Cyclist編集部がインプレッション航続距離130kmなのに13万円 ブリヂストンの電動クロスバイク「TB1e」の“通勤力”を検証

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 ブリヂストンの電動クロスバイク「TB1e」(ティービーワン・イー)が2月上旬に発売となる。1回の充電で最長130kmというe-BIKE並みの航続距離を維持しながら、約13万円と“電動アシストママチャリ”並みの価格に設定された“美味しいとこどり”の電動クロスバイクだ。それぞれの値ごろ感を知るサイクリストとしては、この触れ込みだけで性能が気になるところ。同社は「通学・通勤用」と位置づけているが、見た目と機能、そしてリーズナブルさを併せ持った電動クロスバイクはスポーツバイク愛好者にも通勤用途としての意義を感じさせるのか。『Cyclist』編集部によるレビューを紹介する。

12万9800円(税抜)で130kmの航続距離を誇るブリヂストンの通勤用電動クロスバイク「TB1e」の実力やいかに? Photo: Shusaku MATSUO

回生充電で航続距離が従来モデル比40%増

 エッジの効いたフォルムとクールな色使いのTB1e。そのスポーティーな佇まいは、よくあるクロスバイクタイプのe-BIKEのようだ。しかしこのバイクはe-BIKEと同等、あるいはそれ以上のスタミナを持ちながら、e-BIKEよりも格段にリーズナブルな価格に設定された、好バランスを実現した電動クロスバイクなのだ。

電動クロスバイク「TB1e」(カラーはT.X マットグレー) Photo: Shusaku MATSUO

 長時間の航続を可能にした理由は、同社独自の両輪駆動(前輪はモーター、後輪はペダルで駆動)による回生充電機能「走りながら充電」にある。走行中に発電することで電力消費のスピードを緩和し、結果として1充電あたりの航続距離を自動充電機能を搭載しない同社の従来モデルと比べて40%アップさせることに成功。最長で130km(エコモード)の航続距離を可能にした。

前輪のハブに搭載された回生充電機「走りながら自動充電」のモーター。走行中にペダルを止めるか左ブレーキをかけると発電する。アシストをオフにしていると発電機能もオフになる Photo: Shusaku MATSUO

 「通勤バイクに航続距離130kmは不要」と思われるかもしれないが、これはすなわち「充電の頻度が減る」ということを意味する。例えば片道3kmの通勤で週5日乗ったとしたら、バッテリーは単純計算で約1カ月間もつ。これを基本に片道6kmであれば単純に2分の1で2週間。それぞれの走行距離にあてはめると、いかに充電の手間が省けるかがわかるだろう。

同社の従来モデルと比較して40%アップした「TB1e」の航続距離 ©BRIDGESTONECYCLING

 これだけの航続距離を実現しつつ、価格は12万9800円(税抜)。e-BIKEのように高価なものではなく、さらに言えば同じ価格帯の電動アシストバイクでもこれほどの航続距離を実現しているモデルは他にない。

便利なシティバイク機能を完備

 では高価なe-BIKEとの違いは何か? まず安定性を優先した長めのホイールベースとリア7段の変速は、スポーツ仕様のe-BIKEと異なる点だろう。そして細部を見ると確かにスポーツバイクにはない、“あると便利”なパーツが随所に施されている。

明るい照度と広い照射範囲を持つLEDランプとベル、反射板を標準搭載。クロスバイクのルックスを崩さないポジションに搭載 Photo: Shusaku MATSUO
ギヤは外装7段で、メカの操作感にこだわった Photo: Shusaku MATSUO

 雨の日も安心なフル泥除けや、電池交換不要の発電式ライト、サイドスタンド、自転車に固定されたサークル錠など、日々の通勤・通学で必須となる装備が標準搭載されている。制動力が高いリアローラーブレーキやサビによるトラブルを低減するステンガードチェーンのほか、パンクやひび割れに強い新タイヤ「ロングレッド」を装備することで耐久性を高めている。

自転車本体に取り付けられたサークル錠と泥除け Photo: Shusaku MATSUO

 タイヤは街の自転車店でも交換しやすい27インチ×1・3/8(英式バルブ)規格を採用するなど、クロスバイクのスタイリッシュさと、いわゆる「ママチャリ」と呼ばれるシティバイクの利便性を併せ持つ“ハイブリッドモデル”となっている。

 同社によるとこれがe-BIKEと電動クロスバイクの境界ということだが、街乗り仕様と考える上で、この見た目を前に両者の線引は重要ではないと考える。重量もさほど重要な要素ではなく、むしろスタンドや泥除け、鍵、充電不要の自動点灯ライト等の方が必須なので、諸々搭載されて約13万円ならばむしろお得な選択肢。価格を含め、街乗り用として要不要の要素が取捨選択された好バランスと評価できる。

アシストの使い分けで一定の出力を維持

 肝心な乗り心地はどうだろうか。ポジションは当然ながらクロスバイクそのもの。いわゆる脚だけで漕ぐ「ママチャリ」とは違い、全身を使って漕ぐ動作に安心感を覚える。漕ぎ出しにかかるアシストもそれほど強くなく、自然でスムーズだ。

