Cyclist的“自転車通勤”考<2>スポーツバイクを始めたら揃えたい 安全・快適な自転車通勤をサポートする必須&お役立ちアイテム

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 Cyclistの視点で解説する短期連載「“自転車通勤”考」。自転車の選び方に続き、今回はスポーツバイクを選んだ場合の必須アイテムと、通勤利用にあると便利なお役立ちアイテムを紹介します。スポーツバイクとはロード、クロス等、いわゆるママチャリような「軽快車」ではないタイプの自転車をいいます。軽快車に慣れた人が初めてスポーツバイクを見たとき、当たり前だった機能がごっそり削ぎ落されていることに大抵衝撃を受けます。スタンドもライトもなければ、カギもない。さらには店員さんに「ペダルはどうします?」なんていわれたり。ここがスポーツバイクに乗る上での1つめのハードル。まず「自転車」の概念を大きく変える必要があります。

スポーツバイクを始めたら、まず買うべき“3種の神器” Photo: Kyoko GOTO

スポーツバイクのパーツ選びは自分次第

 スポーツバイクは購入したとき自転車“本体”しかない状態です。さらにいえばロードバイクの場合は「フレーム売り」といって、パーツが一切ない状態で販売することもありますが、これはレース用だったり目的別にカスタマイズする上級者の話。エントリーモデルでは「完成車」といって、ハンドル、ホイール、コンポーネント、サドルを取り付けた‟走れる状態”で売っていることが一般的です。サドル…そう、サドルもロードバイクでは自分で選ぶパーツの一つなのです。
 
 軽快車に慣れていると‟ないない尽くし”に違和感を感じるかもしれませんが、 そもそも全部載せされている軽快車がサービス満点なのであって、スポーツバイクは本来「好きなアイテムを選ぶ」=「自分仕様にする」という組み立て方なのです。

自分を守る安全装置 前後ライト

 ということで、ここからは用意すべき必須アイテムと、あると便利なお役立ちアイテムに分けてお話ししていきます。

 まず必須なのは前後のライトです。サイクリストの方々にはもう「耳タコ」だと思いますが、ライトの必要性については道路交通法で「夜間、道路を通行するときは、前照灯をつけなければならない」と定められており、夜間の無灯火走行には罰金も課せられるなど厳しく搭載が義務付けられています。

前照灯(フロントライト)は行く手を照らすもの。尾灯(リアライト)は後方に自分の存在を知らせるもの Photo: David_Sch / iStock / Getty Images Plus

 サイクリストの場合、灯火には「前方を照らす」「周囲に自分の存在を知らせる」という2つの目的があるためです。自分の身の守る安全装置ですから、ルールの有無に関係なく必ず搭載しましょう。

 具体的なライトの規定については各都道府県で定められているので各地域で一度確認することをおすすめします。例えば東京の場合は「前照灯の色:白色または淡黄色。前照灯の明るさ:夜間、前方10mの距離にある交通上の障害物を確認することができる。尾灯の色:赤色。尾灯の明るさ:夜間、後方100mの距離から点灯を確認することができる」と定義されています。尾灯については、反射器材(リフレクター)でも対応可としています。

 ちなみに、条文に書かれている「点灯」には「点滅」は含まれません。飽くまで「照らす」ことがライトの目的、ということです(個人的には前照灯は点灯で良いとして、尾灯に関しては点滅した方が存在が目立つと思うのですが…)。

 ではこのルールを達成するにはどんなライトを選べば良いのでしょうか? 通勤環境によっても必要となる明るさは異なりますよね。自転車用ライトを手掛けるブランド「キャットアイ」では、環境別で必要な前照灯の明るさを以下のように解説しています。

前照灯(フロントライト)に求められる明るさ(引用:キャットアイ)

・夜でも街頭などで明るい場所を走る「街乗り派」は、「見られるため」に十分な200ルーメン以下のライトでOK。
・通勤や通学、ロングライドをする方は、「見るため」「見られるため」に400ルーメン以上のライトを。
・通勤や通学、ロングライドをする方で、さらに郊外で街灯が少ない場所や速度を出すケースが多い場合は、「見るため」「見られるため」に700ルーメン以上のライトが必要。

