テストサドル設置店も拡大中フィジークのショートノーズサドル「アルゴ」の「ヴェント」と「テンポ」をインプレッション

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 フィジークが2019年末、ショートノーズサドルの「アルゴ」シリーズを発売開始した。レースシーンに最適な「ヴェント」と、ロングライド派のサイクリストに合う「テンポ」の2種類がラインナップ。それぞれの使い心地を確かめた。

フィジークのショートノーズサドル「アルゴ」シリーズ。左が「テンポ」で右が「ヴェント」 Photo: Shusaku MATSUO

前乗りポジションが取りやすく

 近年流行しているショートノーズサドルは文字通り、サドル前方をカットアウトしたモデルを指す。従来のサドル前方に体重を乗せる時間は極端に少なかったため、不必要な部分として排除。これによって、より“前乗り”ポジションを取りやすくなった。UCI(国際自転車競技連合)ルールにより、サドルの先端を基準として極端な前乗りポジションが規制されたタイムトライアル(TT)バイクに取り付けられるなど、プロ選手の間で使用されることが多かったが、各社からラインナップが続々と登場し、ロードバイクでも取り付けられる例が増えてきた。

 フィジークのアルゴシリーズは他社と比較すると、登場はやや後発組。しかし、2年間の開発期間を取ったことで熟成したモデルを送り出してきた。

ロングライド派のライダーに最適なアルゴ「テンポ」 Photo: Shusaku MATSUO

 ヴェントはロードレースを主に得意とする位置づけのモデル。大きくセンターに空いた穴が特徴で、ノーズは短く、そして前下がりにカーブをしている。これは前傾姿勢を取った際、穴が開いていることで尿道の圧迫を防ぎつつ、前乗りポジションを取りやすくするためだ。サドル後部もプレッシャーマッピングデータをもとにした形状となる。サドルの幅は140mmと150mmから選択が可能。

 一方のテンポはロングライドに最適なモデル。ヴェントと比較して、サドル後方にかけて約2mm厚いプログレッシブフォームを採用し、クッション性能を向上させた。また、ノーズ先端にかけてフラットなデザインとなり、ヴェントと異なる形状に。幅は150mmと160mmがラインナップしている。

レースシーンにも合うショートノーズサドル「アルゴ ヴェント」 Photo: Shusaku MATSUO

 ヴェントとテンポ、共にカーボンレールを用いたハイエンドモデルの「R1」、 合金素材のキウムレールを採用した「R3」、そして比較的安価に導入できる「R5」グレードが登場した。今回、インプレッションで使用したのはヴェントの140mm、テンポの150mmの2種類。ともにグレードはR3だ。

 2つのサドルを試すにあたり、レース用、ロングライド用とカテゴリー分けされていたため、漠然と「レースにも頻繁に出ているし、トレーニングもしっかりと行っているので、恐らくフィットするのはレース用のヴェントだろう。そして、細めの140mmがいいのではないか」と想像していた。しかし、結果的に筆者に合ったのは150mm幅のテンポであった。

外観は似ていても異なる性格

 まず最初に試したのは150mm幅のテンポ。愛車に装着し、ポジション出しの作業に入った。前後位置をレールに記載されたセンターに合わせて乗ると、元のサドルと比べてやや遠く感じたので1cmほど前に出した。そして、やや前下がりの方がしっくりとくる。第一印象としてノーズ部分の幅が広く、骨盤が安定していると感じた。そして、思ったほどノーズの幅が広くても足の動きを阻害しない。

“前乗り”姿勢に適したカーブができている「ヴェント」(手前)と、先端まで角度が変化しない「テンポ」 Photo: Shusaku MATSUO

 ポジション出しの作業が終わり、ハイスピードな平地トレーニングに用いてみた。ハンドルのドロップ部を持ち、低い姿勢になると自ずと骨盤が倒れる。ここでアルゴの真価が発揮。大きく空いた穴は恥骨から前部の圧迫を防ぎ痛みを感じない。そして、坐骨はしっかりとサドルに乗っかり、安定したペダリングが可能だった。いつもより長い時間、より低い姿勢で走れるので単純に速く走れているはず。その後、山岳を含むロングトレーニングにも用いたが、骨盤の形状によほど合っているのかとても快適だった。特にパワーをかけるシッティングでのペダリングでも腰が安定しているのを感じた。

サドル幅は骨盤と坐骨の幅に応じて適切に選択したい Photo: Shusaku MATSUO

 同様のシチュエーションで140mm幅のヴェントへサドルを交換する。おおよそ同じポジションにセッティングを出すものの、座ってみると全く違う印象を受ける。コンセプト通りであるものの、表面がよりハードで幅が細い。ここで「サドルの幅ってこんなにフィーリングに影響を及ぼすのか」と気づく。後に分かることだが、フィジークの什器で筆者に合うサドル幅を算出してみたところ150mmだった。簡易的ではあるが、納得の数字である。

 一方でヴェントの完成度も高い。テンポと同様、センターの穴は骨盤を前傾させても窮屈さを感じない。そして、先端が前下がりになっているので、テンポと比べると前乗りポジションを取りやすかった。スピードが上がり、もう一踏みしたいシチュエーションで力を出し切ることができた。レース向きというコンセプトも理解できる。

 両モデルとも樹脂が穴の内部を固めているため、剛性が保たれているのも良いポイントだ。 体重をグッと乗せても本体に余計な動きがないため頼もしい印象がある。峠の下りではハンドルだけでなく、骨盤でも舵を切ることが多いので、サドル本体がしなりすぎると、バイクから頼りなさを感じ、どうも攻め切れないことがある。一方、アルゴは頼りがいがあり、車体のコントロールにも良い印象を与えてくれた。

両モデルともやや前乗りで、前下がりなポジションに落ち着いた Photo: Shusaku MATSUO

 2つのモデルを試してみて分かったことは、まずは骨盤の幅に合ったモデルを選ぶべきであるということだ。可能な限り試したうえで購入したいところ。フィジークはそれを見越してテストサドルの設置を全国の取扱店で拡大させている。これを機にトレンドのショートノーズサドルをアルゴで試してみてはいかがだろうか。

■フィジークARGO(アルゴ)「ヴェントR3」

税抜価格:15,800円
サドル長:265mm
幅:140mm、150mm
重量:213g(140mm)、220g(150mm)
75mm幅部分の高さ:41mm
ノーズ先端から75mm幅までの長さ:114mm
レール:7×7mm K:iumレール

■フィジーク ARGO(アルゴ) 「 テンポR3」

税抜価格:15,200円
サドル長:260mm
幅:150mm、160mm
重量:229g(150mm)、235g(160mm)
75mm幅部分の高さ:43mm(150mm)、45mm(160mm)
ノーズ先端から75mm幅までの長さ:103mm
レール:7×7mm K:iumレール

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