新城幸也も4年連続出場ツアー・ダウンアンダー2020プレビュー 総合、スプリントと見どころ満載のレースを大展望

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 2020年のUCIワールドツアーがいよいよ開幕! シーズンのスタートは、もはや恒例となったサントス・ツアー・ダウンアンダーだ。真夏のオーストラリアを舞台に、名だたるライダーたちが集結する。例年ハイレベルな戦いが展開され、注目度も高まるレースをプレビュー。ステージ構成や注目選手のピックアップから、レースの見どころをご案内しよう。

いよいよロードレースシーズンが開幕。2020年も真夏のオーストラリア、サントス・ツアー・ダウンアンダーから始まることになる(写真は2019年大会第5ステージ) Photo: Yuzuru SUNADA

総合力が問われる全6ステージの戦い

 大会はオーストラリアは南オーストラリア州の州都であるアデレードを拠点に、全6ステージ、UCI非公認のクリテリウムも含めると、7レースで構成される。

 このイベントがロードレース競技における最上位カテゴリーとなったのが2008年(当時はUCIプロツアー)。トップチームがすべて真夏の同国に集結するようになり、同時に選手・チームともにシーズンインが年々前倒しに。いまではすっかり年明けの風物詩として定着した。

暖かな気候も味方してシーズン初戦から激しいレースが展開される(写真は2019年大会第2ステージ) Photo: Yuzuru SUNADA

 ダウンアンダーの魅力は、やはりスピード感に富んだ戦いだ。大会がメジャーイベントになった頃からスプリンターが主役でレースを席巻してきた。2011年以降はルート構成の変化もあり、個人総合争いはパンチャーやクライマーが上位進出をするようになったが、それでも多くのステージを制するのは、やはりスプリンター。まだまだハイシーズンには遠い時期の1月のレースながら、北半球とは季節が逆のオーストラリアの暖かな気候も味方して、ライダーたちはフルスロットルでレースを駆け抜ける。

大会はUCI非公認のクリテリウムから始まる(写真は2019年大会) Photo: Yuzuru SUNADA

 2020年大会は、1月19日のシュワルベ・クラシック(旧ピープルズ・チョイス・クラシック)で始まることとなる。こちらはUCI(国際自転車競技連合)非公認のレースではあるものの、2日後からのステージレースに臨む選手たちが全員スタートラインに並ぶ。アデレード市街地に設定された1周1.7kmのサーキットコースは、次々とやってくる鋭角コーナーがテクニカル度をアップさせる。勝負は30周回のクリテリウムで競われ、スプリンターたちの競演となることが慣例だ。

 21日からは公式レースがスタート。第1ステージは30kmのコースを5周回するが、途中に中間スプリントと3級山岳がそれぞれ2回登場。最後の約15kmは下り基調で、フィニッシュに向かってスプリンターチームによる激戦が繰り広げられることになりそう。

 第2ステージは、過去に幾度となくレースの方向性を示してきたスターリングの上りスプリントが待ち受ける。レース序盤は2回の2級山岳を含む小周回をめぐり、後半からスターリングの上りを含む大周回へ。この登坂を4回こなすことになるが、スプリンターにとっては消耗戦。各チームのアシスト陣が好ペースを刻んで進行していけるかが、エースを前方へと送り込むための条件となる。一方、力のある選手が複数そろって前をうかがうようだと、数人の逃げ切りが決まる可能性もある。

第3ステージでは頂上フィニッシュ「トレンス・ヒル・ロード」が登場。2017年大会ではリッチー・ポートが圧勝している Photo: Yuzuru SUNADA

 第3ステージは今大会1つ目の「頂上フィニッシュ」。スタート直後からタフな上りが控えるが、すべてはフィニッシュ前2kmの上りであるトレンス・ヒル・ロードで決まるだろう。平均勾配9.3%、未舗装区間も含む急坂は、残り500mで1級山岳ポイントを通過後も最後まで上りが続く。レイアウト的にクライマーが有利で、2017年大会ではリッチー・ポート(オーストラリア、当時BMCレーシングチーム)が後続に16秒差をつける圧勝劇を演じている。また、このあたりから中間スプリント、フィニッシュそれぞれに設けられるボーナスタイムを意識した動きも見られることだろう。

