ツアー・ダウンアンダー2020 第6ステージホームズが最終日制覇、ポートが逆転で総合優勝 新城幸也が総合29位で五輪選考争いトップへ

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 サントス・ツアー・ダウンアンダーの最終第6ステージが1月26日に行われ、新人のマシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル)がプロ初勝利となる逃げ切り勝利を飾った。リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)は最後の上りで猛スパートをかけ、同ステージ7連覇は逃したものの区間2位に入り、3年ぶりの総合優勝に輝いた。また、新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は区間41位でフィニッシュし、総合29位で完走した。

逃げ集団から生き残ったマシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル)がプロ初勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

決戦のウィランガヒル・ステージ

 第6ステージはマクラーレン・ヴァレからウィランガヒルへ至る151.5kmで争われた。フィニッシュ地点に登場する恒例の「ウィランガヒル」は登坂距離3km・平均勾配7.5%の上り。残り30kmを切ってから2度上ることとなり、総合勢にとっては最後の勝負どころとなる。

 総合2位につけているリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)はウィランガヒルに滅法強く、ウィランガヒル山頂にフィニッシュするステージを6連覇中だ。対して総合首位に立っているダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)は、ポートに対してわずか2秒のアドバンテージを持つのみ。フィニッシュ地点のボーナスタイムが1位10秒、2位6秒、3位4秒に設定されていることを考慮すると、ポートが1位、インピーが2位ではポートが逆転総合優勝となる。そのため、インピーは中間スプリント地点に設定されたボーナスタイム(1位3秒・2位2秒・3位1秒)を獲得した上で、ウィランガヒルでポートから離されない走りをする必要があると見られていた。

巨大な逃げ集団が形成される波乱の展開に Photo: Yuzuru SUNADA

 しかし、いざレースがスタートすると意外な展開となった。スタート直後からアタック合戦が起こり、なんと26人もの大きな逃げ集団が形成。ミッチェルトン・スコット、アージェードゥーゼール ラモンディアール以外の全チームが逃げ集団にメンバーを送り込んだ。

主な逃げメンバーと総合タイム差

58秒、ジョーイ・ロスコフ(アメリカ、CCCチーム)
1分22秒、アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)
1分39秒、マルコ・マルカート(イタリア、UAE・チームエミレーツ)
2分31秒、ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ)
2分48秒、マシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル)
ほか21人

 もし逃げ切りが決まると、フィニッシュ地点のボーナスタイムを総合勢が獲得できなくなるため、インピーとしては無理に中間スプリントのボーナスタイムを狙う必要がなく、ウィランガヒルの上りに集中してポートから1秒差以内でフィニッシュすれば総合優勝が可能となる。なお、昨年大会のウィランガヒルステージでは、ポートとインピーは同タイムでフィニッシュしていた。

逃げに入った山岳賞ジャージのロスコフ。総合でも上位につける Photo: Yuzuru SUNADA

 しかし、総合で58秒しか遅れていないロスコフが逃げているため、完全に逃げ切りを容認してしまうと、ロスコフが総合優勝する可能性も生まれている。この複雑な状況において、まずメイン集団のコントロールを担ったのはトレック・セガフレードとアージェードゥーゼール ラモンディアールだった。ミッチェルトンは手を貸さず、集団前方に固まって走っている状況だった。

 そうして、タイム差は4分半程度で推移。逃げ切りたい先頭集団と、小さいタイム差でコントロールしたいメイン集団、どちらもハイスピードで進行し、スタートから100km地点での平均時速は47.1kmと、シーズン初戦とは思えぬ高速なレース展開を見せていた。

飛ぶように上ったポートが総合優勝を果たす

 1回目のウィランガヒルが近づくにつれ、メイン集団がペースアップ。世界チャンピオンのマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が集団けん引に加わると、逃げ集団とのタイム差を一気に1分半ほど削り取った。

ポートを守るトレック・セガフレード軍団。世界チャンピオンのピーダスンがこの日も力強いアシストを見せた Photo: Yuzuru SUNADA

 そうして、1回目のウィランガヒルに突入。逃げ集団では上りのハイペースについていけない選手が次々に脱落。山頂はロスコフが先頭通過を果たし、山岳賞を確定。また、山頂を越えた逃げ集団は12人まで減っていた。

