2020新春スペシャルインタビュー<2>新城幸也「第二の地元パリ五輪を目指す」 現役を続け、若手へ貢献したい

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 新城幸也(バーレーン・マクラーレン)への新春スペシャルインタビューの後半は、UCIワールドツアーを取り巻く環境の変化やトレンド、また、自身が見据える今後のキャリアについて語ってもらった。

新城幸也の新春スペシャルインタビュー後半では、ワールドツアーのトレンドや変化、自身のキャリアについて言及した Photo: Shusaku MATSUO

日々変化するワールドツアーの環境

――Q.ワールドツアーでは2019年、どのようなトレンドがありましたか?

 凄いタレントがたくさん出てきた年でしたね! エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)、そしてレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)など。みんな20歳そこそこです。レムコなんかジュニア上がりですからね(笑)。来年、グランツールでリーダージャージを着ているかもしれない人材です。若い選手が活躍した新しい時代でした。

 また、誰か特定の選手がいつも勝つって感じではなかったですね。スプリントではエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が強かったけど、同様にサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)も勝つし。山岳も総合もそう。プロトンで走っていても。観戦していても面白かった。

2019年は19歳のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)をはじめ、若手選手が活躍した年だった Photo: Yuzuru SUNADA

チームも悩んでいると思いますよ。昔は「どうせ勝つのはフルームでしょ」って感じだったけど、いまは本当に分からない。ジロではプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が総合優勝するだろうと言われていたのに、結局リチャル・カラパス(エクアドル※動画コメントではコロンビア人、モビスター チーム)が勝った。皆が予想できない人が勝つ。なのでチーム首脳陣も誰を加入させるべきか分からないんです。昔は優勝候補の名前を挙げれば5人くらいだったけど、今は10人近くいる。誰が勝つか分からないのが今のグランツールです。

――Q.ここ10年でレース中の動きに変化はありましたか

 僕がブイグテレコムに加入して走り始めた2009年と、昨シーズンの2019年と比べると、まずグルペットができなくなった。グルペットは通常、遅れた選手が後ろに集まるものでした。

 しかし、いまは前に集まるから大変なんです。レースの中段に大きなグルペットがあって、後ろにぱらぱらと遅れた選手が続いていく。だから、なんか違う。すぐ集団が壊れるようになりました。昔はずーっと1列だったのに、いまはペースが上がるとすぐに崩壊する。だから前に居ないと次はありません。チャンスがどんどんなくなっていくからです。昔はペースが緩まったら集団前方に上がるチャンスがあったけど、現在は遅れた瞬間に何もできません。

2009年から10年間、欧州でプロのキャリアを積んできた新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 あとは機材の進化でレース中、下りでのスピードが速くなった。エアロ化が大きな要因ですね。自転車とウェア開発のおかげです。すぐ70km/h~80km/h出る。以前はここまで速くなかったと思います。機材の恩恵があるのではないでしょうか。

本場でしか経験できないことがある

――Q.日本人が世界で活躍するには何が必要ですか

 最も大事なのはコミュニケーション能力。僕もフランスチームの時はフランス人とフランス語を話していました。いまはランプレ、バーレーンとに移り、イタリア人と話す機会が多いですね。2年目は英語が2割、今年は8割英語でコミュニケーション取ったかな。チーム内で多国籍化が進んでいるので、来年はもっと英語の標準化が進むと思います。

 アタックするなとか、逃げを捕まえろ、とか理解できないとレースでは駄目ですからね(笑)。トレーナーと対話したり、監督とレースのことを話したり。とにかくコミュニケーションがとれなければなりません。

――Q.全日本の記者会見では日本人も数値だけでいえばパワーだけは変わらないという話もありましたが、フィジカル面は十分なレベルなのでしょうか

 自転車に乗るのが上手いか上手くないのかも非常に重要です。パワーを競うのであれば(室内トレーニングの)ズイフトでいい。ワールドツアーでは下りのテクニックや位置取りもとても大切です。本場で走らなければならない理由はこれです。

「日本では位置取り争いなどありません。いつでも上がれるから」と断言した新城幸也 Photo: Shusaku MATSUO

 日本は集団に対して道が広い。日本最高峰のジャパンカップでさえ位置取りはあってないようなもの。ジャパンカップで「位置取り失敗した!」っていう選手もいるけど、失敗なんてことはない。いつでも上がれるから(笑)。これ以上どうしようもないところからこじ開けていく。そういう力が必要になります。日本では経験できないことが本場にはあります。

――Q.技術や経験をどう若手選手に伝えていきたいですか

 例えばゴルフはレッスン受けられますが、自転車にはレッスンという習慣がありません。そもそも、自転車は乗ったら進むからそれでOKと思っている。でも違う。そこには技があります。若い選手は勉強しないと。乗れちゃうからこそ、どうやって速く走らせられるのかを考えることが必要なんです。

タイ合宿でもいいですし、国内でメリダが主催する合宿イベントもあります。日本のエンデューロレースにもゲストで出てるいるので僕と話す時間とかいっぱいあります。若手選手はどんどんコミュニケーション取ってほしい。

――Q.今後のキャリアや展望を教えてください

 目標はパリオリンピック。東京ももちろんですが、パリも僕にとって第2の地元です。

リオ五輪を走る新城幸也。東京、そしてパリ五輪を走るのが目標だ Photo: Yuzuru SUNADA

 2019年も怪我をして思ったのですが、半年間欧州の現場にいないと全然情報がない。レースに行けば色々な情報が入って来ます。誰が調子がいいとか、レースがどうだとか。情報の質と量が国内にいる場合と全く異なります。レースの現場で聞かないと出てこない。それを日本の若い選手に落としていきたい。それが現役を続ける意味だと思っています。

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