パリ~ニース2020 第6ステージチーム サンウェブ奇襲成功でベノートを勝利に導く シャフマンは落車も救済措置

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 フランスで開催中のUCIワールドツアー「パリ~ニース」は現地時間3月13日に、第6ステージを行った。起伏に富んだコースレイアウトを攻略し、トップでフィニッシュに飛び込んだのはティシュ・ベノート (ベルギー、チーム サンウェブ)。ステージ優勝を飾るとともに、今シーズン初勝利を挙げた。マイヨジョーヌを着るマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)は、フィニッシュ目前で落車したものの、救済措置でステージ2位と同タイム扱い。個人総合首位を守って、残り1ステージへと向かう。

パリ〜ニース2020第6ステージ、独走でティシュ・べノートが勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

バーレーン・マクラーレンが大会を離脱

 世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響は、ロードレース界も例外ではない。ついに、この大会にもそれが及ぶこととなった。

 まず、この日のスタート前にバーレーン・マクラーレンが大会からの撤退を発表。第3ステージではイバン・ガルシア(スペイン)が勝利を挙げ、第5ステージでもヤン・トラトニク(スロベニア)が逃げ切りまであと一歩の快走。ディラン・トゥーンス(ベルギー)が個人総合7位につけるなど好調さを示していたが、前夜に選手・スタッフ、さらには大会関係者も交えた話し合いの末、レースを打ち切ることを決定。感染を避けると同時に、ヨーロッパ内での入国制限の動きが予測される状況を受けて、チーム関係者の帰国を最優先させる判断を下したとみられる。

ステージを追うごとに出走人数が激減する今回のパリ〜ニース。セルジオ・イギータ(右から2人目)擁するEFプロサイクリングは5人で第6ステージに臨む Photo: Yuzuru SUNADA

 ボーラ・ハンスグローエは、第5ステージ終了後に一部スタッフが風邪の症状を示したため、チーム本隊から離れて隔離していることを明らかにした。検査の結果、新型コロナウイルスは陰性であることが確認されたとしており、あくまでも予防措置であることを強調している。

 さらに、第6ステージのスタートとタイミングをほぼ同じくして、最終日の15日に予定されていた第8ステージを中止と決定。これにより、14日に実施される第7ステージで大会が閉幕することになった。

 あらゆる情報が飛び交う中で迎えたこの日のレース。スプリンターのカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)らも未出走となり、109人がコースへと繰り出していった。

エデが山岳ポイント大量ゲットでマイヨアポワ着用

 大会はいよいよ南仏へ。ソルグからアプトまでの161.5kmのコースは、終始起伏に富んだレイアウト。主催者発表では、第1ステージに続き2つ目となる中級山岳ステージにカテゴライズされる。

 レース前半に2級山岳、中盤に3級山岳、そして後半に2級山岳と、それぞれ2つずつ待ち受け、このステージだけで6つのカテゴリー山岳を越える。また、フィニッシュ地・アプトの街に入る前には山岳にカテゴライズされない急坂も。上りの途中には中間スプリントポイントが敷かれ、これを2回通過。特に2回目はフィニッシュ前3kmでの通過となり、その直後からはフィニッシュめがけてテクニカルなダウンヒルをこなすことになる。そんな1日は、総合争いに動きがあるかがやはり見どころとなった。

 スタート直後は出入りが続いたプロトンだったが、この日1つ目の2級山岳を越えた後に4人が飛び出したことで均衡が破られた。先頭ではメンバーの入れ替わりがありながら、6人が逃げの態勢へと突入。しばらくして1人が加わって、7人の逃げグループになった。

積極的な走りで山岳ポイントを次々と獲得したニコラ・エデ Photo: Yuzuru SUNADA

 先行したのは、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)、ウィネル・アナコナ(コロンビア、アルケア・サムシック)、シュテファン・キュング(スイス、グルパマ・エフデジ)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、アレクシー・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)アントニー・ペレス(フランス、コフィディス)。なかでも積極的だったエデは、山岳ポイントを次々と1位で通過。ポイントを荒稼ぎし、結果的にステージを終えた時点で山岳賞争いで首位に立つこととなる。

 メイン集団も好ペースで進行したことで、逃げグループが得たリードは1分前後。レース後半に入って、この状況を嫌ったバルデとエデが1回目の中間スプリントへとつながる上りを利用してスピードアップ。そのまま2人逃げへと持ち込む。

 一方のメイン集団では、同じ上りでニキアス・アルント(ドイツ、チーム サンウェブ)がアタック。逃げグループから遅れた選手たちを次々とパスして、先頭復帰を目指す数人とともに第2グループに合流。集団はおおむね静観ムードだったが、実際のところ、このアルントの動きがチーム サンウェブの総攻撃の始まりだった。

ベノートが独走決める チームメートとの連携も奏功

 前を行く2つのグループとのタイム差を最大でも1分台にとどめていたメイン集団。またもチーム サンウェブ勢が攻撃を仕掛ける。

 残り40kmとなったところで、個人総合2位でスタートしたセーアン・クラーウアナスン(デンマーク)が単独でアタック。すぐに労せず第2グループに追いつくと、待っていたアルントの牽引を受けてさらにペースアップ。1kmほど進んだところでクラーウアナスンが単独で追走を開始した。

