荒川河川敷道路を走る(2)変化する荒川下流域 歴史を作るのは、われわれだ!?

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 荒川河川敷道路(アラサイ)下流編。前回は笹目橋から北千住付近まで走った。
荒川河川敷道路を走る(1)
荒川の歴史は東京の治水の歴史 河川敷の大規模建築を愉しみながら走る

 アラサイを走る際に注意したいのは、飲食物の補給だ。堤防内には原則、商店や自販機が存在しない。せいぜいグラウンド脇で水道水が飲めるくらいだ。長い時間を走る時には補給に気をつけたいが、まあずっと河川敷を走り続ける必要はないので、適当な場所でアラサイから抜けてしまえば良い。日本人はマジメなので、ついついひたすら河川敷道路を走り続けてしまいそうになるが、自由さこそがサイクリング本来の醍醐味! 自転車だと、普段あまり足を伸ばさないような場所のお店にも気軽に行けるので、隠れた名店を探してみるのも面白いだろう。

北千住の宿場通り。建物は新しくなっても、町並みは宿場町の面影を残す北千住の宿場通り。建物は新しくなっても、町並みは宿場町の面影を残す

 という事で、北千住の市街地まで来た。元々ここは宿場町として栄えた場所で、江戸時代より交通の要所だった。現在は鉄道が計5路線乗り入れており、山手線外の駅ながら、一大ターミナルの様相。駅前には大きなデパートが建つ一方で、宿場通りなどの商店街も、今なお活気に満ちている。

 荒川放水路(現在の荒川下流域)の開削時も、最初は千住の町を分断するルートで計画されたが、最終的にはここを迂回するルートが取られたそうだ。現在の地図を見ると、確かに千住をわざわざ避けて作られたことがうかがえる。河川敷道路を出て5分程度で駅前に出られるので、食事や買い物にも便利だ。

風変わりなたい焼きを食す

 食堂や商店はいくらでもあるので、どうぞお好きな場所で…と書こうとしたら、「何か一つお店を紹介しろ!」と編集長の声。そこで、ちょっと穴場的な場お店を。宿場通りなど、栄えているのは駅の西側だが、反対の東側も面白い。駅前から学園通りを抜け、突き当たり直前の右側にあるたい焼き屋さん「果川家」だ。

 小ぶりで薄皮が特徴で、実は韓国式のたい焼きなのだそう。そもそも焼く機械からして違う。回転式の一丁焼き方式で、韓国ではこの方式が一般的だとか。たい焼き自体は明治時代に日本で生まれたものだが、日韓併合時代に韓国に伝わり、独自の進化をしたらしい。ちなみに鯛ではなく鮒(フナ)の形で、韓国では鮒パンと呼ばれる。パリパリの薄皮が香ばしい。味はノーマルな小豆あんと、ふわふわのクリーム、そして独自のパイナップルいもの3種類。どれも一度は味わっておきたい逸品。機会があればぜひどうぞ。

「黄金たいやき」の暖簾をかける果川家さん「黄金たいやき」の暖簾をかける果川家さん
薄皮で小ぶりなたい焼きと、回転式一丁焼き機械薄皮で小ぶりなたい焼きと、回転式一丁焼き機械

まだまだ改良が必要な自転車通行帯

 腹を満たして荒川河川敷道路に戻る。東武線の鉄橋を過ぎると、何やら道路上を斜めに横切る青い線が現れ、自転車は右側に寄るように促すペイントがなされている。荒川の河川敷道路における歩行者と自転車の通行帯を分離する試みとして、2012年3月より設けられているもの。昨今の自転車ブームでスポーツサイクルの通行量が増え、歩行者や河川敷のグラウンド使用者とのトラブルが起こっていることへの対応として、幅7.5mの道路のうち、自転車の通行を堤防側2mのみとして、歩行者と自転車の通行分離を図っている。

