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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<338>男女ワールドツアー新レースカレンダー決定 ツールは8月29日開幕で動かず

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 UCI(国際自転車競技連合)は5月5日、世界的な新型コロナウイルス感染拡大にともない中断となっていた2020年のロードレースシーズンにかかる新スケジュールを検討。男子は8月1日のストラーデビアンケで再開し、11月8日に閉幕するブエルタ・ア・エスパーニャまでの新たなレースカレンダーを発表した。また、先ごろ8月29日開幕と決まったツール・ド・フランスの日程も改めて承認。そこで今回は、“ポスト・コロナ”として再始動を目指す男女トップカテゴリーのスケジュールを確認。そのほか、レース運営に関する新たなレギュレーションもまとまっているのでチェックしていくことにする。

8月から再開するUCI男女ワールドツアーのカレンダーが発表。11月までの日程が固まった(写真はツール・ド・フランス2019第3ステージ) Photo: Yuzuru SUNADA

UCIワールドツアーはツールなど25レースを開催

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、3月上旬に開催されたパリ~ニースをもって中断となったUCIワールドツアー。これをきっかけとするように、各大陸で行われる同コンチネンタルツアーも断続的にシーズンをストップ。全世界でレース活動が休止になった。

8月1日のストラーデビアンケでシーズンが“再開幕”する(写真は2019年大会) Photo: Yuzuru SUNADA

 世界各地の感染拡大動向を考慮し、UCIは4月15日にレース活動中断を7月1日まで延長、UCIワールドツアーは8月1日以降に再開することを決定。同時に、5月15日までに新たなレースカレンダーを発表するとしていた。ただ、レース開催を目指す国々の情勢や主催者の尽力もあり、この発表を前倒しできる見通しであることは4月下旬には欧米のサイクルメディアを中心に報じられていた。

 そして5月5日、UCIは改訂された同ワールドツアーのスケジュール発表にこぎつけた。

 2020年シーズンの“再開幕”となるのは、8月1日のストラーデビアンケ。以降次々とレースが組まれ、11月8日に最終ステージが行われるブエルタでイレギュラーなシーズンが締めくくられる。同ワールドツアーとして開かれるのは25レース。うち、ワンデーレースが17、ステージレースは8(3つのグランツールを含む)。このうち、ツールは先の発表通り8月29日に開幕。一方、ブエルタに関しては当初予定されていたオランダでの開幕3ステージのカットが正式に決定。全18ステージで争われる。

 また、E3ビンクバンククラシック、ツール・ド・ロマンディ、ツール・ド・スイス、ボルタ・ア・カタルーニャ、イツリア・バスクカントリー、クラシカ・サンセバスティアンの6大会が、主催者の要請により2020年大会の開催をキャンセルすることになった。

 決定されたレーススケジュールは以下の通り。

改訂版UCIワールドツアー2020

8月1日 ストラーデビアンケ(イタリア)
8月5~9日 ツール・ド・ポローニュ(ポーランド)
8月8日 ミラノ~サンレモ(イタリア)
8月12~16日 クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(フランス)
8月16日 プルデンシャル・ライドロンドンサリー・クラシック(イギリス)※
8月25日 ブルターニュクラシック・ウェストフランス(フランス)
8月29日~9月20日 ツール・ド・フランス(フランス)
9月7~14日 ティレーノ~アドリアティコ(イタリア)
9月11日 グランプリ・シクリスト・ド・ケベック(カナダ)※
9月13日 グランプリ・シクリスト・ド・モントリオール(カナダ)※
9月29日~10月3日 ビンクバンク・ツアー(ベルギー、オランダ)
9月30日 ラ・フレーシュ・ワロンヌ(ベルギー)
10月3~25日 ジロ・デ・イタリア(イタリア)
10月4日 リエージュ~バストーニュ~リエージュ(ベルギー)
10月10日 アムステル・ゴールド・レース(オランダ)
10月11日 ヘント~ウェヴェルヘム(ベルギー)
10月14日 ドワーズ・ドール・フラーンデレン(ベルギー)
10月15~20日 グリー・ツアー・オブ・グワンシー(中国)※
10月18日 ツール・デ・フランドル(ベルギー)
10月20日~11月8日 ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)
10月21日 AGドリダーフス・ブルージュ~デパンヌ(ベルギー)
10月25日 パリ~ルーベ(フランス)
10月31日 イル・ロンバルディア(イタリア)
日程未定 ユーロアイズ・サイクラシックス・ハンブルグ、エッシュボルン・フランクフルト(ともにドイツ)

