バイクインプレッション2019プロが求める運動性能を新技術で実現したピュアレーサー ウィリエール「ゼロSLR」

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 ウィリエール・トリエスティーナ(以下ウィリエール)のフラッグシップ「ZERO SLR」(ゼロSLR)をインプレッション。ディスクブレーキと電動コンポーネントの専用設計モデルとして今年デビューを飾ったモデルだ。徹底的に無駄を排除したピュアレーサーの走りを試した。

ウィリエール「ゼロSLR」 Photo: Masami SATOU

 ゼロSLRをインプレッションしたのは今回で2回目。初回はバイシクルクラブ主催の「バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020」の選考時で、筆者はこの車種に最大配点を与えている。今回はその評価ポイントについて改めて説明したい。

相反する性能を両立

 軽さ、剛性、エアロ、振動吸収性、コントロール性能。ロードバイクの運動能力を評価するうえで、これらは欠かせない存在である。それぞれが絶妙なバランスで成り立ち、ある項目が極端すぎると他の項目にも影響を与える。

フル内装化を実現した専用ハンドル「INTEGRATED ZERO」 Photo: Masami SATOU

 ゼロSLRは、フレームは780g、フォークで345gと軽量な車重が特徴だ。軽さだけ競うなら同ブランドで600g台のフレームを実現した「ゼロセーイ」に軍配が上がる。しかし、着目すべきは重量がかさむディスクブレーキ仕様でこの重量に抑えたこと。また、電動変速コンポーネントのみの専用設計となり、ワイヤー類をフレーム内に収めた“フル内装化”が実現したのである。フレームを極度なエアロ形状にすることなく、空気抵抗の削減と、山岳レースでも頼れる重量を両立した。

 ディスクブレーキが不得意とされたパンク時のホイール交換も、マヴィックの「スピードリリース」システムが解決してくれる。フロントフォークとリアエンドの片爪が切り欠けになっており、レバーを反時計方向に数回まわし、スルーを若干引き抜くとクイックリリースのようにホイールを外すことができ、装着する際は逆の手順で素早く装着できる。締めるとレバーのラチェットが適正トルクで働くため、何も考えずに時計方向に回せばOKだ。慣れればクイックリリース並みの速さでホイール交換が可能となる。

素早くホイールを交換できるスピードリリースシステムを採用 Photo: Masami SATOU

 エアロ形状のフレームではないためか、ペダリングフィーリングが良いのもポイントだ。翼断面形状のフレームは縦剛性が高くなりがちで、バランスを整えるのが難しい。ゼロSLRはペダルを踏みこんだ後、トルクのかかりが一定で、足がくるんと奇麗に回る。軽い車体と相まって、上りではペース走も得意な一方、鋭い加速にも対応。ここまで軽い重量なのに、華奢な印象を受けないのは驚いた。

総合点に優れ、弱点は見当たらない

 高品質カーボン素材を採用し、プロ選手が満足する剛性に仕立てられているのはもちろん、スルーアクスルが足下を固めている点も頼もしさに現れている。フルパワーでもがいても、爪先までかっちりとしており、パワー伝達効率の良さも感じられた。高速でコーナーに侵入してもハンドリングが破綻することもない。

無駄を徹底的に排除し、ロードバイクが持つピュアな性能を突き詰めたレーシングバイクだ Photo: Masami SATOU

 意外だったのが乗り心地の良さ。一般的に軽量で剛性が高いフレームだと“乾いてパリパリした乗り味”と形容されるが、ゼロSLRは“しっとり”しており、ピーキーさは感じなかった。振動吸収性に優れた「液晶ポリマー」が効いているのだろう。路面からの突き上げも緩和されていた。

 ゼロSLRはこれまで定説だった相反する性能を、新素材や技術でクリアした1台であった。尖った一面はないが、総合点がここまで優秀なバイクはあまりない。シンプルかつ機能的なフレームには、ロードバイク本来のピュアな性能が突き詰められていた。2020年シーズンはアスタナ プロチームのメインバイクになることも決定しており、活躍が期待されるレーシングバイクである。

■ウィリエール「ゼロSLR」

税抜価格:590,000円(フレームセット)、840,000円(アルテグラDi2完成車)、1,200,000円(デュラエースDi2完成車)
重量:約780g(フレーム)、約345g(フロントフォーク)
サイズ:XS、S、M、L、XL
カラー:ブルー、マットブラック、レッド

松尾修作松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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