 スピードに乗ったクラーウアナスンは、残り33kmで先頭を走っていたエデとバルデに追いつく。ここからしばらくは、3人による逃げが続いた。

 残り20kmを切って、この日最後のカテゴリー山岳、2級のコート・ド・オリボーに入ると先頭3人のうちエデが脱落。さらに、残り15kmとなったのを見計らったかのようにクラーウアナスンがペースを上げると、バルデもついていけなくなった。

追走を狙ってアタックを試みたヴィンチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA

 独走になったクラーウアナスンに少しずつ迫るメイン集団。いよいよ駆け引きが本格化し、真っ先に動いたのはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)。これをチェックしたのがベノート。クラーウアナスンが見えるところまで近づくと、ベノートがアタック。ニバリを置き去りにして先頭合流に成功。チーム サンウェブ勢2人がトップに立って山岳ポイントを通過した。

メイン集団でレースを展開したマイヨジョーヌのマキシリミアン・シャフマン Photo: Yuzuru SUNADA

 この間、わずかに牽制状態になったメイン集団。この動きを見逃さなかったベノートは、チャンスと見るやクラーウアナスンに替わって単独先頭に。一気に30秒以上のリードを確保する。集団はジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)のアタックをきっかけに活性化するが、互いにマークし合い決定打に欠ける。ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が下りで一時的に抜け出しを図ったが、ここはリーダーチームのボーラ・ハンスグローエがフェリックス・グロスチャートナー(オーストリア)を出してシャフマンのマイヨジョーヌを防御。結局、2回目の中間スプリントポイントへ向かう上りで後続が追いつき、有力選手たちは一団のままフィニッシュまでの下りへと入っていった。

 十分なタイム差を持ったベノートは、最終盤のテクニカルなダウンヒルも難なくこなし、ついにアプトの市街地へ。1人でやってきた最後の直線は、ぜいたくなまでのウイニングライド。完璧なチーム戦術で、エースがきっちりとレースを締めた。

ワンツーフィニッシュを決めたマイケル・マシューズがガッツポーズ Photo: Yuzuru SUNADA

 22秒遅れて、メイン集団がフィニッシュへと到達。ここにもチーム サンウェブはマイケル・マシューズ(オーストラリア)を残すことに成功していた。総合系ライダーが多くを占めたこのパックで、スプリント力の差は歴然。集団の先頭を獲ってステージ2位。ワンツーを達成するとともに、ライバルのボーナスタイム獲得を阻止し、ベノートの総合争いをアシストした。

 今大会好調のセルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)がステージ3位。マイヨジョーヌのシャフマンは残り800mで迎えた下りコーナーでバランスを崩し、外側のバリアに飛び込むようにして落車。メイン集団から遅れてフィニッシュラインを通過したが、フィニッシュ前3km以内でのトラブルへの救済措置が適用され、マシューズらと同タイム扱いに。この影響で中切れした選手たちも同様の扱いとなっている。

フィニッシュ直前の落車でメイン集団から遅れたマキシミリアン・シャフマン。救済措置でマシューズらと同タイム扱いとなった Photo: Yuzuru SUNADA

 第6ステージまでを終えて、シャフマンが依然マイヨジョーヌをキープ。ステージ優勝のベノートが順位を上げて、総合タイム差36秒で2位につける。8位までがシャフマンと1分30秒差以内につける混戦模様。トップをゆくシャフマンにとっては、1分1秒差の4位につけるチームメートのグロスチャートナーの存在が心強い。

 1日前倒しとなり最終となる第7ステージは、ニースを出発してヴァルドゥブロール・ラ・コルミアーヌに向かう166.5km。レース半ばまでに1級と2級合わせて3つの山岳を越え、頂上フィニッシュとなる1級山岳ラ・コルミアーヌを目指す。運命を左右する最後の上りは、登坂距離16.3km、平均勾配6.3%。今大会唯一の上級山岳ステージにあたり、まさにクイーンステージ。マイヨジョーヌをかけた、総合上位陣の激しい戦いが見られることだろう。

第6ステージ結果
1 ティシュ・ベノート (ベルギー、チーム サンウェブ) 3時間57分2秒
2 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) +22秒
3 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)
4 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
5 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
6 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)
7 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)
8 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
9 ルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ)
10 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)

個人総合
1 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 22時間46分24秒
2 ティシュ・ベノート (ベルギー、チーム サンウェブ) +36秒
3 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング) +1分1秒
4 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
5 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) +1分10秒
6 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) +1分18秒
7 ルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ) +1分29秒
8 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +1分30秒
9 タネル・カンゲルト(エストニア、EFプロサイクリング) +1分52秒
10 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +2分4秒

ポイント賞
1 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 33 pts
2 ティシュ・ベノート (ベルギー、チーム サンウェブ) 31 pts
3 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 22 pts

山岳賞
1 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス) 29 pts
2 ジョナタン・イヴェール(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) 26 pts
3 アントニー・テュルジス(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) 19 pts

新人賞
1 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング) 22時間47分25秒
2 オレリアン・パレパントル(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +10分20秒
3 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) +11分54秒

チーム総合
1 チーム サンウェブ 68時間24分46秒
2 グルパマ・エフデジ +3分3秒
3 ドゥクーニンク・クイックステップ +3分52秒

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