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つれづれイタリア〜ノ<番外編:ファッションチェック>マルコの辛口ファッションチェック ワールドチームの2020年デザインは「どうしちゃったのだろう?」

by マルコ・ファヴァロ / Marco FAVARO
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 今年もこのコラムの時間がやってまいりました。UCI(国際自転車競技連合)ワールドチーム男子の新しいジャージを発表するコーナーです。毎年1月になると、南半球からロードレースカレンダーが始まります。各チームの新しいメンバーは誰なのか、機材はどうなっているか、そしてチームの顔であるジャージはどう変わったか。このスポーツならでの話題が多い時期ですね。今回も各チームのウェアデザインを“辛口”にチェックしていきます!

毎年恒例のマルコさんによるUCIワードツアーチームのファッションチェック Photo: Yuzuru SUNADA

 今年はオリンピック年であるにもかかわらず、おや?なんだか様子はおかしい。驚いたことに今年のジャージは案外と地味。2010年チームスカイ(現チームイネオス)の登場で、自転車界にもオシャレでミニマルデザインの波が寄せました。しかし、今年はミニマルでもなくオシャレでもなくデザインが全体的に控えめになっています。心をくすぐるジャージが少ない。この控えめな傾向は、どこから来ているのでしょうか。

 ご存知の通り、今年からチーム登録や競技に関するルールは大きく変わりました。UCIが打ち出した大掛かりな変更に伴い、チームや各大会の組織委員会に課せられる金銭的な負担が増し、これに対し強い不満が生まれています。詳しくは下記のリンクにて。

 新しくなった制度へどう対応すべきか、今後のチーム運営にどんな影響を与えるか、慎重な動きが目立ちます。その結果、今年のジャージのデザインに大きな変更がなく、「様子見」のような状態です。今年は百点満点のチームはないものの、来年への期待が膨らみます。厳しめの判定にお付き合いください。

マルコのチェックポイント!

・カラーコーディネート(7:ベースカラー、2:メインカラー、1:アクセントカラー)の原則
・デザイン
・オリジナル性
・合格ライン:100点満点中60点以上
※あくまでも個人的な意見ですので、笑いながらご覧ください。コメントもどしどしお寄せください!

90点:モビルスーツで賞

■ドゥクーニンク・クイックステップ

 珍しく大きく変化したジャージの一つです。チームカラーであるブルーの面積が減り、その代わりに白が登場。カッティングの影響か、結果はモビルスーツ、ロボットアニメ感がすごい! 見た目がかっこよくて今年も上位にランクイン。満点はならない理由は、白とブルーの面積のバランスに少し違和感を覚えることと、袖に描かれているドイツ大手格安スーパーのロゴが大きすぎること。もう少し工夫すれば素晴らしいジャージです。

ジャージメーカー:Vermarc

ドゥクーニンク・クイックステップ Photo: Yuzuru SUNADA
EFプロサイクリング Photo: Yuzuru SUNADA

85点:自由の翼が羽ばたくで賞

■EFプロサイクリング

 もう!大胆でよろしい!このジャージは自由の翼を手に入れたに違いない。2018年に初めてピンクが現れ、昨年のど肝を抜くほどの大胆な変化を遂げ、そして今年のさらなる進化! もう止まるところがない。ヒッピー文化、サイケデリックミュージック、幻想的な世界を融合したデザイン。解釈は無限大。これから何をしても許されます。ブラボー!

ジャージメーカー:Rapha

80点:爽やかで賞

 3チームは高得点でランクイン! やはりブルーは美しい。色合いは違っても、配色とデザインはシンプルで、定番の自転車ジャージの代名詞です。詳しく見ましょう。

アスタナ プロチーム Photo: Yuzuru SUNADA
モビスター チーム Photo: Yuzuru SUNADA
NTTプロサイクリング Photo: Yuzuru SUNADA

■アスタナ プロチーム

 昨年のデザインを引き継ぎ、メインカラーはカザフスタンの空色と黄色を表現しています。かつて水色はもっと強調されましたが、爽やかさを失っていません。晴れた日に海のそばを走りながら着たいジャージです。

ジャージメーカー:Giordana

■モビスター チーム

 プチ変化のモビスター チーム。2018年に“エヴァンゲリオンカラー”からこの鮮やかな水色に変わり、好感度の高いジャージになりました。今年はベースの色に黒のドットが追加されましたので、不思議でセンスのある模様になりました。胸に描かれているメインスポンサーのロゴは上品に見えます。これも定番のオシャレジャージ。

