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「自転車“基礎”栄養学」<6>サイクリストが知っておくべき サプリメントの正しい使い方と賢い選び方

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 サイクリストの皆さんは室内でのトレーニングが多くなっているかと思いますが、体調管理はいかがですか? 運動量が少なくなっても、免疫力を高め、健康な身体を作り維持していくために必要な栄養素は十分に摂らなければなりません。私は管理栄養士として食事を中心とした栄養補給を大事にしたいと思っていますが、スポーツで身体を酷使することが多い方には、食事だけで栄養を不足なく摂取していくのは難しいと考えています。ですので、賢く「サプリメント」を活用していただくことをお勧めします。

不足する栄養素を補うサプリメントの使い方 Photo: gettyimages/ xb100

サプリメントとは

 サプリメントの位置づけとしては、食事から十分な量が摂取できない栄養素を補うものと、運動能力を高めることが期待されているもの(エルゴジェニックエイド)の2つに大別されます。そして両者ともあくまで補助食品ですので、サプリメントを食事代わりに使うという考えは危険です。

 できれば、サプリメントは前者としての利用をお勧めします。エルゴジェニックエイドは、その作用に対する科学的な根拠が乏しいものもありますので、正確な情報をもって判断できないと、無駄なものになり兼ねません。

サプリメントはどんな時に使うか

 サプリの使用は「足りないものを補う」という考え方を基本に、必要に応じて活用していただきたいと思います。ここでは、 ①運動量が多い日②出張や外出等いつもと違う環境で食事を摂る必要がある③忙しくて食事をしっかり摂る時間がない④食欲がないとき⑤筋肉をつけたい時⑥菜食主義の方─といったケースに分けて考えていきたいと思います。

 ①の運動量が多くなる場合、皆さんはその分のエネルギー(炭水化物や脂質)を摂る認識はあると思いますが、このときエネルギーとして体の中で使われるためには、ビタミン類がその量に応じて必要になります。

 ある研究では、有酸素系運動時の補給においてご飯やパン、果物などからエネルギーを十分に摂っていても、ビタミン群の相対的不足がみられた事例を報告しています。その場合には、ビタミン、特にビタミンB群のサプリメントを活用することをお勧めします。

 ②の外食せざるを得ない場合は、食物繊維などが不足することが多いです。その際は、コンビニで海藻サラダなどを調達できればと思いますが、それも難しい場合は食物繊維のサプリメントがよいでしょう。

 ③や④は、最低でもエネルギーは確保したいですので、少量であってもエネルギーをしっかり補給できる補助食品を選ぶようにしましょう。

 サイクリストの皆さんにとって関心が高いと思われる⑤は、最もサプリメントの活用頻度が高いと思いますが、これも適量を適切なタイミングで摂らないと効率が悪くなる可能性があります。

 プロテインサプリメントだけが筋肉を作るわけでありません。現在ではたくさんの種類があり、自分にとって一番よいプロテインは何かを悩む方も多いと思います。この点については次回のコラムで詳しくご紹介したいと思っていますので楽しみにしていてください。

 ⑥の菜食主義の方の場合、植物性食品ばかりでは栄養の偏りが大きくなり不足する栄養素が多くなってきます。そのような方は上手にサプリメント(特にビタミンB12)を活用することは有効と考えます。

運動に欠かせない、サプリメント活用を検討すべき栄養素

1.エネルギー

 食事からのエネルギーだけでは難しい、また運動中もしくは運動まで時間がない場合は、エネルギーのサプリメントを用いて、消化の負担を減らしつつすぐに使えるエネルギーを補給する

2.たんぱく質

 特にウエイトトレーニングをした日や高強度に身体を酷使した日には、必須アミノ酸のBCAAやタンパク質サプリメントをタイミングよく活用したい

3.ビタミンB群

 先述したように、エネルギーを供給するためにはビタミンB群が必須。ご飯や麺の大盛等、普段よりも主食を多く食べた際には、その量に応じてビタミンB群を摂取する

4.抗酸化ビタミン

 体を酷使するほど、体内での活性酸素は多くなるため、その負担を減らすためにも抗酸化ビタミンを積極的に摂取することは有効。抗酸化ビタミンの代表として、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEがある。外での活動によって紫外線を多く浴びた日は、比較的摂りやすいビタミンCを積極的に摂取したい

 ⇒私は、日焼け対策もしっかりしますが、外で半日練習した際は必ずビタミンCの多い食品やスポーツドリンクを意識して摂るようにしています。

5.鉄分

 運動する方は、酸素を全身に運んでくれる赤血球(ヘモグロビン)を不足させないようにしましょう。鉄分の不足によって起こる貧血は、易疲労(疲れやすい体質)の原因でもあります。疲れがなかなか取れない方も上手に活用してほしいです。

 ⇒私はレースの数日前から鉄サプリメントを摂取し、体内の鉄分をフル(にするイメージ)にしていました。

玉石混交のエルゴジェニックエイド

 エルゴジェニックエイドの活用に関しては否定するつもりはありません。私もここぞというレースや練習時には、そのサプリメントのエビデンスや情報を正しく理解し、納得したものを積極的に取り入れてきました。最近では多くのエビデンスも揃い始め、運動能力向上に寄与するサプリメントもいくつかあります。

 例えばクレアチンやカフェイン、HMB(βヒドロキシβメチルブチレート)などが該当します。私は、カフェインは集中力アップ、脂肪燃焼効果を期待して用い、HMBも2週間と期間を限って体脂肪減少を目的として身体を仕上げました。

 ただ、私の場合は上手くいきましたが、それでも、まだまだ根拠の少ないサプリメントも多くあり、ある条件下では有効であっても絶対的に有効とは限らないということを念頭に置くことが大切です。過剰摂取によって身体に害を与えるものや、ドーピング問題にもなり兼ねないものもありますので、各サプリメントの注意事項をよく理解して使用する必要があります。

 近年サイクルショップで人気のあるサプリメントはEPA(エイコサペンタエン酸)だそうです。血管に作用して運動能力を高める報告もありますが、数年前から筋肉再生にもEPAが関係しているという研究報告もあり、少しずつエビデンスが蓄積してきたようです。EPAは魚の油に多く含まれますが、なかなか摂れない成分ですので、こうしてサプリメントで摂取するのは効率が良いと思います。

 他にもご紹介したいサプリメントはありますが、また次回のテーマとしてご紹介したいと思います。

 現在、外でのロングライドがなかなか出来ない状況かとは思いますが、まずは食事で体調管理を行い、不足する栄養素は使用量や用途を理解してサプリメントを上手に使いながら、健康な身体づくりをしていただきたいと思います。

小川静香 小川静香(おがわ・しずか)

公認スポーツ栄養士、管理栄養士、博士(医学)。食アスリートジュニアインストラクター。日本女子大学卒業後、東北大学大学院医学系研究科運動学分野を修了。3歳から水泳を始め、国体も経験。大学院在学中にトライアスロンにハマり、2009年に念願の日本選手権に出場。同年佐渡国際トライアスロンAタイプで優勝を果たす。スポーツトレーナーを目指す学生の指導にあたる他、スポーツ栄養の知識を自ら実践し、栄養教育活動や栄養セミナーで伝える。現在はアイアンマンレースに向けた練習と共に筋トレにも精力的に取り組み、ボディメイクに奮闘中。

この記事のタグ

ニュートリション 自転車“基礎”栄養学

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