渡辺航先生らと共に大会盛り上げ弱虫ペダルチームが全カテゴリーでトップに 茨城シクロクロス第5戦・土浦ステージ
茨城シクロクロスの今シーズン最終戦となる第5戦土浦ステージが、茨城県土浦市にある一誠商事市民運動広場で行われた。2019-2020シーズンのJCXシリーズ戦が終了し、各地で熱戦が繰り広げられた国内のシクロクロスシーズンも徐々に終幕を迎えている。

サイン会も開催
大会の会場となる一誠商事市民運動広場は、毎年10月に開催される日本三大花火大会のうちのひとつ「土浦全国花火競技大会」の打ち上げ会場としても地元では知られている。茨城シクロクロスでは2015年からこの会場で毎年レースを開催しており、今回で6回目の開催となる。会場の名称は土浦市が公募したネーミングライツを取得した地元企業の名前が2019年4月より付いている。
新型コロナウイルスの影響により先ごろ発表された「グラインデューロ」の開催延期など、自転車関連を含めた大小イベントの中止・延期が全国的に相次いでいる中、事象の変化によっては直前に告知を出す可能性もあるとしながら「会場内水洗トイレ、および会場内の屋外水道に特大手洗いせっけんポンプを設置する」「スタッフのマスク着用を励行する」などの対策を取り、また体調に不安のある場合は来場と出走を控えるよう事前にSNSで呼びかけ、来場予定者に協力を求めるなどして開催に至った。
また会場では、昨年の台風19号によって開催中止となってしまったJCX開幕戦・取手ステージで行う予定だった、大人気コミック『弱虫ペダル』の作者である渡辺航先生の「チャリティサコッシュサイン会and販売会」が実施された。あわせて渡辺航先生が監督を務める弱虫ペダルサイクリングチームが、今大会の開催に全面協力。最高カテゴリであるC1には、JCXシリーズ閉幕後にロードレースシーズンに向けて走り込みトレーニング中の全日本シクロクロスチャンピオン前田公平、U23チャンピオン織田聖の2人が、CL1にはJCXシリーズで4勝を挙げシリーズチャンピオンとなった唐見実世子が参加した他、C3、CJにもロード班のメンバーが出走した。もちろん監督の渡辺航先生もC4クラスで出走した。
また、レース開催に先立ち2月20日には、前田公平と唐見実世子の両選手が土浦市役所を訪れ、安藤真理子市長を表敬訪問するなどして、チームの拠点である茨城で行われるレースの盛り上げに一役買って出た。

女子は唐見実世子が独走勝利
コースは完全なドライコンディション。野球グラウンドを囲うような長い直線とリズムの良いスイッチバックを組み合わせた、全体にわたって平坦なコース。晴天ながら、コントロールライン横の計測テントが杭ごと吹き飛ばされてしまうほどの強風が吹き荒れる中でレースが行われた。
1周が約1.8kmの平坦コースのため、ラップタイムは4分ほど。第1レースはCM2、CM3、CL2+3がそれぞれ1分間隔でスタートしたため、CM2のトップが2周目にはCL2+3の最後尾に追いついてしまうなど、まさにカオスな状況だった。
午前最後のレースとして行われたCL1はCM1との時差発走。JCXシリーズではスタートのペダルキャッチミスに苦しんだ唐見がすんなりスタートしてホールショットを奪い、1周目中盤には独走状態に。参加者9人のうち8人を周回遅れにする快走を披露しトップでフィニッシュした。

C1も前田公平&織田聖が圧倒
午後の試走を挟んで行われたC1には40人が出走。賞典外の前田公平と織田聖の弱虫ペダルサイクリングチームの2人は、最後尾からスタートした。全日本チャンピオンの前田はスタートの混乱をうまくすり抜け、3つ目のコーナーをクリアした時点で5番手のポジションにまで上がった。
一方で織田はスタート後のラインを塞がれてしまいなかなか前に出てこられなかった。前田は織田の合流を先頭付近で待ってからややペースアップすると、加藤健悟(臼杵レーシング)と佐川祐太(SNEL CYCLOCROSS TEAM)の表情が一気に苦しげになる。フラットコーナーで佐川がスリップ転倒すると弱虫ペダルコンビについて行ったのは加藤だけだった。

その後ハイペースに耐えられず加藤が遅れると、前田と織田は再三ペースを落とし加藤を吸収。加藤にとってはなかなかきつい拷問のようなインターバルだったに違いない。やがて加藤はメカトラで脱落。前田と織田の2人は互いに1回ずつバイクチェンジしつつも、まったく息が上がることなく、2人で拳を合わせて同時にフィニッシュした。
表彰対象者の着順は、終始3人のパックで前を行く弱虫ペダルコンビを追っていた向山浩司(SNEL CYCLOCROSS TEAM)が、チームメートの佐川を振り切って先着。続いて折橋孝治(Champion system japan test team)が入り、上位3人に贈られる地元田島屋のコシヒカリを手にした。弱虫ペダルサイクリングチームはC3、CJも優勝し、エントリーしたすべてのカテゴリーを制したことになった。
大会オーガナイザーの影山氏は「今シーズンは台風に始まり、嵐のような強風で終わりました。地元ライダー、地元審判、ショップクラブからなる寄り合い所帯的な運営チームですが、またひとつ経験値が上がって連携が深まったかなと思います」と、短いながらも今シーズンの開催・運営の困難さが滲み出るコメントをしてくれた。

来シーズンの茨城シクロクロスはすでに2020年10月4日に取手UCIレースが公表されており、追って他のシリーズ日程も発表されるであろう。茨城シクロクロスに来シーズンも期待しよう。