デジタル・スイス5 第3ステージバーチャルレース巧者のロッシュが2位以下に大差をつけて勝利 驚異的スピードのラトゥールは失格

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 バーチャルレース「デジタル・スイス5」第3ステージが4月24日に開催され、後半は延々と上り続ける本格的な山岳ステージを、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チーム サンウェブ)が勝利した。序盤に驚異的なスピードで飛ばしていたように見えたピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)は、ホームトレーナーの設定の問題のためレース途中に失格となった。

前半で築いたリードを守りきり、ステージ優勝を飾ったニコラス・ロッシュ 引用:「The Digital Swiss 5 Race 3」

標高2478m地点にフィニッシュする山岳コース

 第3ステージは、フィエッシュからヌフェネン峠への33.54kmで争われた。本来ならばツール・ド・スイス第6ステージの前半部分に通過する予定だったコースが使用されている。

 序盤は細かいアップダウンはあるものの概ね平坦区間が続き、20kmを過ぎたあたりからフィニッシュ地点に向かって上り続ける本格的な山岳ステージだ。獲得標高は1512mに達し、フィニッシュ地点の標高は2478mとなっており、スイスの自動車道路では最も標高が高い地点である。

デジタル・スイス5 第3ステージ コースプロフィール ©The Digital swiss 5

 とはいえ、バーチャルレースでは標高の高さによる気温の変化や空気の薄さまでは再現できない。言い換えると、空気の薄さは自宅のある場所の標高次第であり、標高の高いコロンビアやアンドラに住んでいる選手たちは、そうでない選手に比べてハンデを背負っている状態なのだ。

 ドラフティングも無効となっているため、個人タイムトライアルのようなレース展開になりやすいものの、本ステージは序盤の平坦区間が長いため、ペース配分がポイントになると見られていた。

爆速ラトゥールのまさかの失格

 スタート直後の上りから一気にリードを奪ったのは、ラトゥールだった。7.5〜8.0w/kg程度という驚異的なパワーで後続選手との差をぐんぐん開いていった。

序盤からとてつもないパワーで飛ばしていた(ように見えた)ラトゥール 引用:「The Digital Swiss 5 Race 3」

 第1ステージで3位に入ったジェームス・ウェーラン(オーストラリア、EFプロサイクリング)も好スタートを決めて、2番手を走行していたものの、第1ステージ2位のロッシュが7km地点過ぎにウェーランをかわして2位に浮上した。

 さらにミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、チーム イネオス)、イルヌール・ザカリン(ロシア、CCCチーム)、ラリー・ワーバス(アメリカ、アージェードゥゼール ラモンディアール)らがグループを形成して追走。クフィアトコフスキは音楽をかけながらホームトレーナーに乗っており、時折スマホを操作して気に入らない曲を飛ばすような動作も見られた。

 先頭のラトゥールはタイムトライアル世界王者もびっくりするような出力を維持し、第1計測ポイントで早くも後続とのタイム差を1分以上に広げていた。その後もまったくペースが落ちないまま、後半の上り区間の手前までに2位ロッシュとの差が1分27秒、3位ワーバスとの差を2分23秒まで開いていた。

 ラトゥールが上りに入ったところで、彼の姿が突如画面から消えた。「ラトゥールは技術的な問題のため失格。彼のパワーは人間離れしていた」との大会主催者による裁定により失格となってしまったのだ。

ラトゥールのアバターが停止し、各種出力情報が表示されなくなったと思ったら、画面から消滅した 引用:「The Digital Swiss 5 Race 3」
かくして暫定1位に浮上したニコラス・ロッシュ 引用:「The Digital Swiss 5 Race 3」

 その後、アージェードゥーゼールの発表によると「ラトゥールはホームトレーナーのキャリブレーションの問題(機器が正しく数値を測定できない)があった」とのことだ。画面に出力されていたワット数とパワーウェイトレシオの数字を見る限り、設定されていた体重(およそ67kg)はそれらしい値だったが、ホームトレーナーが実際の数字より高めにワット数を記録してしまうようなトラブルだったのではないかと思われる。

前半を飛ばしたロッシュが逃げ切り勝利

 そうして、ロッシュが暫定1位に浮上した。ロッシュはラトゥールのハイペースに食らいつこうとしたのか、前半の平坦部分をかなり飛ばしていたため、後続の選手から1分以上のリードを築いて上り区間に入ることができていた。

後半の追い上げが光ったイルヌール・ザカリン 引用:「The Digital Swiss 5 Race 3」

 ロッシュは6.0〜6.5w/kg前後のペースで淡々と上り続け、第5計測地点で2位ザカリンとのタイム差は1分38秒、3位ワーバスとは1分51秒、クフィアトコフスキはやや遅れ始めて2分8秒まで差が開いていた。

 しかし、ロッシュも前半のハイペースがたたり、徐々にペースダウン。上りに入って勢いをましたザカリンが追い上げを見せた。

 それでも1分以上のリードは盤石で、ロッシュが山頂にフィニッシュ。1分10秒差まで縮めたザカリンが2位に入り、さらに7秒遅れてワーバスが3位となった。

 ロッシュは4月上旬に開催されたロンド・ファン・フラーンデレンのバーチャルレースで、決してクラシックスペシャリストではない脚質の持ち主にもかかわらず3位となり、デジタル・スイス5の第1ステージでは個人タイムトライアル世界王者のローハン・デニス(オーストラリア、チーム イネオス)に次ぐステージ2位となっていた。「ライバル選手の出力を見ながら、自分もペースを調整している」と語るように、スマートトレーナーの乗りこなしだけでなく、バーチャルレースならではの駆け引きにも長けているようだ。

第3ステージ結果
1 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チーム サンウェブ)
2 イルヌール・ザカリン(ロシア、CCCチーム)
3 ラリー・ワーバス(アメリカ、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
4 クリストファー・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
5 ジェームズ・ウェーラン(オーストラリア、EFプロサイクリング)
6 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、チーム イネオス)
7 ヘルマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・マクラーレン)
8 ルイス・メインチェス(南アフリカ、NTTプロサイクリング)
9 レイン・タラマエ(エストニア、トタル・ディレクトエネルジー)
10 ギャヴィン・マニオン(アメリカ、ラリーサイクリング)

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