※当初の日程で開催されるレース

 上記日程に加えて、国内選手権ウィークを8月20~23日に設定することも決まった。ただし、ヨーロッパの数カ国でこの時期の大規模集会の禁止を打ち出していることもあり、各国連盟の判断のもと別の日程で調整できるよう配慮される見込み。

 これらのスケジュールによってシーズンがどう運ぶかの展望は、今後本コーナーで進めていきたいと考えているが、1つ明確になったのは、リエージュ~バストーニュ~リエージュやアムステル・ゴールド・レースといったアルデンヌクラシックや、石畳系の北のクラシックを目指す選手たちは開催時期が重なるジロには出場できないこと。こうしたことも踏まえて、選手やチームはレースプログラムを組んでいくことになる。

 また、現時点で9月までの大規模集会が禁止されているフランスで、ツールやクリテリウム・ドゥ・ドーフィネなどをどう運営するのか、方針をいかに定めるかも見もの。引き続き動向を注視していく必要が出てきた。

UCIワールドツアー2020カレンダー ©︎ UCI

女子版パリ~ルーベが初開催

 2月1日に行われたカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース以降中断となっていたUCIウィメンズワールドツアーも、8月1日のストラーデビアンケを皮切りに18大会が催される。注目は、男子と同日にパリ~ルーベの女子レースが初めて実施される点だ。

改訂版UCIウィメンズワールドツアー2020

8月1日 ストラーデビアンケ(イタリア)
8月8日 ポストノルド・UCIウィメンズワールドツアー ヴォーゴーダ・ウェストスウェーデン チームタイムトライアル(スウェーデン)
8月9日 ポストノルド・UCIウィメンズワールドツアー ヴォーゴーダ・ウェストスウェーデン ロードレース(スウェーデン)
8月13~16日 レディース・ツアー・オブ・ノルウェー(ノルウェー)
8月26日 グランプリ・ド・プルエー(フランス)
8月29日 ラ・クルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス(フランス)
9月1~6日 ブールス・レディースツアー(オランダ)
9月11~19日 ジロ・デ・イタリア・インテルナツィオナーレ・フェミニーレ(イタリア)
9月30日 ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム(ベルギー)
10月4日 リエージュ~バストーニュ~リエージュ・ファム(ベルギー)
10月10日 アムステル・ゴールド・レース・レディース(オランダ)
10月11日 ヘント~ウェヴェルヘム(ベルギー)
10月18日 ロンド・ファン・フラーンデレン(ベルギー)
10月20日 ツアー・オブ・ガンシー・ウィメンズワールドツアー(中国)
10月20日 ドリダーフス・ブルージュ~デパンヌ(ベルギー)
10月23~25日 ツアー・オブ・チョンミンアイランド(中国)
10月25日 パリ~ルーベ(フランス)
11月6~8日 セラチジット・マドリードチャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ(スペイン)

UCIウィメンズワールドツアー2020カレンダー ©︎ UCI

5月20日までには全レースカレンダーが決定に

 シーズンの再開に向けて、選手やチームに直結するいくつかの措置も決定している。

ブエルタ・ア・エスパーニャはオランダでの開幕を断念し18ステージで実施する(写真は2019年大会) Photo: Yuzuru SUNADA

 各チームの最大出走人数に関して、UCIワールドツアーにおいてはグランツールが8人、その他ステージレースは7人で変わらず。ワンデーレースは主催者の選択に応じて6人または7人とすることができる。最大7人のレースの場合、チーム事情に応じて6選手で臨むことも可能。

