産経新聞・MSN産経ニュース連載コラム【from Editor】より「げた履き」では困る自転車

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 近所にある大手スーパー系列の格安食料品店は、人気が高い。定番品が中心で新製品は少ないものの、小さめのバナナは5房で80円ほどのときもあり、確かに安い。もっとも、便利さとは裏腹に困ることもある。店舗前では、白いラインで区切られた歩行者用の「路側帯」が来店客が乗ってきた自転車で占領されてしまうのだ。そうなると車道を歩かざるを得ない。

放置自転車が目立つ東京駅周辺(資料写真)放置自転車が目立つ東京駅周辺(資料写真)

 東京都が7月の施行を目指す「自転車の安全・適正利用促進条例」案が議会の賛同を得れば、こんな迷惑駐輪は少なくなるかもしれない。商店などの事業者は「自転車の駐車場所の確保、駐車場の利用啓発に努めなければならない」と規定されているからだ。

 「げた履き感覚の手軽さが良さとはいえ、利用者は乗り物としてのルールやマナーを守る必要がある。あまりにも低い利用者の意識を変えるきっかけにしたい」。都青少年・治安対策本部交通安全課の黒川浩一課長はこう力説する。

 条例案では、自転車通勤者がいる企業にも対応を求める。会社周辺での放置を防ぐため、社員用の駐輪場を用意するか、社員が駐輪場所を確保しているかの確認を義務づける。さらにブレーキのない自転車(ピストバイク)の競技者以外への販売を事実上禁じ、大人にもヘルメットの着用を促す。

 都内で自転車の乗車中に事故で死亡した人は、平成23年に38人にのぼった。都内の交通事故のうち3分の1以上に自転車が関係し、自転車と歩行者の事故も近年は毎年1千件を超えているという。自転車側が被害者の場合もあるとはいえ、自転車の「不適正な利用」は都市問題の一つとなっている。

 都の有識者会合が提言したナンバープレート制度や販売価格に上乗せする預かり金(デポジット)制度は、調整が必要な課題を抱えるため条例案に盛り込まれなかった。ただ、黒川氏は「ナンバーを見られているという意識や、自転車を放棄すれば損をするという経済的要因がないと、なかなか人は動かない。時間をかけながら導入に向けて検討を続ける」と話す。

 近所の格安店には迷惑駐輪の改善をお願いした。店舗横への駐輪を促す紙を張ったカラーコーンが置かれたものの、客任せのため効果は低い。条例案も大半は努力義務だけに、施行されても実効性に限界があるかもしれない。とはいえ、現状は放置できない。利用者の意識を変える第一歩として、条例には一定の価値があると思う。(フジサンケイビジネスアイ副編集長 村山雅弥)

MSN産経ニュースより)

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