6年振りのフルモデルチェンジフェルト「AR」を実走インプレッション 速さと扱いやすさを両立させたエアロロード

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 フェルトの新しくなったエアロロード「AR」のインプレッションをお届けする。ディスクブレーキ専用設計となり、各部の形状を最適化した結果、エアロ効果をさらに向上。速さだけでなく、フィーリングにもこだわった新作のスペックを実走でチェックした。

フルモデルチェンジしたフェルト「AR」 Photo: Masami SATOU

 ARは他ブランド比較しても早い段階から空力を意識した形状で名を馳せているエアロロードバイクだ。初代は2009年モデルとして登場し、2代目は2014年にデビュー。そして、6年ぶりのフルモデルチェンジとなったのが今作の3代目だ。

専用ステムにブレーキホースなどが内装され、すっきりとした外観に Photo: Masami SATOU

 特徴としては、ディスクブレーキ専用設計としてゼロベースで開発されたことが挙げられる。ブレーキホースはフォーク、フレーム内を通り内装化を実現。Di2(電動変速)仕様であればほぼ全てのワイヤー類を完全に内装することが可能である。

 フレームは「トランケーテッド・エアフォイル・シェイプ」と呼ばれるカムテール構造のデザインを採用。走行時、ヨー角に対して風向や風速を最適化した形状としたことで、前作比で9%のエアロ効果を向上させたという。シートチューブはリアタイヤにぎりぎりまで接近し、風の整流効果を狙ったもので「フィッシュリップ・シェイプ・シートチューブ」が用いられている。しかし、クリアランスも確保され、前後ともに30Cまでのタイヤ幅まで対応する。

「トランケーテッド・エアフォイル・シェイプ」と呼ばれるカムテールデザインを各部に採用 Photo: Masami SATOU
リアタイヤがシートチューブにギリギリまで接近した「フィッシュリップ・シェイプ・シートチューブ」 Photo: Masami SATOU

思わず「速い!」と声が出る

 “速いのは当然”という自信溢れるコンセプトのもとに開発が行われたこの新型AR。テストライドをするとメーカー側が言わんとすることがすぐに分かった。

 エアロロードといえば一般的に前面投影面積を削減するため、縦方向にチューブデザインを形成する傾向にある。すると、縦剛性が強くなり、ハードな乗り味になることが往々にしてある。空気抵抗は減少するが、足への負担が増し、疲労に繋がることもしばしばある。最近の傾向として、チューブ後方を“切り欠け”にしたカムテール構造を用いたり、剛性バランスを工夫することで、より自然な乗り味に仕上げられたディスクブレーキ専用のエアロロードが多くなったと思う。

 新型ARも例外ではなく、トレンドのほぼ全てが取り入れられている。狙ったエアロ効果も体感できるほど高い。「おぉ、本当に速い!」とライド中に声が出たほど。風が強く、四方から吹き付ける場面でも、横風の影響をあまり感じさせなかったのも印象的であった。

速さと乗りやすさを兼ね備えた新しい基準のエアロロードバイクだ Photo: Masami SATOU

 車体のバランスが優れているのも特徴的だ。ハンドリングが特に良く、切れ込みすぎたり、アンダーステアを感じさせないので、 コーナー中の姿勢制御もとても楽だった。 バイクに乗車中はシッティング、ダンシングにかかわらず少なからずバイクが左右に振れるものだが、ARはその車体の振りと戻りが早い。ペダルを踏みこむと確かな剛性を脚で感じるなか、車体全体でその硬さを乗り手に感じさせる前にさばいていく。よって、上りやスプリントでも良いフィーリングを与えてくれる。軽快感こそ同ブランドのオールラウンダー「FR」に譲るものの、総合力の高さは勝るとも全く劣らない。素性の良さは上級者だけでなく、幅広い層が享受できる性能だろう。

 完全内装化したエアロロードのハンドル周りは、ワイヤーやホースを引き込むために複雑になりがちであるが、ARは専用ステムからヘッドチューブ内に収める比較的シンプルな形状となっている。ハンドルも31.8mm径であれば製品問わずに使えるし、ステムをコラムから外すのも比較的容易である。ユーザーフレンドリーな点も評価すべきポイントである。Advancedのフレームセットで税抜30万円を切る価格であることも見逃せない。

■フェルト「AR」

税抜価格:298,000円(Advanced フレームセット)、598,000円(Advanced アルテグラ完成車)、798,000円(Advanced アルテグラDi2完成車)、598,000円(FRD Ultimate フレームセット)、1,598,000円(FRD Ultimate Dura-Ace Di2完成車)
サイズ:48、51、54、56
重量:8.26kg(Advanced アルテグラDi2完成車)

松尾修作松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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