島根県益田市とグッド・チャリズム宣言が共催BTB輪行箱とオーストリッチがワークショップで共演 「飛行機輪行をもっと気軽に」

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 飛行機を使った輪行の方法をわかりやすく解説するワークショップ「はじめてでも安心、飛行機輪行講座」が2月15日、東京・渋谷で開催されました。サイクルツーリズムに積極的に取り組んでいる島根県益田市と、「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」によって行われたイベントで、当日は定員50人を上回る盛況ぶりだったとのこと。当日の様子を同団体の理事を務める瀬戸圭祐さんのリポートでお届けします。

輪行箱の解説に熱心に耳を傾ける参加者。上部にあるモニターにも作業の動画が映し出されている Photo: Keisuke SETO

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 フレームにヒビが入った。エンドが曲がった。パーツが壊れた─。これらは飛行機輪行で時々耳にするトラブルだ。通常の輪行には慣れていても、飛行機輪行はこうしたトラブルが怖くて二の足を踏んでいるサイクリストも多いだろう。

 しかし、飛行機を使えば北海道や沖縄でも、そして海外でも自分の愛車でサイクリングを楽しむことができるとあって、ノウハウをしっかりと教わりたいというニーズは少なくない。

会場となった渋谷の「サイクルカフェTORQUE」には定員の50人を超える参加者が集まった Photo: Keisuke SETO

 そこで今回は飛行機輪行用「BTB輪行箱」を開発・販売している、コーワの森泉忠浩さんと、輪行袋の代表的ブランド「OSTRICH」(オーストリッチ)を取り扱うアズマ産業の伊美哲也社長を招き、飛行機輪行の実演講習を行った。輪行袋、輪行箱を取り扱う両社が揃い、実演を行うワークショップはこれまで例がないという。

輪行箱の強みは「圧倒的な安心感」

 まずは、森泉さんによる「BTB輪行箱」の実演から行われた。BTB輪行箱は折りたためるダンボール製の輪行箱として知られており、各種規格・輪行スキルに応じてサイズ別、素材別に箱のタイプを複数展開。輪行袋と比べて移動時の機動力は劣るものの、衝撃に耐える圧倒的な安心感が強みで、ユーザーから信頼を獲得している。

 この日の実演に用いたのはベーシックモデルの「D237」。ホイールを外すだけの収納なのでビギナーでも扱いやすく、中の自転車が動かないようしっかりベルトで固定されているのが特徴だ。ちなみにBTB輪行箱を発売して以来11年間、破損事故は発生していないという。

飛行機輪行用「BTB輪行箱」を開発・販売している、コーワ株式会社の森泉忠浩さん Photo: Keisuke SETO

 ハンドル、サドル、ペダルは取り外さず、ブレーキレバー、チェーンとフレーム、ディレーラー等の箱に当たりやすい箇所を緩衝材でカバーして行く。養生して反転したフレームを箱に入れたら、ダンボール箱をたたんで両ホイールを挟み、フロントホイールはチェーンリング側、リアホイールはその対面にフレームを挟むように箱に収納する。

 全てを収納したら、マジックテープのベルトを使って前後からフレームと箱を固定。両方向から支えることで箱の中身が前後に動かず、傷や破損が発生しにくくなるという仕組みだ。

BTB輪行箱への収納状態を上から見た図。箱の中で自転車が動かないよう、マジックテープのベルトでフレームと箱をしっかり固定。自転車を取り出した後は折りたたんで1/4のサイズまで小さくできる  Photo: Keisuke SETO

 蓋を閉じ、ガムテープを貼って完了。ダンボール箱のテープは剥がさずにカッターで切ることによりダンボール箱は繰り返し使うことができ、また残ったテープがダンボールの縁を保護することにもなる。

 ちなみにこのBTB輪行箱は、佐川急便を使って自宅集荷・配送も可能で、飛行機輪行だけでなく宅配用輪行箱として使うことができるという。

輪行袋は“要所”の保護がポイント

 続いて、オーストリッチを提供するアズマ産業の社長、伊美哲也さんが飛行機輪行用の輪行袋「OS-500」の実演講習を行った。OS-500は 厚さ10mmのウレタンによるプロテクション性能をもった輪行袋だ。

オーストリッチのOS-500について説明を行うアズマ産業の伊美哲也社長Photo: Keisuke SETO

 収納方法はペダルを外す必要があるが、基本的にBTB輪行箱と同様。OS-500に反転したフレームを入れて、それを挟むように両ホイールを納める。小物類はポケットへ入れてファスナーを閉じれば完成だ。