 同ウィメンズワールドツアーは、いずれのレースも各チームの最大出走人数は5人で固定(通常は6人または7人)。これは、より多くのチームを招待するための対応としている。

 チーム運営に関しても対応策が練られている。UCIワールドチーム、同プロチーム、同ウィメンズワールドチームを対象に、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で経済的な困難にあるチームはライダーとスタッフの権利を維持しながら、チーム存続に必要な措置を講じることが可能に。

ジャパンカップ(写真)を含むすべてのレースカレンダーは5月20日までには決まる見通しだ Photo: Yuzuru SUNADA

 UCIでは、メディカルディレクターであるザビエル・ビガー氏の権限のもと、選手、チーム、チームドクター、レースオーガナイザーそれぞれの代表者を含むステアリンググループを結成。ソーシャルディスタンスやレース前の検査、選手やチーム関係者から感染が確認された際の対応などに関する取り決めを作成していく。

 さらにUCIは下部カテゴリー、つまりは同プロシリーズ、1クラス、2クラス、ネイションズカップ(アンダー23、ジュニア対象)、クリテリウムのレースカレンダーを各国の連盟と協議し、5月20日までにはすべての日程を発表することも明言。日本国内で開催される国際レースのスケジュール決定も期待される。

今週の爆走ライダー−ステューブン・ウィリアムズ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 がけっぷちに立たされていることを自覚している。2019年シーズンに入る直前に患った膝の痛みは、いまだ完全には癒えていない。年が明け、2月にようやく30分程度のライドからバイクへと戻ったところでのコロナ禍。室内で過ごすことの多いこの時期は、1日の半分以上をバイクの上で費やしているという。ホームトレーナーで、戦線離脱前の状態に戻そうと急いでいる。

プロ2年目のステューブン・ウィリアムズ。原因不明の膝の故障から復帰を目指している Photo: Bahrain - McLaren

 プロ入り前年の2018年シーズンはセンセーショナルな活躍だった。若手の登竜門の1つとされる4日間のステージレース「ロンド・デ・イザール」で快勝。アンダー版のジロでも個人総合5位と結果を残した。長短の距離を問わない上りへの適応性やメンタリティの面で「ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)に似ていると思う」と目標とする選手を挙げ、意気揚々とプロの世界に飛び込んだはずだった。

 結局、昨シーズンは2レース走ったが、いずれもリタイア。とてもではないが戦力とはいいがたい1年に終わった。自分のことで精いっぱいになっている間、チームでは新エースを迎え、戦いの方向性も変化していた。やっとバイクに戻った喜びも、「テレビでレースを観ていたらチームがどんどん高みに進んでいることを目の当たりにして」自分の情けなさに頭を抱えた。

 膝の痛みの原因は今も特定ができない。ロードレーサーを志す前に取り組んでいたサッカーは膝のけがで断念した経緯があるが、今回はそれに起因するものではないことは確かだという。

 シーズンが中断となり、他に違わず自チームも苦境に立たされている。レースでアピールできないことは、契約最終年の彼にとっては大きな問題でもある。過去の実績とけがの回復度を材料に、あの手この手でプロの世界にしがみつく覚悟を決めている。残されている時間は少ない。いまはとにかく、戦線に戻ることだけを急ぐ。

一気に飛躍した2018年。当時ステューブン・ウィリアムズ(右端)はトップチームからも一目置かれる存在だった。かつての強さを取り戻せるか =UCIロード世界選手権2018アンダー23ロードレース、2018年9月28日 Photo: Yuzuru SUNADA
福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、今ではロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」ではメディアオフィサーとして、チーム広報やメディア対応のコントロールなどを担当する。ウェブサイト「The Syunsuke FUKUMITSU

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UCIワールドツアー UCI女子ワールドツアー ツール・ド・フランス2020 ロードレース 女子ロードレース 週刊サイクルワールド

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