大会後半戦はスプリントが熱くなりそう(写真は2019年大会第5ステージ) Photo: Yuzuru SUNADA

 大会後半戦に入り、第4ステージはスプリンターがメインの1日となりそう。前半こそアップダウンが連続するが、1つ1つの登坂距離がさして長くないこともあり、スプリンターでもクリアできるものとみられる。もっとも、序盤に2回設定される中間スプリントポイントで、総合上位陣によるボーナスタイム争いが起こりそう。その後はスプリンターチームがレースをコントロールすることが予想される。

 第5ステージもスプリンター向け。この日唯一のカテゴリー山岳である2級の頂上がフィニッシュ前約20kmに待ち受けるが、その後は下り基調とあってスプリンターを擁するチームが最終局面に向かって急ぐことだろう。総合を意識する選手たちは、トラブルなくこのステージをクリアして、最後の1日に備えたい。

2019年大会の最終日。総合での逆転をかけてリッチー・ポートがウィランガ・ヒルでアタック。沿道のファンの大声援が響いた Photo: Yuzuru SUNADA

 そして今大会の覇権は、最終の第6ステージで決まる。雌雄を決するのは、おなじみのウィランガ・ヒル。登坂距離3.7km、平均勾配6.8%の上りは、これまでもクライマーやパンチャーが名勝負を演じてきた。昨年から大会最終日にこの上りが設定されるようになり、まさにクライマックスにふさわしい舞台となった。

 スタートからしばらくは海沿いを含む平坦基調の大周回を2回めぐり、終盤からはウィランガ・ヒルを含む小周回をおおよそ1周半。1回目のウィランガ・ヒルから総合エースを擁するチームが本格的にレースをコントロールし、いったん下ってから再びスピードアップ。フィニッシュへと通じる2回目の上りはエース同士の戦いとなる。

 このクイーンステージを終えた時点で、総合タイムでトップに立つ選手が大会の王者となる。ウィランガ・ヒルを制したからといって、必ずしも個人総合優勝に直結するとは限らないのが、この大会の難しいポイントでもある。中間スプリントやフィニッシュでのボーナスタイムも大きく関係してくるレースは、まさに総合力が問われる戦いでもある。ちなみに、各ボーナスタイムは、フィニッシュが1位から3位までに10秒・6秒・4秒、中間スプリントポイントが同じく3秒・2秒・1秒となっている。

総合王者の証・オーカージャージに袖を通すのは誰か。写真は2019年大会第6ステージ後、多くの観衆に祝福されるダリル・インピー Photo: Yuzuru SUNADA

 なお、同州の東隣・ニューサウスウェールズ州では大規模な山火事が発生し、いまだ衰える兆しを見せていないが、大会主催者は予定通りレースを行うことを表明。レース運営には支障がないとしている。

サントス・ツアー・ダウンアンダー2020

1月19日 シュワルベ・クラシック(UCI非公認クリテリウム)51km
1月21日 第1ステージ タヌンダ~タヌンダ 150km
1月22日 第2ステージ ウッドサイド~スターリング 135.8km
1月23日 第3ステージ アンリー~パラコンブ 131km
1月24日 第4ステージ ノーウッド~マレー・ブリッジ 152.8km
1月25日 第5ステージ グレネルグ~ヴィクター・ハーバー 149.1km
1月26日 第6ステージ マクラーレン・ベール~ウィランガ・ヒル 151.5km

総合3連覇に挑むインピー 4年連続出場の新城にも期待

 例年最終日まで勝負がもつれ、数秒差での決着となる総合争い。ここ2回を制しているダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が個人総合3連覇を目指してオーストラリアへと乗り込む。