普段から大手町にある会社まで、片道5kmの道のりをロードバイクで通勤している『Cyclist』編集部の後藤恭子。趣味は輪行を組み合わせた自転車旅。まとまった休みがとれると、国内外問わずすぐ遠方へ旅立つ“放浪サイクリスト” Photo: Shusaku MATSUO
バッテリー残量と、丸の数でアシストモードを示すモニター(現状はパワーモード)。バッテリー残量は5%刻みで表示され、20%以下になると1%刻みで表示される Photo: Shusaku MATSUO

 平地は「エコ」モードで走れば軽々と走行可能。平地からちょっとした上りへの変化にもスムーズに対応させたい場合は「オート」モードで走るとちょうどよい。

 アシストはこれらに「パワー」を含めて3モードあり、斜度5%程度の坂ならオートでちょうど良く、もっと快適に走りたければ「パワー」に切り替えて変速(7段)を調整すれば息が上がることもない。このあたりのメリットは夏場の通勤に大いに発揮されそうだ。

通勤経路上「プチ峠」と呼んでいる大きな橋も立ち漕ぎ不要、心拍上昇なしで快適走行 Photo: Shusaku MATSUO

 左ブレーキをかけたり下り坂などでペダリングを止めると発動する「走りながら自動充電」機能は、発電が始まるとモニターの画面で発電中であることを視認できる。バッテリーを回復させている感覚が面白く、坂では積極的にペダリングの脚を止めてしまった。

 前輪にはスピードを自動的に制御する「モーターブレーキ」が搭載されているので、下り坂でスピードが出過ぎることもない。地形が谷状になっているエリアを走行する場合でも瞬間的に強度を変える必要はなく、一定の出力で快適な通勤ライドを楽しむことができる。これで無用な汗ともおさらば。出勤後の汗処理を気にする必要もない。

乗り手のニーズを満たす

 もう一つ、通勤用バイクとしての使い勝手を確かめた。通常のサイクリングよりもさまざまな“リスク”がある通勤。開放的な道路を走るのではなく、幅寄せや飛び出し、突然の左折など予期せぬ動きをするクルマと一緒に走る道路では、身を守るためにやむを得ず歩道を走行する場合もある。そういったシチュエーションで減速走行する場合でもアシストがあると「ストップ&ゴー」の動作がストレスなく行え、むしろ速度をコントロールしやすい。

漕ぎ出しにアシストがかかるので、信号や車通りの多い道でのストップ&ゴーも一切ストレスなし。この威力は地味だけど絶大だ Photo: Shusaku MATSUO

 また、夜に降った雨が明け方にあがっているシチュエーションでは「路面が濡れているから」と自転車通勤をあきらめるのが常だったが、泥除け一つでこんなにも強気になれることを実感。簡易的な泥除けを取り付けていたこともあったが、ロードバイクだと全体のデザインが崩れてしまうことに抵抗があった。

 鍵もしかり。鍵をかけずに自転車を離れることは即盗難につながるため、携帯は必須だが、それでもうっかり忘れて非常に不自由な思いをしたのは、筆者だけではないだろう。しかし自転車本体に鍵がついていれば「駐輪時に鍵を忘れて駐められない」という残念なこともない。「そう、街乗りはこれで良いのだ」と原点に立ち返った思いがした。

通学・通勤用バイクの理想形

 実を言うと、このインプレを託される以前から「e-BIKEで通勤してみたい」と感じていた。危険を回避したり安全に走るためには、適度な加速、スピード調整のしやすさ、気持ちの余裕が重要だからだ。今回のインプレによって改めて電動アシストバイクそのものが通勤に適していることを実感した。

TB1eなら誰でも自転車通勤を楽しめる Photo: Shusaku MATSUO

 とはいえ通勤に使うだけならe-BIKEはちょっと高価…、でもスポーツバイクから離れた形状の電動アシストバイクには抵抗があるし…、と思っていたところに現れた「TB1e」は、すんなりと自分のジテツウライフに入ってきた。

 街乗りを快適にするパーツの搭載と、充電の手間の少なさ、そしてリーズナブルな価格帯を併せ持つTB1e。通勤用バイクとしての使用はもちろん、スポーツバイク未経験者で自転車通勤を始めてみたいという人に対して、ぜひおすすめしたい選択肢だ。

(提供:ブリヂストンサイクル)

■TB1e(ティービーワン・イー)
航続距離:パワー54km、オート90km、エコ130km
カラー:E.X ブラック、T.X マットグレー、M.Xオーシャンブルー、T.Xネオンライム
サイズ(乗車可能最低身長):450mm(151cm~)
タイヤサイズ:27インチ×1-3/8
変速段数:7段(リア)
バッテリー:リチウムイオンバッテリーB400
バッテリー充電時間:約4時間10分
税抜価格:129,800円

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