手つかずの自然は絶景島民の手厚い歓迎に充実したグルメが魅力の「2020サイクリング屋久島」

by 石川海璃 / Kairi ISHIKAWA
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 世界自然遺産の島を自転車で走る「2020サイクリング屋久島」が2月16日に鹿児島県屋久島町で開催された。Cyclist編集部は3つあるコースの中から、島を反時計回りに1周する100kmコースに参加。天気がコロコロと変わる中、島民の手厚い歓迎を受け、充実のエイド食べつつ、風光明媚な島の景色を楽しんだ。大会の前日(15日)に行われたヒルクライムと合わせてリポートする。

苔むした岩肌が度々現れる Photo: Kairi ISHIKAWA

島民がサイクリストを歓迎

 「2020サイクリング屋久島」 は今回で10回目を迎えた歴史ある大会だ。島一周100キロの部、ショートコース50キロの部、小学1年生から参加できるファミリーコース20キロの3カテゴリーに分かれているが、そのどれに参加しても島の魅力を存分堪能できる。

 大会当日は周囲が暗い時間から大勢の参加者がスタート会場の屋久島町すこやかふれあいセンターに集結。ジャージにゼッケンを付けたり、自転車を組み立てたりと準備に追われていた。開会式を終え、午前7時30分ごろに参加者がスタート。10人ずつの集団が次々に走り出した。

スタート前に自転車を組み立てる参加者 Photo: Kairi ISHIKAWA
開会式では記念撮影を行った Photo: Kairi ISHIKAWA
10人ずつの集団でスタート Photo: Kairi ISHIKAWA

 行く先々で印象的だったのが沿道からの声援だ。時折小雨がぱらつく中、沿道に出た島民が「がんばって」と声を掛け、手を振ったりしていた。ここまではどのイベントでもよくある光景だが、“屋久島スタイル”は一味違う。スタート4、5km先の集落では、島の特産品の柑橘類「タンカン」を走行中の参加者に手渡していた。その行為はプロレースの補給地点のスタッフを彷彿とさせるほど、慣れた手つき。その姿に感銘を受けながら自動車を走らせた。

沿道でタンカンを配る島民。プロレースのスタッフさながらの受け渡しだった Photo: Shinji TOGARI

 第1エイドステーション(以下、エイド)の安房から第3エイドの永田公民館までの道のりは、「ひと月に35日雨が降る」といわれるほど雨が多い屋久島の洗礼を受け、土砂降りに。

大きな雨粒が降りそそぐ中ペダルを漕ぐ Photo: Kairi ISHIKAWA

 応援する人の姿も減っていくかのように思えたが、軒先や窓から顔を出して参加者を歓迎していた。暴風雨となった海岸線では傘をさして参加者を応援する島民の姿も。あいにくの天気にもかかわらず歓迎してくれる島民たちに、参加者は元気をもらったに違いない。

お面を付けて応援する人の姿もあった Photo: Kairi ISHIKAWA

手つかずの自然に野生動物の出現

 屋久島にはウミガメの産卵地として知られる「永田いなか浜」、日本の滝百選のひとつ「大川(おおこ)の滝」などの観光スポットが多いが、その中でも魅力的なのが「西部林道」だ。

 第3エイドの永田公民館から約2、3kmほど走ると西部林道に入る。世界自然遺産に登録されている地域だけあって、住宅街とは異なり、道路の左右から草木が生い茂る景色に変化。奥に進むにつれ苔むした岩肌や小さい滝など、手つかずの自然が現れる。優大な自然を感じながら走れる貴重なスポットだ。

林道のいたるところに風光明媚なスポットが現れる Photo: Kairi ISHIKAWA

 ヤクザルやヤクシカといった野生動物も多く生息し、森の中から姿を現す。中には手が触れられる距離まで接近するものもいて参加者を驚かせるほどだった。

下りの途中に現れたヤクシカ。参加者も驚きの表情だ Photo: Kairi ISHIKAWA
触れられる距離まで近づいてくる Photo: Shinji TOGARI

ボリュームのあるエイド食

 サイクリングイベントで楽しみなのは綺麗な景色とその土地で食べる食材だ。サイクリング屋久島には合計4カ所エイドが設けられているが、後半になるにつれて食べ物が多くなる。

