自転車界トップが考える“アフターコロナ”②新ライフスタイルに対応するオンライン戦略に注力 ワイ・インターナショナル鳥居恵一郎社長

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 世界中に影響をもたらしている新型コロナウイルス拡大をきっかけに、人々の生活様式が見直され、自転車を活用した行動にも注目が集まっている。この流れをどうとらえ、どう自転車を活用していくか? Cyclist編集部が自転車業界を牽引する各社長へオンラインインタビュー。第2弾はスポーツサイクル専門店「Y’s Road」を全国に展開するワイ・インターナショナルの鳥居恵一郎社長へコロナがもたらした変化と、今後の戦略を聞いた。

売上減少もオンラインが急成長で限定的に

――コロナ禍の前と現在とでは変化はありましたか?

自転車業界や自社の“アフターコロナ”についてインタビューに答えたワイ・インターナショナルの鳥居恵一郎社長

 緊急事態宣言、“Stay home”自粛環境下において、弊社も店舗営業時間を短縮し、スタッフ人数調整・入場制限・一部休業等、店舗での感染防止対策も必要充分にとり営業を継続しています。

 実店舗は特に週末トラフィックの大幅な減少から、新宿上野エリアと地方都市の一部で売上が減少していました。一方、住宅地域に近い店舗では 新しいお客様が明確な購入意図を持って比較的広い範囲から来店いただき、例年より売り上げが増えています。オンラインストアの急成長もあり、売り上げへの影響は限定的です。

 ヨーロッパ主要都市では自転車専用レーンの整備や購入・整備のための助成金など、感染予防に有効な政策がタイムリーに実施されています。都市部での公共交通機関の乗車率を定常的に下げ、人との接触を大幅に減らす環境を担保するためには、都市インフラ整備とともに企業への自転車通勤奨励が推進される事が望まれます。

――通勤での活用やサイクリングの有効性が見直されクロスバイクの販売が伸びていると聞きます。ロードやクロスバイク、MTBなど各ジャンルの割合に変化はありましたか?

 クロスバイクの売り上げは二ケタ増です。ディスクブレーキ装着モデル、人気ブランドの比較的高価格帯が売れています。また自宅・職場の保管スペースからフォールディング小径車を選択される方、デザインを気に入って軽量e-BIKEを選ぶお客様、グラベルロードの情報を集めて決め打ちで来る方も増えています。学校が始まっていないので新入生の春需は本格的に始まっていない印象です。

 ロードバイクを数年ぶりに再開されるお客様もご来店される一方、イベントの中止やグループライドの自粛の影響から趣味としてロードバイクを楽しまれているお客様がまだ例年より少なく、 高価格帯のロードバイクやサイクルウェアの販売スピードが遅くなっています。

――一般サイクリストの間で自転車の役割が見直されている傾向を今後、商機としてどう捉えていますか。

 一般サイクリストに加え、今まで公共交通機関での通勤、移動をしていた方々もシティーコミューターとしての自転車の良さを再認識しています。感染リスクの削減だけでなく、CO2削減、心と躰の健康増進に有効です。

 弊社は、社会インフラとしての自転車、特により軽快で格好良いスポーツサイクルを販売する創業121年の専門店ネットワークです。今まで改善してきた事を継続します。

 初めてのお客様でも入りやすく、たくさんの自転車ブランドの実物の比較検討ができます。業界慣習に縛られず即納車もたくさん準備しています。

 納車後も安全に楽しく乗っていただける様 長年のノウハウが蓄積された「Y’s Tech基準」で正しく組立・整備されたスポーツサイクルを販売しています。高額なロードバイクでもお手頃なクロスバイクでも同様に、必要なグリスアップやホイールとタイヤを分解してパンク防止のためのバリ取り、研磨、振れ取りなどを実施しており、納車後のクレームはほとんどありません。

 このワイズロードのスポーツサイクル専門店としてのこだわりは手間と時間がかかる事なので、この高い品質を保持できる範囲で一度お付き合いが始まったお客様とはLTV(ライフタイムバリュー)を高めるべく、長いお付き合いをさせていただければと思います。 