自転車を端に寄せる矢印と線。通行する自転車は割と素直に従っていた自転車を端に寄せる矢印と線。通行する自転車は割と素直に従っていた
通行帯部分の表示。左側通行は矢印で示されているが、少々分かり辛いか。センターラインも無い通行帯部分の表示。左側通行は矢印で示されているが、少々分かり辛いか。センターラインも無い

 実際に通ってみたが、2mで上下対面通行するのは、無理ではないものの、やはり少々狭いというのが正直なところだ。自転車の指定通行帯は2mだが、歩行者は5.5mとはならず、7.5mのまま。自転車以外は道路全体を自由に使ってよい、という点も含め、サイクリストにとってはかなり肩身の狭いルールという印象だ。

 全面的に追い出されてしまうよりはマシだが、こういった中途半端な対策ではなく、サイクリストも、歩行者や他の利用者も皆が気持ちよく河川敷を使えるよう、さらなる検討と議論が必要だろう。サイクリスト側の見識も問われている。この問題に関しては、色々と動きも起こっているので、今後も紹介していきたい。

進化する東京。そして荒川も…

2005年完成の荒川ロックゲート。荒川と旧中川で最大3.1m異なる水位を調節して、船舶を通行させる2005年完成の荒川ロックゲート。荒川と旧中川で最大3.1m異なる水位を調節して、船舶を通行させる

 金八先生のロケで知られる堀切橋を過ぎて、右手の土手の向こうに東京スカイツリーを眺めながら南下していく。東京の新しい風景だ。

 京成押上線の鉄橋のそばには、珍しいヒヌマイトトンボの生息地がある。河口から5kmを切り、少し大掛かりな水門風の建築が見えてくる。2005年に完成した荒川ロックゲートだ。荒川と、水位の異なる旧中川・隅田川を結ぶための施設で、二つの水門を使って、水位を調整しながら両者を結ぶ。ちょうどプレジャーボートが水門を通過するところだった。

 荒川と旧中川は、江東区近辺の地盤沈下から水位の差が大きくなっており、長い間、船舶が運航できない状態になっていた。しかし阪神大震災以降、震災時の水運の有効性が見直され、このルートで船の運航を可能とするために新たに作られたのが、この荒川ロックゲートだ。街も河川も時代に合わせて徐々にその姿を変えていく。今この瞬間に感じられる変化は僅かだが、現在もその変化は現在進行形だ。

幻の河口を過ぎて…

 ややクラシカルな意匠の葛西橋を過ぎると、もう河口はすぐそこだ。河口から0km地点のポストを横目に……「あれっ?」と驚く。いや明らかに河口まで1kmは残っているんですけど…。一瞬騙された気分になるが、要するに、この位置を定めてから後に、埋め立てによって陸地が海方向に延びたということらしい。しかしここまで散々見てきた「河口まで~km」の表示はこの0kmポストを基準にしているので、ずっと少ない数字を見てきたことになる。やはり少々騙された気分だ。

 幻の河口から1km弱。新砂リバーステーションが、現在の荒川河川敷道路の終点だ。フェンス越しに河口を望むと、潮の香りが鼻をつく。行き着くところまで行き着いたという充実感がある。そのままUターンして真っ直ぐ帰るも良し、対岸に見える葛西臨海公園の観覧車に乗ってみるも良し、帰りは都心など別のルートを巡ってみるも良しである。それにしても、やはりアラサイは走りやすい道だ。色々と懸念すべき事柄はあるものの、今後も快適に利用し続けられることを願いたい。

しれっと置かれている「河口から0km」ポスト。サイクリングロードは、もうしばらく続くしれっと置かれている「河口から0km」ポスト。アラサイは、もうしばらく続く
新砂リバーステーション。ここで行き止まり新砂リバーステーション。ここで行き止まり

<コースプロフィール>
距離:約28km(途中寄り道を含まず)
所要時間:1時間半~2時間くらい
最大高低差:5メートル

←左の地図をクリックするとルートラボに飛びます

(写真・文 米山一輝)

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