 第1、2エイドは、「紫芋団子」やヨモギを練り込んだ団子をかからの葉で巻いた「かからん団子」など、郷土菓子を中心に提供された。

ゲストの安田大サーカス・団長安田さん。エイドのグルメを堪能していた Photo: Shinji TOGARI

 昼食に設定された第3エイドではトビウオやサバのすり身、サバのだしを使ったうどんなどが振舞われた。そのほか屋久島の特産品を使った料理に加え、おでんや佃煮が並ぶなど盛り沢山の内容だった。

 最終第4エイドではカレーや天ぷらに、これまで提供された食べ物も出された。あまりのボリュームに「さっきお昼食べたのにまだ食事がでるの?」と聞こえるほど。これまで様々なイベントに参加してきたが、おそらく屋久島がダントツ豪華でお腹が膨れる食事だった。

第3エイドの永田公民館で振舞われた食べ物。トビウオやサバのすり身、亀の手などが並んだ Photo: Kairi ISHIKAWA
昼食を食べ終えた第4エイドで振舞われたのは、なんとカレー Photo: Kairi ISHIKAWA

後夜祭も大盛り上がり

 ゴールに近づくにつれて天気も回復。午前中の雨模様が嘘のように晴れ間がのぞいていた。スタート前、霧でその姿を隠していたモッチョム岳もハッキリと見えるほど。参加者はコロコロと変わる天気に翻弄されながらも屋久島を満喫した。

スタートした時には見えなかったモッチョム岳が姿を現した Photo: Kairi ISHIKAWA

 全ての参加者がゴールラインを通過したのは午後4時30分。それぞれが屋久杉の完走証を受け取り、サイクリングの余韻に浸っていた。辺りが少し薄暗くなった午後4時50分になると後夜祭が始まった。用意されたテーブルに参加者たちが集結。島民も輪に加わり談笑していた。食事に加え、ふるまい酒もあって会場は賑やか。景品が当たる抽選会で大盛り上がりだった。

 東京都の会社員、荒井裕昭さんはサイクリング屋久島初参加。大会リピーターの後輩と一緒にサイクリングを楽しんだ。「大雨に打たれるなど島の洗礼を受けましたが、とても楽しめました。エイドの食事も豪華で島の人もあたたかい。これで晴れていたらもっと最高でした」と振り返る。

大勢の人が集まった後夜祭 Photo: Shinji TOGARI
初参加の荒井裕昭さん(写真手前、中央右側)。島民と一緒に後夜祭を楽しんだ Photo: Kairi ISHIKAWA

 大会協賛の地元企業・屋久島電工に勤務する重久和也さんは「島外からイベントのために沢山の人が訪れ、地元が盛り上がってくれて嬉しい」と喜んだ。コース途中で見たボランティアの数々、道端で声援を送る人の多さを含め、島民たちはイベントを通して地元が盛り上がるのを期待しているのがうかがえた。

前日開催のヒルクライムも魅力

 サイクリング屋久島の前日(2月15日)にはヒルクライムも実施された。距離約7.9km、標高差は583m、平均勾配は6.9%と走りごたえのあるコースだ。翌日にサイクリングを控える中、48人が参加した。

翌日本番が控えているのにも関わらず、48人の健脚サイクリストがヒルクライムにエントリー Photo: Kairi ISHIKAWA

 レース色が強いヒルクライムイベントだが、屋久島ヒルクライムはそれを感じさせないほどアットホームな雰囲気。スタートギリギリまで談笑が続き、殺伐とした空気はない。その様子から己の限界に挑戦しつつも、楽しむことを重視する参加者が多い印象を受けた。

 ゴールの白谷雲水峡まで度々絶景スポットが登場する。晴れていれば宮之浦市街や港、その先の海まで見渡せる。本番のサイクリングとは違った景色が見れるので参加する価値は高い。

時折下の様子を見渡せたが、コロコロと変わる天気に翻弄された Photo: Kairi ISHIKAWA
下山時に下の風景がうっすらと見えた Photo: Kairi ISHIKAWA

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サイクリング屋久島

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