ウェブと実店舗の融合策が好調

――オンライン化が進んでいますが、実店舗の役割、ショッピングスタイルは変わりそうでしょうか

 中期戦略の柱の一つとして昨年投資したY’sオンラインストアは絶好調です。HPデザイン、セッション、CRV、バスケット、全てが大幅に改善し4月昨対45倍、最大の店舗になりました。売上のドライバーになっているのは完成車のC&C(クリック&コレクト=WEB注文店舗受取販売)と、スマートトレーナーです。

 「スマートトレーナーならY’s Roadオンライン」というイメージ定着を目指して、全ブランドのスマートトレーナーを販売しています。また世界的に購入後評価の高いSARIS社と日本輸入代理契約を締結しました。SARISブランドサイト、ワイズロードWebから店頭試乗コーナー、サプライチェーンまで一貫したマーケティング施策が取れたことにより、米国から何本も追加で航空コンテナを飛ばすほど好調な売上でスタートしています。

 完成車C&Cは実店舗の信用からかロードバイクの中高価格帯もプロパーで売れるのが良い傾向だと思っています。パーツ・アクセサリーのC&Cも用意はでき、今後アパレル・シューズ・ヘルメットのC&C、試乗車や試乗ホイールなどのWEB予約も開始します。 店舗ネットワークとオンラインストアを生かす事により、人との接触を減らして効率的にショッピングをしたいお客様のニーズにも対応できると考えます。

――コロナ禍をきっかけとしたライドスタイルの変化について教えてください

 ソロライドの推奨、グループライドSocial distancing維持など感染防止を意識しリスクをコントロールすることは必要だと思いますが、ペダルを回し、風を切って走る気持ち良さに勝るものはありません。

 少人数のグループで輪行して郊外で走るとか、リゾート地に宿泊して走るとか、楽しみ方も様々になってくると思います。弊社では新しいご提案として昨年より苗場プリンスホテル&リゾートと提携し、Y’s Roadプレミアムレンタルサイクルを開始しています。

 2018年より日本トライアスロン連合(JTU)のオフィシャルサポーターをさせていただいておりますが、トライアスロン選手や ロードレースイベントに出場されるお客様、スタッフが 効率的なインドアトレーニングで仕上げる事が多くなっていると聞きました。 

 24時間全天候で安全でバーチャルライド市場を拡大する事を戦略に位置づけ、昨年は下半期約700台のスマートトレーナーを販売し10倍増、今年は年間5000台ペースで進捗しています。

 現在は18店舗でZWIFTに接続したスマートトレーナーを設置しています。お客様にご自宅からZWIFTのレースや「meet up機能」で参加頂き、店舗主導のライドイベントを開始しました。弊社新宿本館の女性スタッフがプロ選手も参加するWomen’s tourで勝ってしまったり、自粛下でもインドアサイクリングは盛り上がっています。

 スマートトレーナーの拡販をするだけでなく、ZWIFTのバーチャルライドを楽しんでいただける様々な提案を準備して行きます。

――御自身はコロナ禍の中でどのような行動をされていましたか

自らもスポーツサイクルを楽しむ鳥居恵一郎社長(提供写真)

 普段は池袋オフィスまで片道50分、時々荒川サイクルロードに寄り道しながら最新ロードバイクの走りを楽しんでいます。雨が降れば車で電車に乗る機会はありません。

 コロナ以降は海外・国内出張は延期。米国本社とのミーティングは全てビデオ会議になりました。都内店舗訪問も ブロンプトンか店にあるe-BIKE試乗車を利用。自宅ではSARIS H3スマートトレーナーにGARMINをつけて楽しんでいます。 

――販売店としての売り方はどう変わっていくと考えますか

 上述の通り経営方針は継続、2020中期戦略の実現を進めますが、新しいライフスタイル / 事業環境の変化に対応すべく オンライン事業への投資を前倒しで実施します。 

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