 至って簡単だが、これに加えて輪行袋では“要所”対策がポイントとなる。伊美さんがこの「要所対策」に使用している愛用グッズが、繰り返し使えるタイプの結束バンド。袋の中でチェーンやハンドル、クランクなどを動かないように固定し、またフォークに緩衝材を巻いて固定したりと、要所を結束バンドを使って保護することが、自転車を外部の衝撃から守るコツだという。

 また、OS-500を使った飛行機輪行ではリアディレーラーの取り外しがマストだが、その場合エンドのハンガー部が曲がったり折れたりするトラブルもある。その回避策として伊美さんは、エンド金具のクイックリリースのレバーをハンガー部に平行にセッティングすることで、レバー部がエンドをカバーする役目を担うという“裏技”を紹介。参加者からは「なるほど」と声が上がっていた。

OS-500に入れた状態を上から見た図。動かないように固定したり緩衝材を巻いたり、要所を守るテクニックがポイント Photo: Keisuke SETO

  最後に、持ち運びに使用する肩ひもは機内に収納した際に他の荷物や機械に引っかかり、予想外の動きに巻き込まれる恐れがあるため、搭乗手続きカウンターで預ける際は外して、ポケットに入れておくことを忘れないようにと付け加えた。

オーストリッチブランドを取り扱う、アズマ産業の伊美哲也社長 Photo: Keisuke SETO

 ちなみに伊美さんによると、鉄道用などに使う軽量型の輪行袋での飛行機輪行はコストや手間は小さいがバイクが破損するリスクがある。ときたま軽量型の輪行袋を使ったサイクリストを見かけるが、そんな人たちを伊美さんは「ギャンブラー」と呼んでいるという。

 その他、会場のパネルディスカッションでは、輪行解除後の具体的な動きを想定したケースの処理についても言及。輪行箱(袋)の非使用時の処理については、「ホテルに預ける。空港や駅のロッカー、手荷物預かり所を利用する。最終宿泊地のホテルに、事前に宅配便等を利用して送っておく」といった事例を紹介し、旅行先によってどのような方法があるのか事前に調べておくことを推奨した。

©グッド・チャリズム宣言プロジェクト

飛行機輪行で「100ゼロ」の益田市へ

 同イベントの共催者である益田市は、2012年から開催しているサイクリングイベント「益田I・NA・KAライド」をはじめ、2018年にはサイクルロードレース全日本選手権を開催。また東京五輪に向け、アイルランド自転車競技チームの事前キャンプ・トレーニングキャンプ地にもなっている。

来場者に益田市の魅力についてPRする、益田市東京オリンピック・パラリンピック自転車競技キャンプ推進実行委員会の板井泰紀さん Photo: Keisuke SETO

 また、安心して走ることができるサイクリングコースや、サイクリストのための施設の整備も進められているほか、信号ストップなしで100kmライドができる環境を「自転車環境~100ZEROのまち」としてPRするなどサイクルツーリズムに積極的に取り組んでいる。

 島根県の西に位置する益田市は、立地上鉄道や自動車によるアプローチが簡単とは言い難いが、市内には萩・石見空港があり、飛行機輪行を行えばアプローチは容易だ。今回のワークショップを開催した益田市の板井泰紀さんは、「飛行機輪行を利用した自転車旅の候補地として全国からサイクリングに来てほしい」とPRした。

飛行機輪行で世界を広げる

 飛行機輪行は、初めての人には一見ハードルが高く感じられるかも知れない。「走る」ことに関しては熟練のサイクリストであっても、飛行機輪行については未経験の方も多く、一歩を踏み出すことに漠然とした躊躇を感じているサイクリストも多いだろう。

 しかし、今回のワークショップに参加された方々は、飛行機輪行の具体的な方法を学んだことで、飛行機輪行に対する不安が大きく解消されたのではないだろうか。飛行機輪行ができれば全国各地、そして世界をサイクリングする夢も、夢ではなくなる。

 まずは、飛行機輪行の魅力を知るために「100ZEROのまち」島根県益田市へのツーリングにトライしてみてはいかがだろうか。

瀬戸 圭祐瀬戸圭祐(せと・けいすけ)

 中学高校時代にランドナーで日本全国を走り、その後北米大陸ロッキー山脈、北極圏スカンジナビア山脈、欧州アルプス山脈、西ヒマラヤ/カラコルム山脈、ヒンズークシュ山脈などを単独縦断走破。著書は「ジテツウ完全マニュアル」「爽快!自転車バイブル」「自転車ツーリング ビギナーズ」「自転車生活スタートガイド」など多数。現在は自動車会社に勤務しつつ、NPO法人自転車活用推進研究会理事、(一社)グッド・チャリズム宣言プロジェクト理事、読売カルチャー講師などを務め、より良い自転車社会に向けた活動をライフワークとしている。

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グッド・チャリズム宣言プロジェクト ツーリング 島根県益田市 輪行 輪行袋

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