パフォーマンスピラミッドを用いて考える自宅でできる“乗らない”自転車トレーニング<1>  トレーニング内容が偏るとどうなるのか

by 角田峻啓/ Toshihiro KAKUTA
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 健康運動指導士の角田峻啓さんによる新連載『自宅でできる“乗らない”自転車トレーニング』がスタートします。自転車トレーニングの考え方、自宅でも簡単にできる”自転車に乗らない”トレーニングについて紹介していただきます。サイクリング志向の人からアスリート志向の人まで参考になること間違いなしの内容です。

新連載「自宅でできる”乗らない”自転車トレーニング」がスタート Photo: Toshihiro KAKUTA

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 今回から連載を担当させていただく健康運動指導士の角田峻啓です。健康運動指導士として人の健康維持や改善のために、適切な運動プログラムの提案と指導をしています。 普段はピラティススタジオB&B仙台泉スタジオで、ピラティスを中心に個別・集団レッスン担当をしています。

 初めましての方はぜひ、前回の「スキルアップにケガの予防、自転車トレーニングに効くエクササイズとは」をお読み下さい。この連載は「自宅でできる”乗らない”自転車トレーニング」をテーマに進めていきます。今回はまず、トレーニングに対する考え方を1つご紹介します。

パフォーマンスピラミッドとは

 皆様はパフォーマンスピラミッドをご存じでしょうか? パフォーマンスピラミッドとは、トレーニングを行う上で指標となる考え方の1つ。ピラミッドは3層に分かれており、 各スポーツ分野におけるトレーナーや競技者によって各層の表現が異なります。

 これがピラミッド状になってバランスが取れると、競技で最大限の能力が発揮しやすいと言われています。自転車競技では「速く走ることができる」=「レースで勝ちに近づくことができる」と置き換えられます。

上からスキル、パフォーマンス、ムーブメント。トレーニングでは土台のムーブメントが重要となる

 それでは次に3つの層について解説していきます。土台となる第1層は「movement」(動き) と呼ばれています。

 ムーブメント(動き)とはスポーツでの動作のみならず、人間の身体の効率的・機能的な動作を意味します。この動作ができると、日常生活から競技まで自分の身体能力を発揮できます。

 効率的・機能的な動作を獲得するためには各関節の「モビリティ」(可動性)と「スタビリティ」(安定性)が必要とされます。細かい話は次回、詳しく解説します。

 中間の第2層は「performance」(パフォーマンス)と呼ばれています。ここは皆さんがイメージする「トレーニング」が当てはまると思います。パワー発揮のために筋力を鍛える「筋力トレーニング」、持久力をつけるために心肺機能を鍛える「ロング・スロー・ディスタンス」(LSD)や「インターバルトレーニング」。今では当たり前となっているパワーメーターを使ったトレーニングもこの部類に入るのではないでしょうか。

筋力トレーニングも2層目のパフォーマンスに当てはまる ©milanvirijevic

 最上位の第3層「skill」(スキル)は競技特有の技術。自転車競技に置き換えると「自転車の上で必要な動作」です。コーナーリングをはじめとした「バイクコントロール」や「ペダリング動作」などは自転車競技特有のムーブメント(動き)のトレーニングになります。

 自転車特有という部分で考えると、身体的トレーニングではありませんが「戦術」もスキルに該当するかも知れません。

バランスが悪いとどうなるか

 ここまでパフォーマンスピラミッドの理解を深めるために基本的な説明をしました。次は少し考え方を変えてアンバランスなピラミッドの話です。ピラミッドのバランスが崩れるとどうなるでしょうか。一番下の土台がしっかりしていないとどうなるかを例に考えてみましょう。

 1つ目の問題は競技で思うような結果が得られません。前述のとおり、ムーブメント(動き)とは身体が機能的・効率的に動ける能力のことで、これが不十分だと無駄な動きが出て推進力(自転車を漕ぐ力)に変えられません。結果的に人より多く力を使ってしまう可能性があります。

ピラミッドのバランスが悪いと様々なデメリットが生じる

 2つ目は怪我をするリスクが高まること。機能的・効率的な動作が不十分で、上の2つのピラミッドが大きい場合、受け止めきれない力が関節や筋肉に影響を与えます。その負担が大きくなると、自転車に乗った時に違和感・痛みが発生し、いずれは怪我につながります。

 競技で結果を出せない要因が、第2層のパフォーマンスと第3層スキルの能力が足りない場合もあります。また、怪我や痛みは自転車に乗りたくなくなる、または乗れなくなる1番の要因ですので、改めて土台の重要性を感じるのではないかと思います。

応用がきく考え方

 皆さんは3層ともバランス良くトレーニングに取り入れられているでしょうか。まだ競技の中で思うように実力が発揮できていないと感じている方は、この3層のバランスが崩れているかもしれません。今回の記事が皆さんのトレーニングのヒントになれば幸いです。

 今回私が説明した内容以外にも様々なトレーニングがあります。皆さんが知っているトレーニング、または取り入れているトレーニングをこのパフォーマンスピラミッドに当てはめ、考えを深めてみるのも良いですね。

 次回はテーマの「自宅でできる“乗らない”自転車トレーニング」が多く存在する土台の1層、ムーブメント(動き)に注目して話を進めていきたいと思います。

角田峻啓(かくた・としひろ)

PHIピラティスインストラクター、健康運動指導士。日本体育大学卒で体育学(主に運動生理学)を専攻。在学中にロードバイクで大きな事故にあい、体の後遺症に悩まされる。後遺症のリハビリ中にピラティスに出会い、後遺症が改善したことから、ピラティスインストラクターに転身。現在、「ピラティススタジオB&B」で様々な層に向け、個別・集団指導を行う。自転車競技では競輪選手のパーソナルトレーニングも担当。性別・年齢・運動歴を問わない個々に合わせた指導に定評がある。

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自宅でできる“乗らない”自転車トレーニング

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