ジャージメーカー:Alé

■NTTプロサイクリング

 久しぶりに日本大手企業がワールドツアーに復活。ガーミン・シャープ以来でしょうか。NTTはディメンションデータの精神を引き継ぎ、アフリカ大陸に攻勢をかけるため、自転車競技に投資。ここから世界へ羽ばたく戦略でしょう。ジャージも一新して、昨年のチームスカイを元に作られたのではないかと思われます。実は写真で見るより本物の方が圧倒的に色はきれい。親しみのあるロゴが自転車競技を支えることを見ると、嬉しい限りです。

ジャージメーカー:Assos

70点:燃える黄色で賞

■チーム ユンボ・ヴィスマ

 黒と黄色を特徴とするチーム ユンボ・ヴィスマ。ジャージのメインカラーは変わりませんが、昨年の蜂模様が消え、かなりシンプルになりました。胸にある黒のラインは斜めでなければ、ヴィンテージテイストさえ味わえます。地味な2020年の中でかなり目立つ存在です。

ジャージメーカー:Agu

チーム ユンボ・ヴィズマ Photo: Yuzuru SUNADA
CCCチーム Photo: Yuzuru SUNADA

65点:作業着色になるで賞

■CCCチーム

 オレンジ?サーモンピンク?なCCCチーム。ライト、時間、天候と日差しの加減で不思議に変化するカラーです。オレンジを使うチームがない中で、かなり目立ちます。が、しかし!使用回数が増えるにつれて、一つの大きな問題が出てきます。色が褪せてしまい、ヨーロッパでよく使われる工事現場や掘削現場の作業着の地味な色になってしまいます。蛍光色を使うジャージならでの致命的な欠点です。ま、新品のうちは美しい色ですので、合格点ラインです。

ジャージメーカー:Etxeondo

60点:奇跡で賞

アージェードゥーゼール・ラモンディアール Photo: Yuzuru SUNADA

■AG2Rラモンディアール

 3年前からメインスポンサーのカラーである茶色、水色と白の配置を大胆に変え、色の喧嘩から調和を可能にした奇跡のジャージ。これ以上は手が打てるか、しばらく変えないでほしい。

ジャージメーカー:Rosti

 ここから不合格ラインです。

 イタリアでは50点は「留年組」「がんばれば合格点!」を意味します。まだ希望が見えます。50点以下は完全な不合格です。

50点:︎何かが足りないで賞

 このグループに3つのチームが入っています。悪くないが足りない。決して悪いチームではありません。ジャージにインパクトがなく、少し改善すれば、きっとファンも増えるでしょう。

グルパマ・エフデジ Photo: Yuzuru SUNADA
チーム イネオス Photo: Yuzuru SUNADA
ミッチェルトン・スコット Photo: Yuzuru SUNADA

■グルパマ・エフデジ

 フランスのナショナルカラーを全面的に出しているグルパマ・エフデジ。エフデジがメインスポンサーだった頃は、バランスがよくグルッポ(集団)の中で目立つ存在でした。今年もブルーも赤のトーンが弱く、力強さがさほど感じられません。スポーツは擬似的な戦争ですので、パンチのある色は採用してほしい。来年に課題を持ち越し。

ジャージメーカー:Alé

■チーム イネオス

 昨年はジロ・ディタリア直前にスカイからイネオスにチーム名を突然に変え、多くのファンの大きな衝撃を受けました。採用されていたブルーが消え、その代わりにバローロワインのような茶赤が登場。ワインマニアにはたまらない色ですが、インパクトと爽やかさが足りない。残念。

ジャージメーカー:Castelli

■ミッチェルトン・スコット

 今年も期待感と驚きなしのジャージ。ワインを販売しているミッチェルトンはアルコール類を自転車業界から排除する動きが気になるのでしょうか。まだ黒から脱出できないでいます。やはり守りの構え?

