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「自転車“基礎”栄養学」<1>「食べる力」は内臓から鍛えられる 「ご飯食」で作る体作りの基礎

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 サイクリストの体づくりを栄養面から科学する連載『自転車栄養学』の「入門編」に続き、新たに「基礎編」が全6回でスタートします。これまでの河南こころさんの連載『入門・自転車栄養学』では、サイクリストのお悩み別に栄養の側面からアプローチしてきましたが、新連載『自転車“基礎”栄養学』では、公認スポーツ栄養士の小川静香さんに、全6回にわたって自転車ライフを楽しむための「体づくり」について紹介していただきます。

「体作り」に欠かせないご飯が秘めた力とは? Photo: iStock.com/kazoka30

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公認スポーツ栄養士の小川静香さん。ロードバイクに乗り始め、現在はトライアスロンをメインに練習に励む。数々の入賞実績をもつ”アスリート栄養士” 提供: 小川静香

 皆さん、初めまして。今回から連載を担当いたします小川静香です。トライアスロンを楽しむ公認スポーツ栄養士で、主に長い距離(スイム3.8㎞、バイク180㎞、ラン42.195㎞)のレースに出るための練習をしています。

 現在の自転車は、2年前に購入したTTバイク、キャノンデールの「SLICE」で、練習は室内でローラーを使ってやっていることが多いです(特に冬は、笑)。

2019年の「アイアンマン70.3 liuzhou」では年代別3位に入賞 ©MasXU

 今まで得た栄養学の知識を自分なりに実践しながら、運動と食事による身体つくりをし、コンディショニングを整えてレースや大会に出場しています。その経験を栄養セミナーなどを通して、お伝えしてきました。

 「自転車栄養学」といっても、スポーツが違うと体が求める栄養素が異なるかといえば、決してそんなことはありません。ただ、自転車スポーツは他の持久系スポーツと比べて、食と運動の関係がより密接で、またレースに関していえば食が戦略上重要な要素にもなり得ます。

 そんなサイクリストの皆さんにお伝えしたいのが、「食べる力」です。よくお腹を壊す、大事なイベントなのに風邪をひく、運動をしているのに痩せない、寝ても翌日元気になれない、宴会の翌日はお腹の調子がいまいち…など、経験したことはありませんか? もしかしたら、その原因は「食べる力」が弱っていることによるかもしれません。

「食べる力」とは

 そもそも「食べる力」とは何でしょう? 「食べたものを自分の体に取り入れて、使い切ったものを体外に出す!」これが食べる力です。これらを担うのは、口や食道、胃、小腸、大腸、などの臓器です。これらは使ってあげなければ、基本的に鍛えることはできません。この食べる力が弱っていれば、うまく食べたものを取り込めず、排出もできず、いろんな刺激(食品)に対して敏感にもなったりします。

 つまり、「食べる力」は「胃腸力」とも言えるのです。胃腸を強くすることが食事を考える上での基本的な考え方です。近年は食事をおろそかにして、栄養素ありきでサプリメントに頼っている人が多く見受けられます。サプリメントばかりでは胃腸は使われず、食べる力を強化することはできません。

 そこで、この「食べる力」を鍛えるために私がオススメする食品が「ご飯」(米)です。ご飯はよく噛めますし、唾液が出ることでしっかりと食べたものが体の一部になれるように消化を受け、その過程を踏んで体の中に取り込むことができます。ご飯の中に含まれる栄養によって体内はうるおい、腸内環境も整うことで外的な刺激(異物・細菌など)から体を保護できるため、体調を崩す頻度が減る可能性があります。他にもご飯のメリットはたくさんありますが、今回はここまでに留めたいと思います。

食事の比率は「ご飯6割」

 では、一日に食べるご飯の量はどのくらい? いっぱい食べればいいの?! そんな疑問がでてきます。ご飯の量は各個人で目指す体重やその人の体型によっても変わりますが、概ね1日に必要なエネルギーに換算した時に、その6割をご飯にするのが目安です。ちなみに私は、運動量が多いときで1日2合のお米を消費していました。

 イメージとしては、幕の内弁当のご飯とおかずのバランスを思い出してください。ご飯の方がやや多い見た目で食べるのが理想です。

ご飯やや多めのお弁当が理想の比率 Photo: iStock.com/redonion1515

 最近のお弁当は白い部分(ご飯)が減って、おかずが多い印象を受けます。おかずがたっぷりあってバランスが良いのでは?と思うかもしれませんが、調理方法によっては脂質が多くなることもあります。

 では、パンはダメなの?麺はダメなの? 決してそういうわけではありませんが、基本は「ご飯6割」の食事を行うことが胃腸力を鍛えることになりますし、食べる力を強化することに繋がります。パンには、バターなどの脂質が含まれていることが多いですし、噛まずに飲み込めるので食べる力はご飯と比べて弱くなります。麺もしかりです。

 まずは、よく噛んで胃腸力を鍛え、食べる力を強化できるご飯を中心とした食事にしてみましょう。プロテインなどのサプリメントを考える前に、まずは食事に意識をむけて取り組むことが理想の身体を作るためには重要なことです。ぜひ、次回記事までの1カ月間、今回の記事を意識して食生活を見直してみていただきたいと思います。

まとめ

・ご飯を食べることが「食べる力」をつける基本型
・臓器も筋肉なので、しっかり食べて「食べる力」を強化する
・ご飯を食べることで咀嚼力を高め、消化の質を上げたり、腸内環境を整える
・間食も減らせるため、体重管理が楽になる
・ご飯をメインにすることで甘味に対する感受性も変化する

小川静香
小川静香(おがわ・しずか)

公認スポーツ栄養士、管理栄養士、博士(医学)。食アスリートJr.インストラクター。日本女子大学卒業後、東北大学大学院医学系研究科運動学分野を修了。3歳から水泳を始め、国体も経験。大学院在学中にトライアスロンにハマり、2009年に念願の日本選手権に出場。同年佐渡国際トライアスロンAタイプで優勝を果たす。スポーツトレーナーを目指す学生の指導にあたる他、スポーツ栄養の知識を自ら実践し、栄養教育活動や栄養セミナーで伝える。現在はアイアンマンレースに向けた練習と共に筋トレにも精力的に取り組み、ボディメイクに奮闘中。

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自転車“基礎”栄養学

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