米山一輝さん注目・2019年のニュース国内プロレースの変遷をJBCFの新リーグ発足から振り返る 小さな成果から大きな道筋へ

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 2019年も残すところあとわずか。年末企画として、『Cyclist』執筆陣が選ぶ「今年の注目ニュース」をお届けします。自転車ライター・米山一輝さんが注目したのは「JBCFの自転車新リーグが2021年からはじまることについて」。国内リーグの変遷に触れるとなぜ変化が必要なのかが分かります。

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「Jプロツアー」誕生前夜

 2019年の注目ニュースということですが、筆者は元々国内レースにずっと携わってきた人間であるので、JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が2021年よりロードレースの国内新リーグを開始するという話題について触れてみたいと思います。

2019年3月に開催された新リーグのカンファレンスでは、日本人の国際競技力向上が目的と強調された Photo: Masahiro OSAWA

 そもそも現行の国内リーグ「Jプロツアー」は、2000年代に入ってから徐々に国内トップチームがプロ化していくなかで、従来の実業団ロードレースのポイントランキングを整理して、分かりやすく年間のシリーズ戦としてアピールしようと始まったものです。最初の名称は「Jツアー」で、数年後に商標権の問題から「Jサイクルツアー」になり、2011年から「Jプロツアー」となっています。そのJプロツアーが終わろうとしている今だから話しておきたい裏エピソードですが、実は最初の「Jツアー」の名前を考えたのは、筆者自身なのです。

 2005年の暮れ頃だったでしょうか。その頃の筆者は某所でコンピューターで色々する仕事をしていたのですが、実業団連盟関連の事業をしようとしていた当時のボスに、日本のロードレースの仕組みについて解説を求められたのです。

 当時はUCIがレースサーキットの改革を始め、世界のレースがプロツアー(現在のワールドツアー)と、各大陸のコンチネンタルツアーに分けられた直後でした。ボスはツールなどのプロツアーは知っていたものの、国内レースについてはよく分かっていませんでした。そこで筆者は「ツール・ド・フランスなどのプロツアーが最高峰にあって、その下にヨーロッパやアジアなどの各大陸ツアー。実業団はその下の国内で完結する、サッカーなら“Jリーグ”があるが、いわば“Jツアー”とでもいうようなもの」と説明したのです。

 突然口から出た「Jツアー」という単語。ちょうど実業団レースを再編する時期だったのですが、その一つのシンボルとなるシリーズ名はまだ未定(よい案が出てこない)という状態でした。そのことをボスに話すと「じゃあ『Jツアー』で提案してみよう」ということになり、あれよあれよという間に、リーグ名は「Jツアー」になってしまったのです。

 その後ややリーグ名称の変遷があったものの、どれも「Jツアー」の活用形であり、制度そのものも「Jツアー」の発展型という状態。なので、プロレースが新シリーズに完全移行するというニュースは、筆者個人的には「『Jツアー』が完全に過去のものになってしまうのか」というノスタルジーを感じさせる出来事でした。

未来の不安も期待に変えて

 昔話だけで終わるわけにもいかないので、未来の話もしましょう。2021年から始まるとされている新リーグは、現在具体的に明らかにされている事が少なく、その先行きを不安視する声も少なくないという認識です。

新リーグは3つのカテゴリーに分けられる予定 Photo: Masahiro OSAWA

 “古き良き実業団”のように、ほどほどの予算感でほどほどのレベルでリーグを続ける考えもあると思います。しかしそれでは、さらなるグローバル化に舵を切った世界トップとの差は、広がり続けるばかりでしょう。グランツールやワールドツアーで日本人が勝利するどころか、年間に誰一人としてグランツールに出場しない状態が、再び恒常化する日が来るかもしれません。ほどほどでやるということは、結局そういうことなのです。

確実に前進するレースシーン

 ですから、日本のリーグも前に進むことは、やはり必須であります。例えばサッカーも、今やワールドカップの本戦出場は普通、海外トップリーグで活躍する選手も常時何人もいる状態になっていますが、全ては国内にJリーグが誕生して以降の出来事です。

 ロードレースでは現在、国内リーグがワールドツアー選手を育てる直接的土壌にはなってはいませんが、ここ数年を見てみるに、全くつながっていなかった糸が、僅かながらつながり始めたという印象です。成果も少しずつ出てきています。現在の成果が本当に望むものとはいえないかもしれませんが、一つひとつの成果の足跡が踏み固められ、道筋になっていくのではないでしょうか。15年前のレースシーンを思い出すと、そこからの“未来”である今は確実に前進していると感じられるのですから。

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