ジャージメーカー:Giordana

ボーラ・ハンスグローエ Photo: Yuzuru SUNADA

■ボーラ・ハンスグローエ

 今年も大きく変化しなかったジャージの一つです。今年も黒、白、グリーンが採用されました。この緑色は問題で、冬の曇り空の下に広がるバルト海の色そのものです。冷たい印象は消えません。奇跡が起こらない限り、このジャージは合格しないでしょう。素晴らしい選手がいるだけに、素晴らしいジャージも作ってほしい。

ジャージメーカー:Sportful

45点:アマチュアジャージで賞

■コフィディス

コフィディス Photo: Yuzuru SUNADA

 フランスの期待の強豪チームで、念願のワールドツアー昇格だけでなく、波に乗っているスプリンター、エリア・ヴィヴィアーニの獲得ですごいことを見せてくれるだろうと期待していました。しかし、プロチーム(元プロコンチネンタル)時代のデザインが古い!まるで自転車を趣味で始めたばかりの社会人チームにしか見えません。ワールドツアーは格式が高いので、新鮮味とインパクトににかけます。2018年のデザインは良かったのに(点数をつけるなら80点以上)。唯一の救いはパンツが真っ赤であることです。黒が多い中でこの点では目立ちます。確かに見た目より中身と言われます。今年成績を伸ばしてもらって、来年に期待。

ジャージメーカー:Nalini

40点:コピペで賞

 今年は困った現象が起きています。3チームがほぼ区別できない問題!ロット・スーダル、トレック・セガフレードとUAE・チームエミレーツは同じ色を使っています。 個別に見ると細かいジャージの違いがわかりますが、 グルッポ(集団)の中で誰が誰なんだか…実況の人は困るでしょう。

ロット・スーダル Photo: Yuzuru SUNADA
トレック・セガフレード Photo: Yuzuru SUNADA
UAE・チームエミレーツ Photo: Yuzuru SUNADA

■ロット・スーダル

 ロット・スーダルはチームのメインカラーだった赤に黒を大胆に入れ替えましたが、華やかさがなく、無難なカラーに。黒が増したことで大人っぽいジャージにはなりましたが、面白みに欠けます。逆に目立ちたくないサイクリストにオススメ。

ジャージメーカー:Vermarc

■トレック・セガフレード

 電撃移籍と離脱が特徴だったこのチーム。別府は契約一年を残し、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスへ。そしてニバリ兄弟が参戦。気になるチームですが、昨年と違って、今年のチームジャージには緊張感が伝わらない。少し残念ですが、逆にシンプルジャージの好きな人にオススメ。

ジャージメーカー:Santini

■UAE・チームエミレーツ

 うん。今年も特徴のないジャージを続行。成績も良い、選手も良いので、ジャージももう少し頑張ってほしい。逆にオフの時に使うウエアはオシャレだったりします。不思議なチームです。見た目より中身か?

ジャージメーカー:Champion Systems

35点:やはりよだれ掛けで賞

チーム サンウェブ Photo: Yuzuru SUNADA

■チーム サンウェブ

 なんと言えばいいでしょう。赤にワインレッドのストライプ。決して悪くない組み合わせです。しかし、このチームがこだわっている胸にあるデザインはどうしてもよだれ掛けにしか見えません。赤と白はいい色なのに、このデザインはいつも微妙。いつ卒業するか。そろそろ変化が見たい。

ジャージメーカー:Craft

 

30点:キャバレーのフリンジで賞

■バーレーン・マクラーレン

バーレーン・マクラーレン Photo: Yuzuru SUNADA

 イギリスの高級自動車メーカー、マクラーレンが入ったことで、ジャージは一新。かなり大胆にイメージチェンジをしたチームです。オレンジ、赤と黒、どれをとっても素晴らしい色ですが、この組み合わせは痛い。黒が多いことが今に始まったトレンドではないですが、斜めに描かれた部分はキャバレーで踊っている女性のスカートのフリンジにしか見えません。今ひとつ理解できないデザイン。とにかく全体的に重い。残念の一言です。来年に期待。

ジャージメーカー:Le Col

20点:印象に残らないで賞

イスラエル・スタートアップネイション Photo: Yuzuru SUNADA

■イスラエル・スタートアップネイション

 カチューシャを吸収合併し、ワールドチームに昇格した元イスラエルアカデミー。ジャージにイスラエルの国色である水色と白のみをデザインに取り入れました。困ったことにこの色にこだわりすぎて、目立った特徴は見られません。アスタナにもモヴィスターにも負けます。イスラエル政府がバックにあるだけに、もっと誇れるジャージを作って欲しかった。

ジャージメーカー:Katusha

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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