彦 / Masahiko MIFUNE
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 日本で一番サイクリストが行きたい場所、そして全国からサイクリストが訪れている場所、正確にカウントしたわけではないがきっと「しまなみ海道」ではないだろうか。しまなみ海道は昨年度の推計で33万人が訪れている。多くの人はきっと広島県尾道市から愛媛県今治市へと自転車で走り、一泊して翌日に走って戻るのか、もしくは電車や飛行機等で帰宅するのだろうか。景色も良いし、自分の力で四国まで走っていくということが達成感も大きくて良いのかもしれない。個人的には今治に行ったらそのまま四国も走ってよ、と思うのだが(笑)。

低気圧の影響で雨(みぞれ?)が降ったと思ったら青空。不安定な天気、向かい風に翻弄される Photo: Masahiko MIFUNE

「 4日以内で行ってきます 」

 ちなみに四国一周にエントリーしている人は4月末現在で2,480人、そして完走者は2年5カ月の累計で803人、そのうちの一人は私です。

 四国は八十八カ所を巡る「お遍路さん」の文化もあり、四国を一周することに日本全国の人も特別な思いはあるだろうが、それでも変な話「400km一気に走ってきます」というよりも「四国一周を1週間でしてきます、いや4日かな」って言う方がきっと変人扱いされないはずだ。そのぐらい四国一周という言葉は何となく痛みや苦しみを神聖化するのか知れないが、受け入れてしまえる土壌があるのではないだろうか。

 2018年、お世話になっている愛媛県の方から「一度四国一周してみて、いろいろと感想教えてください」といわれた。今思えば現代のお遍路さん風に何回かに分けて回ればよかったのだろうが、「仕事休めるのは4日以内ですかねぇ…4日以内で行ってきますね」と答えてしまった。完全に先方さん困ってました(笑)。まさか一気に行くとは思ってなかったようで。

 これはタイムトライアルではなく、途中で美味しいものを食べながら、そして四国一周の魅力を伝えられれば、というきっかけ作り。ただそのための時間が4日しかなく…。ブルべで徳島へ行ったついで(?)にそのまま松山へと移動。翌日に反時計回りでスタートした。ほぼ推奨ルートだが、逆回りでなるべく海岸沿いをトレースしようと思ったのだ。

四国でまさかの極寒に見舞われる

 佐田岬はパスして国道378号へ。推奨は八幡浜~宇和島間は西予ルートだろうが、海岸線はリアス式で景色もかなり良いし、何度走っても飽きない。強いていえば八幡浜~宇和島の所要時間は倍ほどかかるので、後半はちょっと飽きてくるが(笑)。

再びご褒美タイム 宇和島の道の駅で再び海鮮丼! Photo: Masahiko MIFUNE

 その飽きさせないためのご褒美がおいしい海の幸だろう。愛媛といえば鯛の認知度がダントツかもしれないが、それだけではない。アナゴやタコ、他にもたくさんある。高知ももちろん素晴らしいが、愛媛は黒潮と宇和海があり、なんでも美味しいというのは言い過ぎか。

 チャレンジした時期がとんでもない低気圧襲来のタイミングで、実はスタート時点であちこち積雪で大変なことになっていた。

松山をスタートし今回は反時計回りで四国を一周。夕焼け小焼けラインではところどころに積雪が。ここから先は大丈夫だろうか Photo: Masahiko MIFUNE
今回の装備。寒さ対策(天気予報では相当荒天)。実際雪や寒波の影響で足摺岬手前は氷点下6℃! Photo: Masahiko MIFUNE
-6℃まで下がり、さすがにこれはダメだと覚悟を決めた400m後、コンビニ発見。オーナーがイートインで仮眠させてくれ復活。夜明け時間に足摺岬に到着し、素晴らしく神々しい夜明けで感動した Photo: Masahiko MIFUNE

 訪れた足摺岬で氷点下6℃!黒潮が入ってくる場所と考えると、とんでもない寒さだ。時間が限られていて、予定では夜明けの足摺岬の写真を撮る予定が、途中寒さで走行断念。

 初日を愛南で終え、2日目は高知県を突き抜けて徳島県へ。四万十川が見えたとき、ようやく痺れるような寒さから解放されてほっとしたのを思い出す。

 足摺から高知県は、追い風を期待するもののなぜか向かい風。太陽は出ているが向かい風。疲労で眠い。時々コンビニで何かを食べながらウトウトしている。そういう時は少し寝ちゃう方がいい。10分でいいから目を閉じる。 

 

極寒に次ぐ爆風

高知を過ぎて室戸岬へと向かう海岸線。夕焼けが最高に気持ちいい Photo: Masahiko MIFUNE

 安芸のあたりで陽が沈む。室戸に向けてとんでもない向かい風で全然進まない。途中イヤになって道の駅の自動販売機の横で30分ほど仮眠をとった。

陽が暮れると気温は一気に下がり爆風、もちろん向かい風。耳障りなほどの爆風で途中の道の駅で風よけになりそうな場所を探し、仮眠(笑)。氷点下2℃で日暮れ。当然誰も来ない・・・ Photo: Masahiko MIFUNE

