ツアー・ダウンアンダー2020 第1ステージドゥクーニンク移籍のベネットが盤石のスプリントトレインで開幕戦勝利 総合首位も獲得

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 オーストラリア・アデレード近郊で開催されるUCIワールドツアーの今季初戦、サントス・ツアー・ダウンアンダーの本戦が1月21日に開幕し、初日の第1ステージは大集団によるスプリント勝負をサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)が制して、今季公式初戦で幸先の良い勝利を飾った。日本の新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は先頭と同タイムの60位でゴールした。

今季ワールドツアー初戦となるスプリント勝負をサム・ベネット(右)が制した Photo: Yuzuru SUNADA

インピーがボーナスタイム獲得

 2日目にアデレード市街地で行われた顔見せレースのシュワルベ・クラシックに続き、いよいよ6日間で行われるダウンアンダー公式レースがスタートした。初日はタヌンダを発着点に30kmの周回コースを5周する150km。レース中の気温は20℃を超え、強い日差しの中のレースとなった。

スタートライン先頭に並んだ各チャンピオンや有力選手ら。(左から)ヨーロッパチャンピオンのエリア・ヴィヴィアーニ、オーストラリア期待のリッチー・ポート、世界チャンピオンのマッズ・ピーダスン、スロバキアチャンピオンのユライ・サガン Photo: Yuzuru SUNADA

 コース中盤に距離400mで平均勾配7.2%の丘があり、2周目と4周目には山岳ポイントが設けられるが、ほぼ完全平坦といえるスプリンターのためのステージ。ゴールまで残り2km余りは2車線の、ほぼ直線の道路が続く。また1周目と3周目の終わりには中間スプリントがあり、上位3選手までポイントとボーナスタイムが設定されている。

 レースは1周目のスプリントポイントを、ダウンアンダー3連覇を狙うダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が1位で通過した。過去2大会、ボーナスタイムの積み重ねで上りに強いライバルに総合で競り勝っており、今年も同様の戦略だ。まずは3秒のボーナスタイムを獲得した。

集団内で走る新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 直後の2周目に4人の逃げが形成。ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、CCCチーム)、ディラン・サンダーランド(オーストラリア、NTTプロサイクリング)、マイケル・ストーラー(オーストラリア、チーム サンウェブ)、ジャラド・ドリズナー(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア)による先行グループは、1回目の山岳賞をドリズナーが先頭通過した後も、メイン集団に最大2分の差を付けて逃げ続けた。

南半球の強い日差しの中を進むメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 2回目の中間スプリントもドリズナーが先頭で通過すると、逃げの4人からロスコフがアタックして単独で抜け出した。2017、18年に米国タイムトライアル王者の実績を持つロスコフは単独でも快調に飛ばし、2回目の山岳ポイントを単独先頭で通過した。残る3人は一旦メイン集団に吸収されたが、メイン集団での山岳ポイント2番手争いの先頭をドリズナーが取り、この日の山岳ポイントではロスコフとドリズナーが5ポイントで並んだ。最終的にはボーナスタイムによる総合順位の差で、初日の山岳賞リーダーの座はドリズナーが手に入れた。

スプリンターを抱えるチームがメイン集団をけん引。ユアン擁するロット・スーダルはデヘントが前に立つ Photo: Yuzuru SUNADA

 単独逃げ続けたロスコフは残り35kmで吸収。ゴールまで残り1周、30kmを切ると各チームの位置取り争いが本格化する。スプリンターを抱えるチームはもちろん、個人総合狙いのチームも落車のリスク回避のために前方へ。時速50kmのハイペースながら集団が横に広がり、緊張感が高まってきた。

ドゥクーニンク勢が完璧な位置取り

 ラスト5kmを切り、集団先頭付近にチームで集結したのは、ドゥクーニンク・クイックステップの軍団だ。移籍加入した新スプリントエースのベネットを従え、ハイペースの中で先頭を走るチームは次々入れ替わる中、その直後の好位置を変わらずにキープし続けた。最後はベネットをミケル・モルコフ(デンマーク)が発射。ベネットの直後から先に加速したジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ)が一瞬前に出たが、力を温存したベネットのスピードが伸びてフィリプセンをかわし、今季初戦で早くも初勝利を挙げた。

フィリプセン(左)とベネット(右)の一騎打ちとなったゴールスプリント Photo: Yuzuru SUNADA

 ドゥクーニンク・クイックステップは昨シーズン脅威の68勝。“ウルフパック”の異名の通り、オオカミの群れのごとく貪欲な走りで勝利を量産したが、スプリントエースが交代した今シーズンも、変わらない統率力を発揮した。昨年までドゥクーニンクのスプリントエースを務めたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス ソルシオンクレディ)は、最終局面で良い位置を取れずに4位。2日前のクリテリウムで優勝したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)は、さらに後方の7位に沈んだ。

初日優勝のベネットは総合リーダージャージも獲得 Photo: Yuzuru SUNADA

 初日優勝のベネットは同時に個人総合首位のリーダージャージ、オークルジャージも獲得。惜しくも2位となった21歳のフィリプセンは、総合2位で新人賞首位となった。

 第2ステージは序盤11.5kmの小周回4周弱と、後半21.5kmの大周回3周半を組み合わせた136kmで行われる。ゴール地点のスターリングの上りは4回こなし、スプリンターにとっては消耗戦となる。集団スプリントを狙うチームのコントロールと、それを打ち破りたい他チームの駆け引きに注目だ。

第1ステージ結果
1 サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) 3時間28分54秒
2 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ) +0秒
3 エリック・バシュカ(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス ソルシオンクレディ)
5 アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)
6 クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、EFプロサイクリング)
7 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
8 マルク・サロー(フランス、グルパマ・エフデジ)
9 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア)
10 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チーム サンウェブ)
60 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン)

個人総合
1 サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) 3時間28分44秒
2 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ) +4秒
3 エリック・バシュカ(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +6秒
4 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) +7秒
5 ジャラド・ドリズナー(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア)
6 クリストファー・ローレス(イギリス、チーム イネオス) +8秒
7 ディラン・サンダーランド(オーストラリア、NTTプロサイクリング)
8 ネイサン・ハース(オーストラリア、コフィディス ソルシオンクレディ) +9秒
9 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チーム サンウェブ)
10 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス ソルシオンクレディ) +10秒
62 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン)

スプリント賞
1 サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) 15 pts
2 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ) 14 pts
3 エリック・バシュカ(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 13 pts

山岳賞
1 ジャラド・ドリズナー(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア) 5 pts
2 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、CCCチーム) 5 pts
3 ローレンス・デヴリーズ(ベルギー、アスタナ プロチーム) 1 pts

新人賞
1 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ) 3時間28分48秒
2 ジャラド・ドリズナー(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア) +3秒
3 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チーム サンウェブ) +6秒

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