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栗村修の“輪”生相談<173>40代男性「左右脚のペダリングのバランスが悪く悩んでいます」

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 40代男性でロードバイク歴5年の週末サイクリングを楽しんでるものです。左右脚の筋肉バランス?について悩んでおります。

 ペダリングでは左脚(私の場合、利き足になります)が右脚足より半歩前で回してる感覚で違和感を感じ、ロングライドでは左脚が先に疲れます。また、片足ペダリングをすると、右脚はスムーズに回せますが、左脚は少し上死点付近で詰まる感じになります。

 左脚の筋肉が弱いのか?お尻の大きさも左が小さく、右が大きい触れば違いがハッキリ分かります。左右均等にするトレーニングなどありましたら、アドバイスください。よろしくお願いします。

(40代男性)

 僕も15歳くらいのころにはじめてクリート(当時はトゥークリップとストラップでペダルとシューズを固定していた)付きのシューズを買って足をペダルに固定した時に、ご質問者さんと同じ違和感を覚えました。クリートを左右できっちり同じ位置にしても、なぜか左足が前に出ている感じがするんですね。しばらくはそういう状態が続いた記憶があります。

 つまり、僕の体は歪んでいたんです。歪みの内容には、骨盤のゆがみや筋肉の付き方の非対称などいろいろあると思いますが、質問者さんやかつての僕のように、体が左右対称でない方は珍しくないはずです。ちなみにぼくはそれまでサッカーを10年間やっていて、特に左右のバランスなど考えずに利き足だけでボールを蹴って、スライディングなども片側のみで行なっていたと思います。そりゃあバランスは確実に崩れますよね…。僕が若い子に「シンメトリーなスポーツ」を薦めているのもそのためです。また、歪みや筋力差だけではなくて、左右の「器用さ」にも差が生じるので、本来であればそこも埋めていかなくてはなりません。

 対策は2つ。ゆがみに合わせたセッティングにするか、体の歪み(左右差)を直すかです。

 理想は歪み(左右差)を修正することですが、これは短期的にはかなり難しいといっていいでしょう。特に質問者さんのように40代となると、40数年ぶんの歪みが体に蓄積されているわけですから、ちょっとやそっとの工夫では直りません。無理に急いで直そうとすると逆に痛みが出ることもあります。

 ただ、現役時代の僕は矯正する道を選びました。必要なのは三本ローラー台と、クリートポジションを厳密に左右一緒にするためのノギス、そして鏡です(但し、左右の脚の長さが確実に違う際などはそれに合わせたセッティングが必要になります)。

2003年のツール・ド・フランスを走るフランシスコ・マンセボ。若手時代は強度が上がると首を大きくかしげるフォームが特徴的だった Photo: Yuzuru SUNADA

 クリート位置をきっちり左右対称(できれば固定クリート)にしたシューズを履いたら、鏡の前に置いたローラー台に乗り、ポジションをチェック(サドルの中心に座れているか/膝の開き具合は左右対称かなど)しながらペダルを回します。鏡はとても重要です。単にクリートを左右対称にするだけだと、体には歪みが染み付いてしまっていますので、お尻を左右どちらかに落とすとか、膝の開きが左右非対称になるとか、体は違う方法で「違和感」を修正しようとします。ですので、鏡を見ながら、「間違っているのは自分の感覚」であることを意識しつつ視覚的にシンメトリーかを確認してペダルをまわします。

 ポジションもフォームも左右対称にすると、とんでもない違和感があるでしょう。それこそが、体が歪んでいるという証拠に他なりません。それでも数十分我慢してペダルを回し続けると、少しずつ違和感は薄れていくと思います。もちろん途中で「違和感」でなくて「痛み」を感じた場合は一旦中止してください。これを週1回1時間「3本ローラー矯正練」と名付けて実施すればある程度効果は得れると思います。僕はこのやり方で、数年かけて歪みを矯正しました。数年かかってしまったのは、サッカーによって生じた左右差(歪み/筋力差/器用さ)が大きくなってしまっていたからでしょう。

 他に、日常生活でも左右差を極力なくすことも大切です。脚を組んで椅子に座っているとき、カバンを持つ時、そしてトイレでお尻を拭くときなども、左右同じ動きをするように心掛けてください。ある意味で涙ぐましい努力が必要です。

 ただ、忘れないでほしいのは、左右差をなくすことだけが正義ではないということです。トッププロ選手を見ていても、豪快に左右差があるポジションで走っている人は少なくありません(例えばアームストロング、サガン、デマルキなども左右の膝の開き具合がだいぶ違う)。矯正の負担が大きいようでしたら、左右差を受け入れるのも手だと思いますよ。

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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