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教えて! 安井先生<1>ロードバイクに試乗する際の注意点やコツは? 

by 安井行生 / Yukio YASUI
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 新連載「教えて安井先生!」では、自転車ライターとしておなじみの安井行生さんが、主に自転車の機材にまつわる素朴な疑問にQ&A形式で回答していきます。ロードバイクはどう進化している? といったざっくりしたものから、タイヤ幅が1C違うと走りは変わる? といった細かいものまで、幅広く取り扱っていく予定です。乞うご期待!

今回のお題

Q:フレーム、ホイール、タイヤなど安井さんはたくさんインプレをされていると思いますが、試乗する際のコツはありますか? ユーザー向け試乗会が多く開催されるようになったので参考にしたいです。

 この手の質問、絶対来ると思ってました。今まで知り合いに何度も聞かれましたから。

 まず言っておきましょう。正しいインプレをすること ―言い換えると「正確に評価を下すこと」― なんて不可能です。やってる本人が言うんだから間違いありません。

 ホイールやフレームなどのインプレッションの結果(ライダーがどう感じたか)に最も影響することってなんだと思います?

 軽さ? 剛性? 空力? それらのバランス?

 残念ながらどれも違います。

 答えはその日の「体調」です。「気分」とか「疲労度」と言い換えてもいい。マジかよと思われるかもしれませんが、マジです。やってる本人が言うんだから間違いありません。

 極端な例ですが、300km走った翌日&風邪&二日酔い&寝不足&昨日嫁が出ていった、みたいな状態で乗るハイエンドロードより、体調万全&アップは完璧&脚はフレッシュ&可愛い彼女ができたばっかりでもう人生バラ色! という状態で乗るエントリーロードのほうが100倍いい自転車に感じられるでしょう。

 僕は事あるごとに書いてるんですが、だからインプレなんてあてになんないんです。「インプレ記事なんて信用できない」と言う人がいますが、全くもってその通り。人間、毎回体調と精神状態を完璧にして挑むなんて不可能ですからね。トッププロ選手だってどうしようもないバッドデイがあるくらいですから。

 やっかいなのは、「体調」とか「調子」って、自覚がないケースが多いってこと。みなさんもよくあるでしょう? 「今日はなんか脚が回らない」「なぜか今日はやたらと踏める」なんて。インプレでもそれと同じことが起こるんです。だからいいフレームを「イマイチだな」と評してしまうことだって、大したことないホイールを「めちゃくちゃよく走る」と感じてしまうことだってあるわけです。

正確な評価に近づくためのコツ

 だからといって、試乗の正確性を諦めてるわけではありません。試乗を仕事の一環としている者として、できるだけ正確な評価を下せるよう試行錯誤してきました。そのノウハウをちょっとだけお教えしましょう。

試乗でなるべく正確な評価を下すにはいくつかのコツがあります Photo: Shusaku MATSUO

・まず機材の基準を作ること

 試乗すると「速い」「硬い」「最高」「イマイチ」などという印象が得られると思いますが、それはなにかと比べた結果です。基準がなければ比較のしようがありません。基準があやふやだったら評価もあやふやになってしまいます。

 まず自分が使っているフレーム、ホイール、タイヤなどの性能を意識して感じ取り、各パーツにおける「自分だけの基準」をしっかりと確立させておきましょう。まずはそこからです。基準を作っておけば、体調が良くても悪くても、その基準と比較することで評価をある程度正確にすることができます。

 僕は職業柄、必ずクセのない「インプレの基準」となるバイクとホイールを所有することにしています。クセのある機材は基準として不適格ですから。

・できるだけ条件をそろえること

 フレームの試乗をする際、ホイールがライトウェイトなのか前後セット2kgオーバーの鉄下駄なのかで評価は激変します。当然ですが。それじゃフレームの評価をしてるのかホイールの評価をしてるのか分かりません。

 試乗するモノ以外の条件をできるだけ揃えること。これが2つめのポイントです。

 フレームの試乗をしたいなら、せめてホイールを自分が基準としているものに交換して乗ってみる。ホイールの試乗をする場合は、できればタイヤとチューブと空気圧を揃えてみる。完成車のパッケージとしてバイクを評価する際には、アッセンブルされているホイールやタイヤも込みで試乗すべきですけどね。

ストイック派はとにかく条件を揃えるべし

 ウエア類、ヘルメット、シューズ、ペダルなども使い慣れたものにしたほうがいい。僕がバイクのインプレの仕事を始めた当初は、フレーム以外の条件をできるだけ揃えたくて、ペダルはもちろん、ハンドル、ステム、サドル、クランク、ホイール、タイヤ、チューブ、バーテープまで自分が基準としているものに付け替え、ブレーキを自分のバイクと同じ右リヤにしてから試乗してました。要するにほぼ組みなおし。さすがに最近はそこまでせずとも評価できるようになりましたが、理想は「チェーンオイル含め、評価対象以外の条件を全て同じにする」でしょう。

 もちろん、試乗会ではホイールを交換したりするのが難しいケースもあります。そういう場合は駄々をこねてスタッフを困らせないように。経験を積めば、「ボーラが付いてこれなんだからこのフレームの実力はこんなもんだな」とか「ヴィットリア・コルサの6気圧でこれってことは、このホイールの振動吸収能力はまあまあだな」などと推測ができるようになります。

インプレッションライダー・安井行生(やすい・ゆきお)

 大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。

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