梶原悠未が金、脇本雄太が銀メダル東京五輪トラック競技の日本出場枠は6種目が濃厚 世界選の結果と代表候補選手のコメント

by 中村浩一郎 / Koichiro NAKAMURA
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 2月26日から3月1日まで、ドイツ・ベルリンで2020UCIトラック世界選手権大会が行われた。この大会は、東京五輪の出場国枠を獲得するポイントが得られる最後の機会だった。この結果、UCIの正式発表はまだ行われていないが、ポイント上で日本は、男子・女子オムニアム、男子・女子ケイリン、男子スプリント、女子マディソンの6種目で出場国枠を確保した。

2020年UCIトラック世界選手権の女子オムニアムで金メダルを獲得した梶原悠未 Photo: Koichiro NAKAMURA

 本稿では、日本代表選手の出場競技を開催日順に振り返りつつ、代表候補と見込まれる選手のコメントも掲載する。

男子チームパシュート

2月26日男子チームパシュート 獲得枠数見込み=0 Photo: Koichiro NAKAMURA

 4kmの距離を4人の選手で走るチームパシュート 。「団体追い抜き」とも呼ばれるこの競技に、日本代表として窪木一茂、近谷涼、今村駿介、沢田桂太郎の4人が出場。これまでの日本記録を3秒331更新する3分52秒956の自己ベストタイムを出すも予選で敗退の9位。想像を超えた好走ができたものの、「世界の壁は厚さを実感した」と選手たちは述べた。日本はこの競技では枠を獲得できず。

1. デンマーク 3分44秒672(世界新)
2 .ニュージーランド 3分49秒713
3 .イタリア 3分47秒511
予選敗退9位 日本 3分52秒956

男子チームスプリント

2月26日男子チームスプリント 獲得枠数見込み=0 Photo: Koichiro NAKAMURA

 3人の選手が250mトラックを3周、先頭を引く走者が周回ごとに離脱し第3走者のゴールタイムで競われる男子チームスプリント。雨貝一樹、新田祐大、深谷知広の3人が出場し、予選で43秒416のタイム。先の12月に行われたワールドカップでは2度優勝し、日本記録も出した日本チームだったが、タイムはその記録にも及ばず、予選を9位で終えて敗退した。他国ポイントの変動もあるが、出場国枠の獲得はかなり難しい。

1 .オランダ 41.225(世界新)
2. イギリス 42.400
3. オーストラリア 42.829
予選敗退9位 日本 43.416

男子ケイリン

2月27日男子ケイリン 獲得枠数見込み=1 Photo: Koichiro NAKAMURA

 日本の競輪を祖とするケイリン種目。各ヒートで上位数人が勝ち上がり、6人での決勝でメダルが争われる。日本からは脇本雄太、新田祐大、河端朋之の3選手が出場。第1回戦から脇本は、他を寄せ付けない先行逃げで、上位ラウンドに1位進出を重ねる。河端は準々決勝、新田は準決勝で敗退した。

 最終決勝に臨んだ脇本、逃げの勝負を挑むも後方から抜き返され、ゴール前で刺し返せず2位で銀メダルに。日本の男子ケイリンでの出場枠1を確かなものとした。代表候補選手としても脇本が有力視されている。

ケイリンで銀メダルを獲得した脇本雄太 Photo: Koichiro NAKAMURA

脇本雄太のコメント

(2位という結果に)自分の中でオリンピックでのメダルに対して前進した感じです。次に金メダルを獲るための目標もできましたし、それに向かって自分がどういうふうにやっていけばいいのかという、そういった意味でいい経験だったと思います

1 LAVREYSEN Harrie(オランダ)
2 脇本雄太(日本)
3 AWANG Mohd Azizulhasni(マレーシア)
12 新田祐大(日本)
13 河端朋之(日本)

女子スプリント

2月27日女子スプリント 枠獲得数見込み=0 Photo: Koichiro NAKAMURA

 スプリント種目とケイリン種目の関連性は深く、スプリントで出場枠を取るとケイリンでも出場枠を獲得でき、その逆も同様。世界選手権前にケイリン枠が有望視されていたため、スプリントでも枠を取れれば、日本代表選手の2人、小林優香、太田りゆ双方が、スプリント、ケイリンともに東京五輪出場が可能となった。しかし今大会、太田は1/16決勝で敗退、小林は1/8決勝で敗退し、日本の出場枠を確定させられるポイント獲得はならず。枠の獲得は難しくなった。

1 HINZE Emma(ドイツ)
2 VOINOVA Anastasiia(ロシア)
3 LEE Wai Sze(香港)
16 小林優香(日本)1/8敗退
26 太田りゆ(日本)1/16敗退

女子オムニアム

2月28日女子オムニアム 枠獲得見込み数=1 Photo: Koichiro NAKAMURA

 4種目の競技で獲得するポイントを合計して競う多種目種目のオムニアム。’19-’20W杯での女子オムニアムで優勝実績がある梶原悠未が参戦。第1種目では1位、第2種目では2位と、その速度と場所取りに卓越したセンスを見せた梶原。しかし第3種目にて転倒、腕を負傷するも3位にて走りきり、2位に大きくポイント差をつけての最終種目では、痛みをこらえながらもポイント計算を加味した戦略的な走りで勝利。自身初となる世界選手権金メダルを獲得した。