総合3連覇を目指すダリル・インピー。スプリンター顔負けのスピードと上りでの粘りで優位に立ちたい(写真は2019年大会第6ステージ) Photo: Yuzuru SUNADA

 過去2度の優勝は、最難関のウィランガ・ヒルでの好走が生きた形だった。さらに昨年は第4ステージを制するなど、要所で勝負強さを発揮。クライマーに対してスピードに勝る分、ボーナスタイム争いでも優位に立てる強みを持つ。チームはグランツールレーサーのサイモン・イェーツ(イギリス)を切り札として投入。ダブルエース体制で、お膝元オーストラリアでのタイトル防衛に挑もうとしている。

 彼らに待ったをかけるのが、3年ぶりの総合タイトルを狙うリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)。この大会ではたびたびのウィランガ・ヒル制覇を含めて、7回のステージ優勝を成し遂げていながら、意外にも個人総合優勝は1回にとどまっている。どうしてもボーナスタイム狙いの動きで分が悪く、頂上フィニッシュのステージで攻勢をかけるのがお決まりのスタイル。総合を制するには、上りで圧倒的な力を見せるけることが条件とも言えそうだ。マイヨアルカンシエルのマッズ・ピーダスン(デンマーク)もメンバー入りし、ポートのタイトル獲得を援護する。

ロマン・バルデはダウンアンダー初出場。総合争いに加わるか Photo: Yuzuru SUNADA

 ダウンアンダー初出場のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)も戦いぶりに期待がかかる。やはり見ものは上りでライバルを圧倒できるか。アシストにも登坂力のある選手をそろえており、重要な局面では主導権を握ることも考えられる。

 総合勢以上に豪華な顔ぶれとなったのが、スプリンター陣。彼らはシュワルベ・クラシックから主役の座を争うことになるだろう。

地元オーストラリアの期待を一身に受けて大会に臨むカレブ・ユアン(写真は2019年大会) Photo: Yuzuru SUNADA

 地元の期待を一身に受けるのが、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)。昨年はクリテリウムこそ制するも、その後のステージレースでは勝利を挙げられず。第5ステージでの降着もあり、悔しい結果に終わった。今大会はリベンジの絶好の機会。リードアウトマンもそろえて、ベストに近いメンバーでユアンを盛り立てる。

 その最大のライバルとなるのが、コフィディス ソルシオンクレディの一員となったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)だ。昨年は第1ステージを制して、リーダージャージを1日着用。いま最も波に乗るスプリンターは、シーズン初戦から全開でいくことは必至。

 移籍問題をクリアにして、晴れてドゥクーニンク・クイックステップのジャージをまとうサム・ベネット(アイルランド)も有力。フィニッシュ前でのポジショニングにも長け、ライバルのお株を奪う一気の飛び出しが冴えるか。昨年に続く参戦のフィリップセンのほか、この大会のステージ勝利記録18回を保持するアンドレ・グライペル(ドイツ)は新体制となったイスラエル・スタートアップネイションのエーススプリンターとして“再降臨”する。

4年連続のツアー・ダウンアンダー出場となる新城幸也。新しいデザインのキットでレースを戦う Photo: Yuzuru SUNADA

 そして注目はもう1人。われらが新城幸也の4年連続出場もビッグトピックだ。この大会に向けて、直前までタイでトレーニングを行ってコンディションは上々。シーズンの始まりでどんな走りを見せるか注目だ。

 この大会は、各チームの新たなデザインのジャージや、選手の移籍、新人の加入など、観る者にとっては長いシーズンに向けた情報集めの機会としても最適。ドラマ満載、楽しみいっぱいの2020年のロードレースに思いを馳せつつ、レースの行方を見守っていこう。

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UCIワールドツアー ツアー・ダウンアンダー2020 ロードレース

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