特集・インドアトレーニング最前線<1>孤高に脚力強化したい人に ジャストフィットなトレーニングプランを編み出す「TRAINER ROAD」 

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 思うように実走できない日々が続いて久しいですが、幸いなことにサイクリストたちはオンライン上にある‟もう一つの世界”を楽しめている人も多いようです。ただ、トレーニングとして臨んだつもりが、オンラインサイクリングだとついつい近くを走る人と競り合ってしまい、ペースが乱れてしまうこともしばしば…。それはそれで夢中になる楽しさもありますが、同じ時間をローラーに費やすならば計画的に脚力アップしたいという人もいるのではないかと思います。今日はそんな人におすすめのトレーナーアプリケーション「TRAINER ROAD」(トレーナーロード、以下TR)について、実際のユーザーの声を交えて紹介します。

確実にパワーアップできると評判のトレーニングアプリ「TRAINER ROAD」を試してみた Photo: Kyoko GOTO

 初めにいっておくと、TRは向いている人と向いていない人がいると思います。なぜなら、オンラインサイクリングと違って風景も流れず、レベルアップのご褒美もない。ただ孤独に、黙々と自分のFTP(実効出力閾値:そのライダーが1時間維持できる限界出力)と対峙するトレーニングアプリだからです。

トレーナーロードのトップ画面 ©TRAINER ROAD

 なので、オンラインサイクリングが性に合ってるという方はそのままのスタイルを続けていただくのが良いと思います。

 一方で「ローラーで効率的に脚力強化を図りたい」と思い、パワートレーニングに興味があるサイクリストなら、この‟インドア強化期間”を利用してぜひ試していただきたいのがTRです。アスリートをはじめ、本格的にトレーニングに打ち込むサイクリストの間で、科学的なトレーニング理論に基づいたメニューの“強くなる確度”が注目を集めています。

個々のフィジカルと希望の強度に応じたメニューを構築

 端的にいうとTRの内容はインターバルトレーニングですが、その最大の特徴は自分の目標や希望する負荷、トレーニングスタイル等に応じて、その人向けに最適なトレーニングメニューをプランニングしてくれるという点にあります。

TRの共同創設者でヘッドコーチのChad Timmerman氏 ©TRAINER ROAD

 アプリには、TRのヘッドコーチで共同創設者のChad Timmerman氏(USACおよびUSAT認定コーチ)が開発した膨大な数のトレーニングメニュー が用意されており、そのメニューがユーザーのニーズと身体能力等をもとに分析、組み合わせられ、個々人のフィットネスレベルに応じた最適なトレーニング計画が導き出されます。

ロード、トライアスロン、オフロード等目標やトレーニング計画を入力すると、自分のスタイルに合わせたトレーニングプランをFTPに合わせてカスタマイズしてくれる ©TRAINER ROAD

 プランニングのために詳細なデータを入力する必要があるかと思いきや、意外にも始め方はとても簡単。アカウント作成時に性別や身長、体重などの身体情報を入力し、そして「RAMP TEST」を受けます。

FTPを測定する「RAMP TEST」、ユーザーの間では通称「地獄の階段」とも呼ばれ、恐れられている。4週間に一度再測定が行われ、更新される ©TRAINER ROAD

 RAMPとは「傾斜」を意味する言葉で、その名の通り徐々に上がっていくパワーに従って漕ぎ続け、出力可能な限界値を確認したところでFTPを弾き出します。

 その後「プランビルダー」というメニューから、自身の過去のフィットネスレベル、希望するトレーニングボリューム等を入力し、その上で目標とするイベントか、あるいはトレーニングしたいカテゴリーと期間を入力すれば、自動的にプランが導き出される仕組みです(あとから知りましたが、RAMPテストの結果はメニューの基準値設定を目的としたものなので、プランニングと前後して実施しても良いようです)。

トレーニングプランを作る「プランビルダー」の最初のステップ。過去6週間における1週間あたりのトレーニング時間を入力 ©TRAINER ROAD
希望するトレーニングの負荷をチョイス。TRからのおすすめも示してくる ©TRAINER ROAD
筆者の希望をもとに作成したトレーニングプランのカレンダー例(12週分)。筆者が希望する週あたりのトレーニング回数や負荷のボリューム等の条件から割り出されたインターバルメニューがずらり。 ©TRAINER ROAD

 一見ブレーキシューを横から見たようなギザギザが各日に割り当てられたインターバルメニュー。 出力の目標値を示す青い棒グラフをなぞるように、力を調整しながら漕ぎます。パワーメーターと連動しているのでターゲットが明確。これが本当にキツい!けれど何か“見えない力”に引っ張られるように脚が動きます。キツイけどなんとか回せる、泣き言排除の“鉄仮面”のごときメニュー。限界の‟際”を広げようとしてくれている、厳しくも愛情あふれるコーチのようです。

