ツアー・ダウンアンダー2020 第5ステージニッツォーロがスプリントを制してNTTでの初優勝 総合首位はインピーが2秒逆転し最終日へ

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 サントス・ツアー・ダウンアンダーの第5ステージが1月25日に行われ、ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、NTTプロサイクリング)が集団スプリントを制して、チーム名変更後の初勝利を飾った。個人総合はリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)から、この日2回設定された中間スプリントポイントでタイムを稼いだダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)に移動。日本の新城幸也(バーレーン・マクラーレン)はステージ16位でフィニッシュし、総合でも順位を上げた。

名称変更後のチームに勝利をもたらしたジャコモ・ニッツォーロ Photo: Yuzuru SUNADA

総合争いの駆け引きが激化

 UCIワールドツアーの初戦・ダウンアンダーもこの日を含めてあと2日。総合争いも佳境に入った。

 その中で争われた第5ステージはグレネルグからビクター・ハーバーまでの149.1km。本ステージで勝負どころと予想されたのは、残り約20km地点に登場する2級山岳カービー・ヒル(距離1.6km、平均勾配8.7%)だ。この上りに耐えた選手やその後の下りで集団復帰した選手らによるスプリント争い、アタックで抜け出した選手による独走勝利といった展開が考えられた。

 また、総合上位勢は秒差の争い。ゴールはもちろん、ボーナスタイムも落とせない。チーム戦略も非常に重要なステージとなった。

コース上で待ち構えていたマクラーレンのスーパーカーの前でカメラにピースサインをする新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタート後、アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)がアタックし逃げを試みる。だが、単独で決定的な逃げとはならず。1分程のタイム差しかつかず、30km地点であえなく吸収されてしまう。

 結局集団は一つのまま1つ目のスプリントポイントを迎える。通過順位はマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード)、インピー、ロブ・パワー(オーストラリア、チーム サンウェブ)。インピーはポートのために先着を狙ったピーダスンに1位を取られたものの2位に滑り込み、2秒のボーナスタイムを獲得。また、2つ目のスプリントポイントはインピー、ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ)、ピーダスンの順で通過し、インピーはさらに3秒のボーナスを得た。2つのポイントで稼いだタイムにより、この時点でインピーがポートを2秒上回り、暫定総合1位となった。

ポートのために仕事をしたピーダスン(中央) Photo: Yuzuru SUNADA

 スプリントポイントを終え、次の山場は残り20km地点のカービー・ヒル。そこまでの道のりでようやく逃げが出来上がる。総合上位勢のポートやローハン・デニス(オーストラリア、チーム イネオス)をはじめ8人ほどの選手が飛び出した場面もあったが、結局逃げたのは4人。ピーダスン、イアン・スタナード(イギリス、チーム イネオス)、ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)、イーデ・シェリング(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)となった。

 集団とのタイム差は約2分。メイン集団はリーダーチームのトレック・セガフレードがピーダスンを逃げに乗せたため、インピーで勝利を狙うミッチェルトン・スコットがコントロールしていた。一見レースは落ち着いていたが、スプリンターチームはカービー・ヒルで遅れないよう、総合勢はその上りでスプリンターを振るい落とすため、緊張感が走っていた。

ミッチェルトン・スコットが主に先頭を固めるプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

激しいバトルも最後は集団スプリントに

 レースが動いたのはカービー・ヒルの上り。このままでは捕まると考えたであろうシェリングが逃げからアタックし先行する。だが、大集団には力及ばず。ミッチェルトン勢がペースを上げ逃げを全て吸収。集団は再び一つになる。

総合3連覇を狙うインピー(右)をミッチェルトン・スコットのアシストたちが守って進む Photo: Yuzuru SUNADA

 そして、待っていましたと言わんばかりにスプリンターを振るい落とそうとする選手が先行する。抜け出したのは、ポート、インピー、デニス、ディラン・ファンバーレ(オランダ、チーム イネオス)を含む11人。インピーはクリストファー・ハミルトンやサイモン・イェーツらチームメートと共に、盤石の態勢を作ろうとしていた。

 だが、そこで待ったのかけたのが後ろの集団。残り6kmで吸収しレースを振り出しに戻す。ここまでの上りでどれだけ脚が残っているかも問題だが、スプリンターにも十分チャンスがある展開。さまざまな選手が仕掛けどころをうかがう。

 混沌とした状態の残り3km、先頭に立ったのはミッチェルトンだった。翌日はポートが連勝中のウィランガ・ヒルのステージ。まずは今日、インピーを上位に送り込むことは絶対命題だ。

粘って集団に残り16位でフィニッシュした新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 だが、他のチームも諦めてはいない。前日優勝したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)、その発射台のロジャー・クルーゲ(ドイツ)、2勝目を狙うサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)、そしてニッツォーロ擁するNTTプロサイクリングなど、スプリンターたちが食らいつく。

 終盤までわからない状況で迎えた残り1km、前方にいたのはNTTの青いジャージだった。ここまでプロトンの中で上手く息を潜めていたNTT。ニッツォーロの勝利のために、溜めていた力を爆発させる。

 いよいよ勝負を決めるスプリント、最初に仕掛けたのミッチェルトンのキャメロン・マイヤー。その後はクルーゲ、ニッツォーロ、シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス ソルシオンクレディ)、スプリント賞ジャージのフィリプセンらと続く。本来ならばクルーゲからユアンが発射されるはずだったが、ユアンは脚を消耗していたのか、クルーゲは付ききれず。結局クルーゲはニッツォーロとコンソンニの風よけになってしまい、勝負は二人の一騎打ちに。最後はニッツォーロが力でねじ伏せスプリント勝負を制した。

NTTのジャージで初の表彰台に立ったニッツォーロ Photo: Yuzuru SUNADA

 総合上位のインピーは10位、ポートは18位でそれぞれゴール。両者ともゴールでのタイム差はつかなかった。だが、前述したようにボーナスポイントを獲得したインピーがポートを逆転。インピーはリーダージャージを着用し翌日の最終ステージに臨む。インピーは今日のゴールではボーナスタイムを稼げず。このことが翌日の最終決戦にどのような影響を与えるだろうか。

 翌26日の最終・第6ステージは、ウィランガ・ヒルに向かう山頂フィニッシュ。ポートが得意としているステージだ。両者のタイム差はわずか2秒で、ポートの逆転は十分に可能性がある。また、総合6位までみてもタイム差は17秒。勝負はまだまだわからない。

3連覇を懸け明日のステージに臨むインピー Photo: Yuzuru SUNADA

第5ステージ結果
1 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、NTTプロサイクリング) 3時間32分45秒
2 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス ソルシオンクレディ) +0秒
3 サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)
4 ミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
5 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ)
6 アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)
7 クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、EFプロサイクリング)
8 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
9 ファビオ・フェリーネ(イタリア、アスタナ プロチーム)
10 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)
16 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン)

個人総合
1 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) 17時間12分15秒
2 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) +2秒
3 ロブ・パワー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +9秒
4 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +13秒
5 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ) +16秒
6 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) +17秒
7 シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)
8 ローハン・デニス(オーストラリア、チーム イネオス)
9 ディラン・ファンバーレ(オランダ、チーム イネオス)
10 ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +25秒
28 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +46秒

スプリント賞
1 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ)
2 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)
3 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)

山岳賞
1 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、CCCチーム)
2 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

新人賞
1 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) 17時間12分50秒
2 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・マクラーレン) +0秒
3 ジャラド・ドリズナー(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア) +8秒

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