 これで女子オムニアム単独でも枠取り可能なポイントを獲得。ただ後述の女子マディソンに付帯する枠での東京五輪出場となる。腕の怪我は深刻なものではないと梶原。

女子オムニアムで金メダルを獲得した梶原悠未 Photo: Koichiro NAKAMURA

梶原悠未のコメント

 世界選手権で金メダルを獲って、東京オリンピックで金メダル獲ることをずっと目標 に掲げていました。まずはその目標を一つクリアできたので、自信を持って残りの期間に一層高いレベルのトレーニングに努め、東京2020オリンピックでも金メダルを獲りたいと思います

1 梶原悠未(日本)121pts
2 PATERNOSTER Letizia(イタリア)109pts
3 PIKULIK Daria(ポーランド)100pts

男子スプリント

2月29日男子スプリント 枠獲得見込み数=1 Photo: Koichiro NAKAMURA

 予選は助走付き200m(=ハロン)での計測タイム、本戦は1対1のトーナメント方式にて争われるスプリント種目。男子は新田祐大、深谷知広の2選手が出場。深谷はこの種目でW杯では表彰台に上ったこともある実力を持つ。

 準々決勝まで新田、深谷ともに危なげなく勝ち上がってきたが、準々決勝にて新田、深谷ともに敗退となった。ここまでのポイント集計では、出場1枠を確保できる見込み。そして代表候補選手の選考には、この世界選手権での成績が大きく加味されるとのことだったが、ここでは深谷、新田ともにほぼ同成績。深谷はここまで枠取りのポイントを稼いできたという実績がある一方、新田にはスプリント枠に付帯するケイリン枠でもメダルを狙える実力の持ち主。新田と深谷、どちらが選ばれるかに大きく注目が集まる。

1 LAVREYSEN Harrie(オランダ)
2 HOOGLAND Jeffrey(オランダ)
3 AWANG Mohd Azizulhasni(マレーシア)
5 新田祐大(日本)
8 深谷知広(日本)

男子オムニアム

2月29日男子オムニアム 獲得枠見込み数=1 Photo: Koichiro NAKAMURA

 ’19-’20W杯第5戦の男子オムニアムで表彰台を獲得した橋本英也が出場。好走できるイメージで臨んだ世界選手権では、予想を超える高い速度域に第1種目で10位、第2種目で9位と自身のレースセンスを発揮しきれなかった形に。第3種目では戦略を一新、集団の前方で積極的に展開することで疲労は多いながらも6位の成績を獲得。しかし最終種目でさらに上がった速度域に対応しきれず、後方に位置することが多くなり、総合11位の成績に終わった。

 ただ、これまでに多くの出場枠獲得ポイントがあったため、この成績は出場枠取りへのには大きく影響することはなく、日本は1枠を確保する見込み。その際には橋本が代表候補選手として選ばれる可能性が大きい。

橋本英也 Photo: Koichiro NAKAMURA

橋本英也のコメント

 レースメンバーが本番に向けて仕上がっていること、その体力差を身をもって感じました。ただ東京2020オリンピックの本番では体力を上げれば(対等に)走れるので、有酸素能力の強化に力を入れていきます

1 THOMAS Benjamin(フランス)158pts
2 van SCHIP Jan Willem(オランダ)135pts
3 WALLS Matthew(イギリス)117pts
11 橋本英也(日本)76pts

女子マディソン

2月29日女子マディソン 獲得枠見込み数=1 Photo: Koichiro NAKAMURA

 2人の選手がペアを組み、タッチで交代しながら10周回に一度のポイント周回で得られるポイントの合計で競うマディソン。中村妃智と梶原悠未のペアが出場予定だったが、梶原が腕を怪我したために、リザーブの古山稀絵が中村と出走。速いペースのなか善戦するも、交代ミスが大きく響いて後退、周回遅れとなってしまうが完走、15位に。

 結果、ポイント数では女子マディソンで日本は出場枠を1つ獲得する見込み。またマディソン枠にはオムニアム枠が1つ付帯し、マディソンに出場した選手がオムニアムにも出場するという規定があるため、代表候補選手には中村とオムニアムに出場予定の梶原によるペアが選考される見込みだ。

古山稀絵(左)、中村妃智 Photo: Koichiro NAKAMURA

中村妃智のコメント

 相方になる梶原は世界一で、ポイント周回の前に位置取りができたらポイントが取れると思います。私たちの頑張りでメダルが取れるかどうかが大きく変わると思うので、東京2020オリンピックまでは、しっかり梶原を前に持っていくトレーニングを積みたいと思います

1 オランダ
2 フランス
3 イタリア
15 日本(中村妃智・古山稀絵ペア)

女子ケイリン

3月1日女子ケイリン 獲得枠見込み数=1 Photo: Koichiro NAKAMURA

 ガールズケイリン選手である2選手、太田りゆ、小林優香が参戦した女子ケイリン。日本のお家芸とも言えるケイリン種目では、’19-20W杯で表彰台を獲得した小林の活躍を筆頭に着実な成績をこれまで残してきており、1枠は確定の見込み。このレースでの成績で太田、小林のどちらかに代表候補が決まるとされていた。しかし初戦の1回戦で2人とも敗退、続いた敗者復活戦も勝ち上がることができず、残念な結果に終わった。ケイリン枠にはスプリント枠も付帯するため、このケイリン枠で選考された1選手のみが、女子ケイリンと女子スプリントを走ることとなる。小林と太田との選考となれば、どちらかといえば小林に分があるか。


1 HINZE Emma(ドイツ)
2 LEE Hyejin(韓国)
3 MORTON Stephanie(オーストラリア)
19 小林優香(日本)敗者復活戦敗退
19 太田りゆ(日本)敗者復活戦敗退

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2020東京五輪 トラック トラックレース 日本ナショナルチーム

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