 室戸岬経由の予定だったがあまりの爆風で岬をカット。そして徳島県に入る頃に3日目に突入。牟岐から阿南にかけて、内陸というほどではないのに海岸線から外れただけでただならぬ寒さに見舞われた。

 そして真っ暗の峠。皆さんはちゃんと明るいときに四国一周を満喫してください(笑)。

 朝には徳島市内へ。それまで快適だった道路も都会の渋滞。といっても30分ほどで混んでいる区間を抜けてしまえるが。

 香川県に入ると、国道11号は並行しての道路や迂回路のようなものがしばらくないので注意が必要。交通量が少なすぎて大型車も高速道路を利用していないのかな、と感じる。理想としては日中でも尾灯は点灯、もしくは点滅させておきたい。

最速記録? 一周60時間半

 東かがわまでくると、ここからしばらくはさすがうどん県を名乗るだけにうどん屋には事欠かない。例えるなら「エネルギーはそこかしこにある」だ。問題は、食べても食べても美味しそうなうどん屋がどんどん近づいてくることだろうか。

徳島を離れて香川県へ ようやく待ちに待ったうどんタイム! Photo: Masahiko MIFUNE
特に調べず、目の前にうどん屋があって並ばなかったら入ろう!と最初に入ったお店の天ぷらがヤバすぎ! Photo: Masahiko MIFUNE

 香川県は四国の中で一番交通量が多いかもしれない。瀬戸大橋があるからなのか、なんとなく四国の物流の拠点とも感じられる。

 四国中央市に入るとそこは愛媛県。ここまで来ると松山市の看板も見え始め、頑張れば3日中にゴールだ! と愛媛県の担当者に連絡すると…

 「伊予西条から松山へは、すみませんが今治を経由してもらえませんか。桜三里は避けてください」

 ガ~~ン(*´Д`)

 相変わらずの低体温、そして絶望感から(?)の睡魔により、今治市内のコンビニでコーヒーを飲みながら、またしても寝落ちしてしまった…ここで3日目が終了した。

うどんを堪能しつつ(何回食べたか記憶にない)愛媛を目指す。三豊のあたりで日が暮れ、3回目のナイトランへ突入 Photo: Masahiko MIFUNE

 そして海岸沿いをトレースし松山へは夜中2時半ごろに到着。終わってみれば60時間半ほどで一周。そしてちゃんと海鮮丼(2回も)やうどんもちゃんと食し、一応グルメも堪能。あと寒さで自販機の横で仮眠も堪能した。

予定を5時間ほど過ぎてゴール。眠いっす… Photo: Masahiko MIFUNE

おすすめは2泊3日×3回の旅程

 足早ながら四国一周をしてみての感想。

 「できる事なら2泊3日の旅程を3回ほどに分けて行うのが良い(気がする)」

長浜大橋。日本最古の道路可動橋。第二次大戦中には米軍機が銃撃し、銃弾が貫通した跡が残っている Photo: Masahiko MIFUNE

 関東からであれば空港を利用し、松山をスタートなら松山空港に降り立ち、1回目は松山~今治~伊予西条付近で初日、2日目で高松付近で終えて翌日に高松空港から帰宅。

 次回は高松に降り立ち高松~徳島、2日目に徳島~室戸岬から安芸あたり、そして3日目に室戸~高知空港。3回目には高知~土佐中村、そして宇和島まで2日目に進み、最終日に松山へ。

八幡浜のあとは海岸線で宇和島へ。山から流れる低気圧の影響であちこち路面は相当ウェット。しかし幸いだったのは、本降りの中を走ることはなかったことだ Photo: Masahiko MIFUNE

 旅程がタイトであれば、もう1回増やして余裕を見て進むのも良いかもしれない。それはお遍路さん感覚で、あくまでも自分のペース、ライフワークとして進めていくのがいいのかなぁと思っている。

 どうしても一気に進みたい!と言う人がいるとすれば…アドバイスとしては最近四国はバイパス化されているので交通量は少なくなってきて走りやすいと思います。ただ絶対的にコンビニや食事のできるところが少なく、常にバッグに補給食・非常食を持っておいた方が良いかも。海岸トレースや山間部をトレースしようとすると、ノンストップでも時間帯によっては数時間は食事が手に入らない、は当たり前です。

 このあたりの準備や能力がない人にはノンストップライドはお薦めしません。

四万十市から高知市までの区間は意外とアップダウンが続く。初めて来ると海岸沿いの平坦だと勘違いするのだが。山間部の日影ではところどころ雪が残っていた Photo: Masahiko MIFUNE
三船雅彦(Masahiko MIFUNE)

元プロロード選手で元シクロクロス全日本チャンピオン。今でもロード、シクロクロス、ブルべとマルチに走り回る51歳。昨年は3回目の『パリ~ブレスト~パリ』完走を果たし、今年はイタリアの1001ミリア出場予定。「知らない道がある限り走り続ける!」が信条。

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