トレーニング中の実画面。左上下段のパワーを目標に漕ぐ。上の帯グラフはインターバル期間の現在地。下の帯グラフはトレーニング通算時間の現在地を示している ©TRAINER ROAD

 例として提示したプログラムは、筆者の希望で、ベーシックレベル、低負荷、 週3回のトレーニングの条件をもとに組まれたものですが、それでも所要時間は1回あたり60~90分ほど。よりハイレベルなメニューでは2時間に及ぶ場合もあるようです。ただ、インターバルで高負荷とレストを繰り返すので、レストが短く(ありがたく)感じられるせいか、体感としてはそれほど無駄に長さを感じません。

 プランニングメニュー以外に、 ①「Base phase」(基本フェーズ:ベースとして必要な持久力とスキルを養う)②「Build phase」(ビルドフェーズ:FTPを上げ、一定時間出力を維持できるようにする)③「Specialty phase」(専門フェーズ:特定のイベントに特化し、トレーニングを微調整) ─と大きく3つにレベル分けされたトレーニングプランも用意されてます。さらに各レベルに設けられている詳細なメニューの中から自分の目標に合わせたプランをチョイスし、6〜8週間続けることもできます。

 また、「Vo2max」(最大酸素摂取量)「Threshold」(閾値)「Sweetspot」(FTPの88%~94%の運動強度)等のターゲット別にソートしてトレーニングメニューを選択することもできます。

目的に応じてトレーニングメニューを選ぶこともできる ©TRAINER ROAD

「オートルート」完走者からも信頼の声

 今回TRを紹介してくれたのは、世界で最も過酷なアマチュアステージレースといわれる「Haute Route」(オートルート)を2度も完走した経験をもつ八木健司さん。7日間で通算、総距離約1000km、獲得標高約2万mを走る過酷な挑戦に向けて2017年からTRをトレーニングに取り入れたそうです。

TRでトレーニングを積み、世界一過酷なアマチュアステージレースといわれる「Haute Route」を2度も完走した八木健司さん(写真は2018年のオートルート・アルプス) 画像提供: 八木健司

 当時の練習は週に3回。月、水が1時間で金曜日が90分。最も基本的なベースフェーズの低負荷トレーニングから始め、次第に負荷を上げて、ビルドフェーズ、そして最後に山岳コースの高負荷を想定したスペシャリティフェーズの「Mountain road race」へと徐々にレベルを上げながら、1年かけて体を仕上げていきました。

お気に入りの1時間インターバル。八木さんいわく「癒し」のトレーニングだとか… ©TRAINER ROAD
こちらもお気に入りの90分メニュー。FTP寸前の出力を20分間キープし、レスト7分を入れて3回繰り返す。「地味な練習だけど地脚がつく」のだそう ©TRAINER ROAD

  「TRを始めてからはFTPは15W〜20W位上がった」という八木さんの現在のFTPは244。「トレーニングは負荷が低すぎてもだめ、高すぎても続かない。そういう意味でTRは常に自分にちょうどいい負荷を与えてくれるので、飽きずに続けられるんです」 といい、次のオートルート出場を目標に、いまなおTRで週3回のトレーニングを続けているそうです。

トレーニング中は画面上のグラフを小さくしてモニターの下の方に置きつつ、過去(だいぶ過去!)の自転車レースを見ながら選手になった気分で練習するという Photo: Kenji YAGI

 そんな八木さんのお気に入り機能の一つが、Chad氏がトレーニング中にかけてくる“激励”の言葉。練習に飽きないように、せっせとかけてきてくれる語録集の中で最も印象的だった言葉は「 Pain is in the brain, right ? 」( 苦しいのは足でも肺でもなく脳だ。そうだろう?)だそう。他にも印象的な名言はたくさんあり、TRのトレーニングをシェアしている仲間内でChad氏の名言をめぐって盛り上がることもあるそうです。

まずは30日間の無料トライアルから

  月額利用料は19.95ドル(年間189ドル)。 購入から30日間はトライアル期間のため、費用は発生しません。始める上で必要な設備は、スマートローラーがおすすめですが、「スピードセンサー+ローラー」あるいは「パワーメーター+ローラー」の組み合わせでも対応可能です。

 その他のハードルとしては、全て英語なので適性には英語に抵抗があるかないかも影響するかと思います。サイトそのものは翻訳機能を使用すればある程度理解できると思いますが、Chad氏のコメントは全て英語表示(わかりやすい言葉だけど早い!)です。でも、ずっと見てるとなんとなく抵抗感が薄れ、理解できてる気がしてくるので英語の勉強にもなっているのかな、とも思っています。

 この他にも書ききれなかったお役立ちが機能がまだまだあります。興味をもたれた方は、まずトライアルから覗いてみてはいかがでしょうか。

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