 「ルーメン」(lm)とは明るさを示す単位で、光源から放たれる光の量を表します。 この基準に基づくと、「見るため」「見られるため」を満たすには400lm以上が妥当かと思いますが、 街灯の多さ等環境によって必要な光量は異なるので 、ご自身の通勤経路の明るさをイメージし、商品に示されているルーメンの値と照らし合わせて選ぶと良いでしょう。

キャットアイの充電式ライト「VOLT400XC」(最大約400ルーメン) ©CATEYE

 あとは電池の種類ですが、充電式、乾電池双方にメリット・デメリットはあります。充電式は繰り返し使えますが、充電し忘れて走行に支障をきたすことも。

 かたや乾電池式は都度購入が必要ですが、走行中に切れてもコンビニ等で手軽に購入できるメリットがあります。ここは充電管理ができる性格がどうかが決め手になるかと思います。最近はソーラー充電式のタイプも登場しています。

予期せぬ事態の自衛策 ヘルメット

 2つめの必須アイテムはヘルメットです。とはいえ「13歳未満」の子供とは違い、着用について法的なルールはありません。むしろヘアスタイルが崩れるからかぶりたくないという人も多いでしょう。着用を押し付けることで「じゃあ自転車通勤しない」となるのももったいないので、「必須!」と強調したくはないのですが、かぶった方が身のためです。

Photo: MachineHeadz / iStock / Getty Images Plus

 自転車は軽車両なので、走るべきは原則車道です。つまりクルマと一緒に走ります。最近は各自治体で自転車通行レーンが拡大し、自転車も車道で市民権を得始めていますが、それでも事故と隣り合わせの環境であることに変わりはありませんので、自衛策は必要です。

 最近は自転車による死亡事故の約6割が頭部の損傷というデータも報告され、ヘルメット着用を義務化する自治体も増えてきています。

LAZER シリーズ内で最もリーズナブルな モデル「COMPACT AF」(コンパクト アジアンフィット、カラーは6色展開)。5,500円(税抜) ©LAZER

 実際、私もヘルメットに一度助けられたことがあります。スピードを出していないのに段差にタイヤがとられ、そのまま倒れて地面に側頭部をゴツン。「こんなこともあるのか」と呆然としました。事故って本当に予期不能です。リスクを減らすためにもヘルメットは必須アイテムとしましょう。

 ヘルメットも価格がピンキリですが、その違いは主に重量や空気抵抗、強い衝撃を想定した保護機構等の違いによる価格差です。レースでなく通勤用途であれば、5000円台のモデルでも十分な保護機能を果たします。

泥棒を威圧するロックで盗難防止

 そして3つめは、ロック(カギ)です。スポーツバイクには軽快車のようなロック機能はあらかじめ搭載されていませんので、自分で用意する必要があります。ロックは自転車を地面に固定された物体にくくりつけたり、自転車を動かせないようにホイールと車体を固定する形状が主流です。

 駐輪すると自動的にロックがかかり、出庫時に料金を払って解除するタイプの有料駐輪場がありますが、逆に料金を払えば持ち主に関係なく解除できてしまうので、そのような場合でも忘れずに自分でロックをかけましょう。

 ロックのタイプも簡易的なものから頑丈なものまで様々ありますが、残念ながらこの世には「切断できないカギはない」といわれています。

時間はかかるが、切断できないロックはないのだそう(※画像はイメージです) Photo: wakila / iStock / Getty Images Plus

 だからといって意味がないわけではありません。切るのが難しいロックであれば切断するにも時間がかかるし、切断する作業も周囲に目立つもの。まずは頑強なロックで狙われにくい対象となることが肝要です。とくに通勤用途の場合は自転車から離れる時間が長いので、ニッパー等の工具で容易に切れてしまう細いワイヤー錠はやめておきましょう。

 最近は、自転車が振動するなどの異変を感知して持ち主に知らせる盗難防止デバイスも登場しています。それはサイクリング中の小休止等すぐに自転車に駆けつけられる場合には有用ですが、勤務中はなかなか難しいと思います。ただ、 盗まれてしまった場合にGPSで自転車のおおよその位置情報を取得できる追跡サービスがあるので、絶対に愛車を守りたい!という人には良いかもしれません。