 ウィランガヒルを上り終えて、先頭とメイン集団のタイム差は2分10秒。いよいよ逃げ切りが見えてきたこともあり、逃げ集団はローテーション走行しながらハイペースを維持。トレック・セガフレードに加え、ついにミッチェルトン・スコットも集団けん引に加わったメイン集団なのだが、なかなかペースは上がらず、残り10km地点でタイム差は2分30秒に拡大していた。しかし、ここからミッチェルトン・スコットのアシスト陣による強烈なペースアップが始まり、最後のウィランガヒルに到達する頃にはタイム差を1分まで縮めることに成功した。

総合4賞ジャージの面々。(左から)個人総合のポート、新人賞のシヴァコフ、スプリント賞のフィリプセン、山岳賞のロスコフ Photo: Yuzuru SUNADA

 ウィランガヒルに到達すると、逃げ集団からはステージ優勝をめぐる駆け引きが始まる。まず、ルーク・ロウ(イギリス、チーム イネオス)とヨナス・ルッチ(ドイツ、EFプロサイクリング)が飛び出した。ルッチがロウを置き去りにして、先頭で独走状態を築くも、後方からペース走行で上がってきたマイケル・ストーラー(オーストラリア、チーム サンウェブ)、ロスコフ、ホームズらに捕らえられてしまった。

 一方でメイン集団では、上りに入ると同時にUAE・チームエミレーツ、EFプロサイクリング、ユンボ・ヴィスマ勢が集団前方を陣取った。激しい位置取りをしながらの登坂となったが、ポートは前から6番手付近を走行。インピーはペースが上がらず20〜30番手付近を走行しており、さらに集団のペースが上がったタイミングで遅れを喫してしまった。

首位で最終日に臨んだが、総合3連覇はならなかったインピー Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭から20〜30秒ほど後方、残り1.3km地点で、いよいよポートが腰を上げて加速を開始した。サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)だけがポートの背中を捉えることができたが、それも300mほどで千切れてしまった。ポートは次々に逃げていた選手たちをかわして、先頭を猛追。一気に先頭のホームズ、ストーラーらを捕らえるも、手を緩めることなくダンシングしたままアタックを続行した。

 ポートの猛列なスパートに、食らいつくことができたのがホームズだった。ポートの付き位置を確保したまま、勾配が緩んだ残り150m地点でスプリントを開始すると、ポートを抜いて先頭でフィニッシュ。難関山頂フィニッシュステージで逃げ残り、プロ初勝利を飾った。

26歳でワールドチーム入り1年目、遅咲きのホームズがプロ初勝利 Photo: Yuzuru SUNADA
ライバルを引き離し、区間2位でゴールしたポート Photo: Yuzuru SUNADA
3年ぶりの個人総合優勝を果たしたポート Photo: Yuzuru SUNADA

 区間2位に入ったポートは、ウィランガヒル7連覇は逃したものの、キング・オブ・ウィランガヒルの名の通り、誰よりも切れ味鋭いヒルクライムを見せて、3年ぶりの総合優勝を飾った。

総合29位でフィニッシュし、UCIポイントを獲得した新城幸也(右) Photo: Yuzuru SUNADA

 新城は1分10秒遅れの区間41位でフィニッシュ。総合29位となりUCIポイントを20点獲得した。ツアー・ダウンアンダーはオリンピック代表選考で係数6倍となっているレースであるため、選考ポイントを一気に120点追加。選考ランキング1位の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)を抜いて、首位となる見込みだ。

第6ステージ結果
1 マシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル) 3時間24分54秒
2 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) +3秒
3 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ プロチーム) +4秒
4 ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ) +7秒
5 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チーム サンウェブ)
6 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)
7 シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)
8 ローハン・デニス(オーストラリア、チーム イネオス)
9 ディラン・ファンバーレ(オランダ、チーム イネオス)
10 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +23秒
41 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +1分10秒

個人総合
1 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) 20時間37分8秒
2 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) +25秒
3 シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)
4 ローハン・デニス(オーストラリア、チーム イネオス)
5 ディラン・ファンバーレ(オランダ、チーム イネオス)
6 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) +30秒
7 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +37秒
8 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ) +46秒
9 ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +52秒
10 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・マクラーレン) +54秒
29 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +1分57秒

スプリント賞
1 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ)
2 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)
3 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)

山岳賞
1 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、CCCチーム)
2 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)
3 ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ)

新人賞
1 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) 20時間38分13秒
2 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・マクラーレン) +15秒
3 ジャラド・ドリズナー(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア) +31秒

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