三船雅彦の「#道との遭遇」仕事のスキマ2時間でどれだけ島を回れるか?「百島エクストリームアタックライド」

by 三船雅彦 / Masahiko MIFUNE
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 長距離のエキスパートでプロサイクリストの三船雅彦さんが、全国の道を普通と違った走り方で紹介する連載「#道との遭遇」。今回はソーシャルネットワークサービス(SNS)、「Strava」(ストラバ)の機能を用いて、あまりサイクリストが訪れていない土地、広島県の百島(ももしま)を舞台にサイクリングします。仕事のスキマ2時間でどれだけ走れるか、名付けて「百島エクストリームアタックライド」に挑みます。

たった12分の渡船。それでもワクワクする Photo: Masahiko MIFUNE

ヒートマップで分かること

 日本は島国である。島の定義とは、オーストラリア大陸よりも大きいか小さいかだそうだ。なので「本土」と呼ばれる本州でさえ、世界基準で言うと厳密には「島」である。

 島に住んでいるにもかかわらず、なぜか島を走りたくなる。これがもしかすると日本人ってやつなのかもしれない。日本には大小さまざまな島が6852もある!(海上保安庁調べ)もちろん中には自転車で走ることが困難な島、というか不可能な島もかなり含まれているが。サイクリストであれば、島と言われたら「しまなみ海道」などは真っ先に連想するところで、走ったことがある人というのは相当数いるだろう。

 アスリート向けSNS「Strava」にはユーザーの行動履歴をマップ上に可視化した「グローバルヒートマップ」という機能がある。これで日本を見てみると、どれだけサイクリストが島を駆け回っているのかが分かって面白い。

サイクリストのみならず、多くのアスリートの行動履歴を可視化した「グローバルヒートマップ」 ©Strava

 八丈島や父島などの離島、面白いのは硫黄島もかなり走られている。ここはきっとアメリカの軍人だろうか。はっきり言って羨ましい。オレもいつかは硫黄島をマーキングしたいものだ。

 とにかく日本全国あちこちの島でサイクリストが走りまくっているのだが、ヒートマップをよく見ていると、あまり人が訪れていない島があることに気が付いた。道があるにもかかわらずだ。

サイクリスト未開の地、百島

 今回はサイクリストでほぼ走りつくされている瀬戸内の島の中に、ほとんどサイクリストが足を運んでいない島があるのを発見した。百島といって、しまなみ海道にある向島の南東に位置する島だ。

 さっそくこの島に行ってみようと、岡山県井原市で開催された中国シクロクロス最終戦に出場したあと、広島県福山市に宿を取り、出かけることにした。

今回のスタート地点は広島県福山市内。コインパーキングに車を停めていざ百島へ Photo: Masahiko MIFUNE

 百島に渡るには対岸の常石港か、もしくは尾道側は尾道港、戸崎港、向島の歌港、満越港からとなる。今回は福山からなので常石港から渡ったが、とにかく船の本数が少ない。だからこのあたりはしまなみや他の渡船ルートよりも少し敷居が高いのかもしれない。

 夕方には岡山で仕事が入っているので走れるのは…約2時間! この時間で百島のうんちくを語れるぐらい走れるのか? 無事に福山へ戻って来れるのか? 名付けて「百島エクストリームアタックライド」。タイトル負けしそうな企画だが…大丈夫か。

走ってすぐに感じる“よそ者”感

 常石港から百島へは約12分。フェリーの中に乗り込み、着座して窓の外を見ているうちにあっという間に百島が見える。まぁ走る気満々な人にはちょうどいい時間か。

常石港から福田港(百島)へ向かう Photo: Masahiko MIFUNE

 百島に着岸。港には町が存在するが、島内だけで生活が成り立つような雰囲気はない。このフェリーが島民の人たちの生活を支えているのだろう。

 そういえば12分の小旅行、島民らしき人達は自転車やオートバイから離れることもなく立ち話をしていて、上の客室に上がっていたのは自分一人だった。

 まず島を走ってみる。走り出して2分、はっきりと言える。オレは“よそ者”だ。この島で平日の午前中によそ者なんて見当たらない。島の集落を走るだけで明らかに「誰だ?」って感じで見られる。写真撮影で止まってポースを取ろうものなら、明らかにこちらを凝視していた。

まるで時間が止まっているかのような景色だ Photo: Masahiko MIFUNE
グーグルマップ的には「道」。確かに道と言われればそうかも知れないが… Photo: Masahiko MIFUNE

 チラッとチェックしているつもりだろうが、そんなことは『ゴルゴ13』じゃなくても分かるぐらいに視線がイタい。いや、正確にはオレの存在がイタいのだろうか。

険しい島の道

 島のどこにも2車線道路はない。すべて1車線で中央分離帯はなく、“頑張ればなんとか離合できます”的な道路ばかり。こんな道を走るのだから目立って仕方がない。注目を浴びたい人にはもってこい、2回会おうものならガン見をはるかに超えて身体ごとこちらを向いてくる。

舗装路に出るも、車で通る勇気はないほどの幅。もし前から車が来ようものな ら…って来たことないんだろうなぁ Photo: Masahiko MIFUNE

 1周約10kmぐらいの島で「お散歩」に向いている。たまにはこういう島散策もいいもんだ。天気にも恵まれ、スイッチを入れて登ろうものなら背中が軽く汗ばんでくる。島の道はどこも険しい。

 この小さな島の中にある道を走って走って走りまくり、島を堪能する。生活が伝わってくる道、時間の流れが完全に止まったような廃道のような道…そんな道を走っていき、高台からこちらに向かってくるフェリーを発見し港へ向かう。

少し高いところにある道へと進んでみる Photo: Masahiko MIFUNE
昔はこの町にも映画館があったようだ Photo: Masahiko MIFUNE

 着岸5分前、なんとかフェリーの時間にも間に合った。ほんの一部、走れなかった道があるのだが…それはまたここに戻ってくるときの楽しみにしよう。

滞在時間は約2時間。エクストリームアタックライドは無事に終えることができ た Photo: Masahiko MIFUNE

 さて、次にこの百島に戻ってくるのはいつだろうか。でもその時もきっと時間は「今」で止まっているに違いない。

三船雅彦(Masahiko MIFUNE)

元プロロード選手で元シクロクロス全日本チャンピオン。今でもロード、シクロクロス、ブルべとマルチに走り回る51歳。昨年は3回目の『パリ~ブレスト~パリ』完走を果たし、今年はイタリアの1001ミリア出場予定。「知らない道がある限り走り続ける!」が信条。

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