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教えて! 安井先生<4>ロードバイクのタイヤは、どのメーカーのどのモデルをどんな理由で選ぶ?

by 安井行生 / Yukio YASUI
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今回のお題

Q:安井さんはどのようにタイヤを選んでいるんですか? サイズやタイプ(クリンチャーかチューブレスか)は使用機材や目的によって決まるところだと思いますが、どのメーカーのどのモデルをどんな理由で選んでいるのかを知りたいです。

A:前回に続きタイヤの質問ですね。

 基本的に、タイヤはハイエンドモデル以外選びません。フレームやホイールにおいては、トップモデルとそれ以下の価格差が大きく、性能差が小さいことが多い。しかも、剛性感によってはトップモデルよりミドルグレードを選んだほうがいいケースもある。

 しかしタイヤはその逆です。トップモデルとそれ以外の価格差が非常に小さく(数千円です)、でも性能差は非常に大きい。耐摩耗性や耐パンク性はハイエンドモデルのほうが劣るかもしれませんが、それ以外の走りの性能(軽さ、転がり抵抗の低さ、快適性、グリップ、etc)はほぼ確実にハイエンドタイヤのほうが優れています。

価格差は小さいが、性能の差は非常に大きく現れるタイヤ Photo : Yuzuru SUNADA

 性能アップを感じ取れるかどうか分からないものに何万円も払う…のもまぁ自転車の楽しさなんですが、僕なら数千円で自転車の走りが確実にレベルアップするタイヤにお金をかけます。

「フワフワ~」より「トンッ」

 で、どのハイエンドタイヤをどのように選んでいるか。ここからは完全に主観になります。

 まずスペックですが、TPI(繊維の量)の数字とかコンパウンド(トレッド部分のゴム素材)の名称などは気にしません。TPI数が大きいからといって走りが良いとは限らないし、メーカーによって表示の方法もバラバラですから。

 コンパウンドに仰々しい名称を付けたりもしてますが、とりあえずスルーします。「最先端素材を使ったなんとかコンパウンド」とか「ナノ技術を取り入れた○○テクノロジー」とかでタイヤは走りません。重量はホイールの最外周部なので多少は気にしますが、超軽量タイヤが必ずよく走るかというと、経験則的にそんなことはないので、プライオリティは低め。

 じゃあどう決めるのかというと、やっぱり「実際に走ってどうか」。

 もちろん転がり抵抗とかグリップは重要です。でも、それと同じくらい重視しているのが乗り味です。単なる快適性ではありません。快適性が高すぎてフワフワなタイヤよりも、しなやかだけどコシがあり、衝撃の一発目をしっかり伝えたあと、振動をすぐに減衰してくれるタイヤが好みです。オノマトペで表現すると、「フワフワ~」というより「トンッ」という感じがいい。

 結局、タイヤ選びの基準もフレームの選び方とかホイールの選び方と同じなんですね。スペックはあまり気にせず、「性能」と「乗り味/気持ちよさ」のバランスで選ぶ。

グリップ感の伝わりやすさ

 もう一つ、タイヤで重視していることは、「グリップ感のつかみやすさ」です。

 コーナーでバイクを倒していったときに、振動とか音とかわずかな滑りによって「タイヤがどれだけグリップを出しているか」がなんとなく伝わってくるものですが、伝わってきやすいタイヤとそうじゃないタイヤがあるんです。

 僕は「そろそろ危ないっすよ」と教えてくれるタイヤじゃないと怖くて曲がれません。でも、最近は「今どれくらいのグリップを出していて、限界まであとどれくらいか」が分かりにくいものが増えたような気がします。特に高性能チューブレスレディタイヤに多い気がしますね。

 25C以上にワイド化して低圧になってきて、タイヤのグリップはどんどん上がっています。当然、グリップが限界を迎える速度も上がっています。しかも、ディスクブレーキになって、雨でも制動力を発揮しやすくなっています。だからこそ、これからは「グリップ感の伝わりやすさ」がさらに大事になると思います。タイヤを評価する際には、そこを意識してみるといいかもしれません。

 あ、もう一つ。見た目も重要です。タイヤは面積が大きいので、バイクのイメージをガラリと変えてくれますから。僕はスキンサイドに弱いんです。

お気に入りはヴィットリア・コルサシリーズのスキンサイド Photo: Shusaku MATSUO

 クラシックなスチールバイクにも似合いますが、最新のカーボンバイクにも意外と合う。スキンサイドは耐候性に劣ることが多いんですが、それを差し引いてもスキンサイドは魅力的。これは理屈じゃありません。

 参考までに、最近僕が常用しているタイヤは、クリンチャーならヴィットリア・コルサシリーズ(スキンサイドがあるし乗り味が絶品)。チューブレスならIRCのフォーミュラプロチューブレス(驚くほど走りが軽いのに、グリップもコシのある乗り味も最高)などです。

数千円で性能が激変

 タイヤの試乗会なんてほとんどないので、自分で買って試してみるしかないんですが、でもタイヤ周りって低コストでかなり楽しめます。タイヤは数千円で性能を激変させられますし、千円ちょいのチューブでも乗り味は明らかに変わります。空気圧を変えるのはゼロ円でできます。

 気になったモデルを手あたり次第に買ってみる、くらいの勢いで楽しんでみてほしいと思います。

インプレッションライダー・安井行生(やすい・ゆきお)

 大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。

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