2020新春スペシャルインタビュー<7>東京五輪「チームスプリント」で金メダル獲得へ 進化を続ける深谷知広

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 トラック競技のワールドカップ「チームスプリント」種目で、日本チームは2大会連続の優勝を飾った。波に乗るメンバーのうちの一人、深谷知広に大会の振り返りや取り巻く環境、また、メダルの期待がかかる東京五輪の展望を聞いた。

競輪選手であり、トラック競技の日本代表として活躍する深谷知広(ドリームシーカー)にインタビュー Photo: Shusaku MATSUO

 深谷は1990年生まれの30歳。競輪選手として活躍しつつ、チーム「ドリームシーカー」の一員としてトラック競技でも好リザルトを残している。ワールドカップではチームスプリントの最終走者である“3走”として出場。 12月6日に開催された2019-2020UCIトラックワールドカップ第4戦、また、続く13日に開かれた第5戦で日本代表チームの勝利に貢献した。

◇         ◇

――Q.ワールドカップの走りを振り返り、どのようなレースだったかを教えてください

 チームスプリントでは一番後ろを走る3走として出場しました。チームの連携ももちろんですが、個人のタイムを上げることが目標でした。結果としては持ちタイムが上がり、チーム全体のタイムが向上した結果、優勝することができました。

――Q.3走というポジションの役割について教えてください

前の2人が作ったスピードを殺さないのが大きな役目ですね。ロードレースで例えるとゴールスプリントで作るトレインの一番後ろのポジションです。みんなの思いを背負う重要な立場です。

12月6日、トラックワールドカップ第4戦・男子チームスプリントで16年ぶり金メダルを獲得した日本チーム。(左から)新田祐大、雨谷一樹、深谷知広 © JCF

――Q.どのような取り組みが結果として表れているのでしょうか

 失敗を成功に変えられたことが大きいですね。ワールドカップの香港大会(2019年11月)で失敗がありました。しかし、それを克服した最中に走り方の発見ができ、チームの中で次の大会ではメダルが取れると士気が高まりました。今、波に乗っています。メダルを連続で獲得でき、いい雰囲気です。

――Q.今後はどのように良い部分を伸ばしていきますか

 世界選手権、五輪と金メダルを狙うにはさらにタイムを伸ばす必要があります。限られた時間ではあるが、各自の持ちタイムを上げなければなりません。本番では金メダルを獲得した際と同じ様な走りができればチャンスがある。今後さらなるパワーアップ、スピードアップを狙います。

――Q.アテネ大会以来の五輪メダル獲得を期待できますか?

 そうですね。メダルを狙える位置に来たと確信がある。期待してもらっていいと思います。

突き詰めているモノが好き

――Q.ロードバイクがお好きだと聞きました。どのように活用を?

 メニューの中でリカバリーにあてたり、少し身体を動かしたいときに乗っていますね。短い距離ではありますが、街中を走ったり山を走ったり。フィジカルを鍛えるということではなく、クールダウンで乗ったり、フレッシュな風を取り入れたいときに活用しています。

――Q.何台のロードバイクをお持ちですか

 現在は2台ですが、これまでに30台は所有してきました。殆ど乗ってないメジャーなメーカーはないんじゃないかな。ルック、ピナレロ、コルナゴ…挙げればキリがありませんね(笑)。

――Q.トラックバイクの性能で重要視していることはなんでしょう

Photo: Shusaku MATSUO

 今まで海外製のトラックバイクを使用してきましたが、ここ最近はブリヂストンが凄い自転車を開発して、これに乗り換えています。実際に走るとタイム自体に大きな差異はありません。しかし、フィーリングが違う。走っていて自信が持てる感触がある。脚の感触は大事にしている部分です。重量や剛性などの数字の面ではないフィーリングがとても大事ですね。

 ワールドカップの現地でも注目されました。ピットエリアでは他の国のメカニックが見に来たり、「凄い自転車を開発したな」と他国のコーチに言われることも。海外の選手やスタッフからメッセージが来るくらいの注目度でしたね。それに乗っているという誇りを感じます。もちろん軽さや、推進力が大事ですが、それ(フィーリング)も一番大事な要素の一つ。さらに気持ちを後押ししてくれる。

――Q.多彩な趣味をお持ちですよね。カメラや時計、車などいろいろなモノへのこだわりがあるようですが、自転車と共通点はありますか?

 突き詰めているものが好きなんです。自転車もそう。腕時計は時間が分かればいいし、iPhoneでも十分ですが、作りこまれたものは美しさを追求していますよね。カメラもそう。ストレスなく使えるよう、設計が計算されている。結局突き詰めているものはどんな形であれ美しい。それが自分は好きですね。

――Q.大会ではよく写真を撮ってSNSにアップしていますね

 はい、これからも現地の写真を撮っていこうと思います。もちろん、メディアからの報道もありますが、選手でしか撮れない表情や情報もあります。メディアから発せられない内容を発信していきたいですね。

金メダルがゴールではない

――Q.あらためまして、トラック競技の魅力を教えてください

 短い周回のクリテリウムは別ですが、ロードレースは観戦しに行ってもなかなか選手の姿を見ることが難しいですよね。一方のトラックレースは常に自分の前を通る。室内の安定した環境で観戦できるのも魅力の一つです。いま建設中の千葉競輪場や、修善寺にあるベドロームがそうですね。また、トラック競技は目の前を凄いスピードで走り続ける迫力を間近で感じることができますよ。

――Q.マックススピードはどの位なのでしょうか?

Photo: Shusaku MATSUO

 チームスプリントの3走で平均72km/hくらい。マックススピードだと2走が先頭の時になると思いますが、80km/h以上出ているんじゃないですかね。大体200mを9.8秒とか9.9秒で走っています。

 ギヤ比は戦略的になってしまうので詳しく言えないのですが、日本の競輪だと4倍くらい、55T×13Tがリミットです。しかし、ワールドカップではそれよりはるかに重いギヤで走っています。パワーはワットで2000Wは超えています。維持できる平均ワットはロードレースを走る選手の方が高いと思います。自分たちは短い時間でどれだけ高い出力を出せるのかを争う競技なので。

――Q.今後のレース予定は?

 大きいレースだと2月後半の世界選手権です。次は東京五輪ですね。1月、年が明けてから海外で3週間トレーニング合宿をします。

――Q.目標とする五輪に対する意気込みを教えてください

 選手として大きな目標が五輪出場そして金メダル。しかし、ゴールではありません。自転車競技はまだマイナー競技なので、メジャーになれるような活動を今後も行っていこうと思っています。東京五輪で結果を残すことが、その活動に繋がっていくと考えています。

――Q.最後にファンに一言をお願いします

 自転車競技には多くの種目がありますが、トラックもロードにも同じような魅力があると思います。ぜひ、トラックの会場でも足を運んでいただいて、生で観ていただいてトラックの迫力を感じてもらえたら嬉しいです。応援よろしくお願いします!

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