やっぱり便利な泥除け

 以上の必須アイテムが揃えば問題なく自転車通勤を始められますが、あると便利な「お役立ちアイテム」を紹介します。

 まず1つ目は泥除け。趣味のスポーツバイクではあまり気になりません(と思うようにしている)が、街乗り時にあると断然便利に感じます。大抵の場合、雨の日は通勤で自転車に乗らないと思いますが、一番困るのが夜に雨が降った翌朝。雨はあがっていても地面には大小の水たまりができているときがあります。自転車には乗れますが誤って水たまりを走ろうものなら、お尻から背中にかけて一直線に見事な泥水のラインが入ってしまいます。

 趣味でスポーツバイクに乗っている人の多くは、愛車に泥除けはつけません。理由はロードのフォルムが崩れるのがいやだったり、サイクリングジャージは汚れても構わないと思っていたり、そもそも取り付けないことが当たり前と思っていたり…。この辺はカルチャーギャップかと思いますが、街乗り仕様なら断然装着、あるいは雨天時の走行に備えて準備しておくことをおすすめします。

チネリの簡易的な泥除け。着脱が簡単なので非使用時はカバンの中にしまうことができる ©cinelli

 とはいえ、軽快車に備わっているような立派な素材・形状のものを前後につける必要はなく、サドルレールに挟み込むだけの簡易的な泥除けが後方についているだけで十分です。

 たった1枚で得られる安心感は、価格以上のパフォーマンスを与えてくれます。

かっこよく荷物を積載 サイドバッグ

 そして、自転車に取り付けるバッグ類です。自転車通勤者の多くは背負うリュックタイプのものか、斜め掛けのメッセンジャーバッグ等を使用すると思います。仕事用の荷物はそれで良いのですが帰り道の途中で買い物をしたとき、それらを収納できるものがないと不便ですし、ハンドルに引っ掛けて事故にもなりかねません。

 クロスバイクや小径車であれば、カスタマイズしてハンドル部分にカゴを取り付けることも可能ですが、ロードバイクやMTBは形状的にカゴの取り付けは難しい。そこでお勧めしたいのがツーリング用のサイドバッグです。

 自転車世界旅をしているサイクリスト等で、ホイールの両脇に大きなバッグを搭載したスタイルを見たことはありますか? あのスタイルは、自転車本体にまず「キャリア」という台座をつけた上にバッグを搭載しています。自転車をまたぐように両サイドに取り付けるものをパニアバッグといいますが、片方ずつ装着できるバッグをサイドバッグと呼びます。

欧州ではサイドバッグを活用しているサイクリストを多く見かけた Photo: olaser / iStock / Getty Images Plus

 キャリアを取り付けられる自転車であることが前提となりますが、海外ではよく見かける通勤スタイルで、欧州では片方のみバッグを取り着けて体には一切のバッグ類をつけずに走行します。

 見た目のバランスは偏っているように思いますが、それほどバランス感覚に支障はきたさず、通勤時のスーパーの買い物程度であれば、バランスを損なうことなく走ることできると思います。

 あとは自転車を自立させるスタンド。軽快車であることに慣れていると、ないことに不便さを感じるかもしれませんが、慣れてくると利便性はそこまで変わらないように思います。

 ただ、これは駐輪のシチュエーションによっても要不要が異なると思います。例えば使用する駐輪場が駐輪スペースが確保されているだけで、端の立てかけスペースはいつも争奪戦!という場合は自立させるためのスタンドが必要かもしれません。着けてはいけない理由はありませんので、機能の優先度に応じて判断してください。

手がかかるほど、愛車

 この他にも、最初に付属していたサドルがお尻に合わなければ変えてみたり、通勤経路にスポーツバイクに対応してくれる自転車ショップがない場合は、パンク時に備えて替えチューブと携帯ポンプの使い方を覚える必要もあるでしょう。

 軽快車と比べ、あれこれ考えることが多いスポーツバイクですが、これもモノに対して愛着が生まれるプロセス。その分、愛車は軽快車とは違う世界を、持ち主に見せてくれると思います。

 自転車選びとアイテム選びに続いて、次回は通勤時の知っておいてほしい注意点についてお話しします。

<つづく>

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