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山田美緒の「旅する満点バイク」<4>ハンドルやタイヤ、ブレーキも木製の自作自転車に遭遇 私を変えたタンザニアでの2つの出会い

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 2004年8月にケニアからスタートしたアフリカ自転車旅、2カ国目はタンザニアです。

 タンザニアでの言語は、私が大学で勉強していたスワヒリ語です(ケニアもスワヒリ語)。“スワヒリ語を話す自転車に乗った変な中国人”(「アジア人=中国人」だと思われます)は珍しがられ、どこに行っても20~30人囲まれました。みんなとてもフレンドリーで、好奇心をストレートにぶつけてきます。

 ここで私は、心に残る2つの出会いがありました。それには、毎日をハッピーに生きるヒントが詰まっていました。

アフリカ旅の間、どこに行っても20~30人に取り囲まれたアフリカ旅の間、どこに行っても20~30人に取り囲まれた

 ひとつ目は、木の自転車に乗ったおっちゃんとの出会いです。

自分で作った木製自転車を得意げに見せてくれたおっちゃん自分で作った木製自転車を得意げに見せてくれたおっちゃん

 ある小さな村で自転車に乗って現れたおっちゃん。得意げに見せてくれた自転車をよく見ると、なんと木でできているではありませんか! サドルとペダル、チェーンは自転車の部品を使っているものの、フレームやブレーキ、ハンドルからタイヤまでが木製でした。

 タンザニアでも自転車は売っています。ただし、一般の人にとっては、高価でなかなか買えません。ここで諦めずに「ないなら作ればいい」と木製自転車を自作してしまったのがおっちゃんでした。

 「ないない」と不満や文句を言うのではなく、なんとかしてみようと自ら行動する心得。こんなに豊かな日本で暮らしているのに、不平不満を口にし、諦めることも多い自分自身が、とても恥ずかしくなりました。

 「すごい自転車だねー!」と感心して観察していたら、「交換する?」とおっちゃんからオファーが。この木製自転車ではさすがに南アフリカまで走破できそうにないので、丁寧にお断りしました。

雨水の水路ですっぽんぽんになって遊ぶ子供たち雨水の水路ですっぽんぽんになって遊ぶ子供たち

 ふたつ目は、雨に喜ぶ子供たちとの出会いです。

 私が走っていた時期は雨季で、1日に数時間のスコールが降りました。ゲリラ豪雨顔負けの大雨なので、走るのを止めて雨宿りをすることもしばしばあり、そのたびに「なんで雨が降るねん。タイミング悪いなぁ」と感じていたのです。

 そんな風に、イライラしながら雨宿りをしていた時のこと。いつものように、20人くらいの子供たちが珍しそうに私を取り囲んでいました。

雨で川のようになった道を、ドロドロになりながらはしゃいで走る子供たち雨で川のようになった道を、ドロドロになりながらはしゃいで走る子供たち

 子供「カンフーマスターか?」
 「そうだ」
 子供「ジャッキー・チェンか?」
 「そうだ」
 子供全員「キャー!(喜び)」

 などと、冗談を言い合って遊んでいました。ふと外に目をやると、子供たちが雨の中でびしょ濡れになって遊んでいます。わざとこけたり水溜りに飛び込んだりしながら、おおはしゃぎ。服は泥んこで、靴は履いていません。

 あれ、私はなんでこの雨が楽しいと思えないのだろう…?

 この子たちはこんなにも楽しそうなのに、私はなぜ同じ雨を見てイライラしているのだろうと、ふと疑問がわいてきました。

 人間には、太陽を現し大地を乾かすなど、天気を変える力はありません。けれど、考え方を変える力は誰にだってあるのです。嫌いな雨も「楽しい」と思うことができたら――それと同じように、毎日の生活の中でどんなことでも楽しいと思えるようになったら、より楽しくハッピーに生きられるはずです。

 おっちゃんと子供たちとの、2つの出会い。出会いは、いつも私にいろいろなことを教えてくれます。

文・写真・イラスト 山田美緒

山田美緒山田美緒(やまだ・みお)
大阪府生まれ。サイクリストとして世界中を旅してきたほか、一般社団法人コグウェイを設立し、「四国ディスカバリーライド」などを主催。著書に、アフリカ大陸縦断記をまとめた『マンゴーと丸坊主』、女性サイクリストたちとの旅や交流の体験記『満点バイク』がある。ブログURL(http://mantem.exblog.jp/)

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